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プロフィール
HN:
麻咲
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1983/05/03
職業:
フリーター
趣味:
ライブ、乙女ゲーム、カラオケ
自己紹介:
好きなバンド
janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他
好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ)
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット)
フルハウスキス(羽倉麻生)
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文)
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助)
花宵ロマネスク(紫陽)
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸)
僕と私の恋愛事情(シグルド)
ラスト・エスコート2(天祢一星)
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル)
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク)
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他
バイト先→某損保系コールセンター
janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他
好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ)
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット)
フルハウスキス(羽倉麻生)
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文)
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助)
花宵ロマネスク(紫陽)
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸)
僕と私の恋愛事情(シグルド)
ラスト・エスコート2(天祢一星)
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魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク)
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他
バイト先→某損保系コールセンター
アクセス解析
2009/11/25 (Wed)
二次創作関連
こんばんは、水樹奈々の紅白出場と、Λuciferの復活、そしてΛuciferが変換出来た私の愛機ゲオルクに驚きを隠せない麻咲です。笑。
今月は比較的暇だったのが、後半に来て仕事が忙しくなり、来月はまた労働基準法との戦いになりそうなのですが、ジャンジャンバリバリ稼ぎたいと思います。
もう、欲しい新作ゲームが両手に余ってるんです……!!
戦国BASARA3
RPGツクールDS
VitaminZ Revolution
ときめきメモリアルGirl's Side 3rd story
Lucian Bee's ジャスティス・イエロー
Lucian Bee's エビル・ヴァイオレット
絶対迷宮グリム
堕天使の甘い誘惑×快感フレーズ
ラストエスコート Club Katze
金色のコルダ3
あとデス・コネクションも気になるし……10周年だから遙か新作も出るんだろうなー……!!
まあそれはそうと、ようやくキリ番SS出来ました。
今回はかなり、ほのぼの路線です。
ネタバレは多分ないですー。
これでGTRはコンプできましたので、私の中では大満足です。笑。
次のキリ番は、クラキミSSを書きたいのですが、全くノープランなので、リクエストなどあれば是非お聞かせ下さい★
明日はマイドル燈夜と、ラブサミのエミリオ&ジャン=マリーのまとめができるといいなー……。
SSはつづきからどーぞ。
今月は比較的暇だったのが、後半に来て仕事が忙しくなり、来月はまた労働基準法との戦いになりそうなのですが、ジャンジャンバリバリ稼ぎたいと思います。
もう、欲しい新作ゲームが両手に余ってるんです……!!
戦国BASARA3
RPGツクールDS
VitaminZ Revolution
ときめきメモリアルGirl's Side 3rd story
Lucian Bee's ジャスティス・イエロー
Lucian Bee's エビル・ヴァイオレット
絶対迷宮グリム
堕天使の甘い誘惑×快感フレーズ
ラストエスコート Club Katze
金色のコルダ3
あとデス・コネクションも気になるし……10周年だから遙か新作も出るんだろうなー……!!
まあそれはそうと、ようやくキリ番SS出来ました。
今回はかなり、ほのぼの路線です。
ネタバレは多分ないですー。
これでGTRはコンプできましたので、私の中では大満足です。笑。
次のキリ番は、クラキミSSを書きたいのですが、全くノープランなので、リクエストなどあれば是非お聞かせ下さい★
明日はマイドル燈夜と、ラブサミのエミリオ&ジャン=マリーのまとめができるといいなー……。
SSはつづきからどーぞ。
【遅く起きた朝は……】
「……うーん……?」
いつもと違う枕の感触で目が覚めた。
カーテンの隙間から射し込む光に瞼をノックされて、薄目を開ける。
ぼんやりと幕のかかった視界に、見慣れない景色がじんわりと浮かび上がっていく。
「……?」
持ち上げようとした頭がズキッと痛む。
「……ッ」
この痛み。
この感覚。
これは、そう、二日酔いだ。
頭が痛い。
起き上がるのが辛い。
頭が働かない。
考えるのが辛い。
だけど。
「……今……何時……?」
「11時だよ」
「そう……ありがとう」
……。
……ん?
私……今、誰かと会話したような……。
誰か?
誰かって?
右肩上がりに意識の覚醒レベルが上がっていく。
重たい右手を上げて、両目をこすり、パチパチと瞬きを繰り返す。
クリアになった視界には、嬉しそうにこちらを見ている顔があった。
「おはよう、お姉ちゃん」
「おはよう……亮、くん……?」
どうして枕元に亮くんがいるの??
「大ー、お姉ちゃん起きたよー」
大くん? 大くんもいるの……??
トトトトト、と可愛い足音が私の側に近づいてくる。
「わーい、おはよー、おねーちゃ!」
「うっ……」
元気いっぱいの挨拶が、頭のてっぺんに突き刺さって、私は悶絶する。
「バカ大! 声が大きすぎるよ! 静かにしないとダメだろ!!」
「うー……だってー!!」
「くっ……」
ズキズキズキ……。
刺さる。
刺さるわ……2人とも……!!
ああ、微笑ましいやりとりなのに、和めない……流石に今回ばかりは……。
涙目でおでこを押さえたその時、
「亮、大、少しベッドから離れなさい」
その声とともに、なんともいえないいい香りが鼻をくすぐった。
「北森先生、蜂蜜生姜湯を作ったよ。
苦手でなかったら飲んでみてほしい。二日酔いにはこれが一番効くからね」
優しい声。
優しい香り。
まだまともには働いてくれない思考は、言葉の意味までは理解出来なくて。
「起きれるかな?」
「はい……」
ただ促されるままに、支えてもらいながら上体を起こして、差し出されたカップの中身を、半ば本能に任せるように、飲んだ。
「……美味しい……」
心からほっとする味だ。
「良かった、口にあったようだね」
「はい、ありがとうございます、桐丘せんせ……」
……桐丘先生?
あれ?
何か変。
……私、眠ってて、今起きたのよね?
そしたら目の前に亮くんがいて、大くんまで出て来て、そして桐丘先生が……。
「あの……ここ、どこですか……?」
その重要な疑問にようやく辿り着けたのは、桐丘先生の蜂蜜生姜湯のおかげ……なのかもしれない。
以前さんざんさんざん自慢された、クマさんポケットのフリフリエプロンをまとった桐丘先生は、私の問いかけにほんの少し苦笑いした。
「それは……」
そして彼の可愛い息子たちが、私の疑問に答えてくれた。
「お姉ちゃん、桐丘家にようこそ」
「よーこしょーっ!」
桐丘家に……って。
「えっ、ここ桐丘先生のおうちですか!?」
それから私は、仲良くゲームで遊んでる兄弟を横目に、桐丘先生の蜂蜜生姜湯を飲みながら、少しずつ記憶を整理していった。
そう。
昨夜は、忘年会だったんだ。
忘年会って言っても、参加者はGTRとB6と私……とあと、トゲー先生だけ。
発起人は草薙先生で、「年を忘れる会かー、オレの得意分野だな!」とか、よくわからないこと言い出したのがはじまり。
会場を真壁先生が手配するって聞いて嫌な予感がしたから、「普通の居酒屋とかでやりましょうね」って釘を刺してみたりして。
……流石に、忘年会用に居酒屋自体を新しく作るとは思わなかったけど。しかもありえない内装の……。はははは……せめて貸し切りで踏み止まってほしかったなあ。
まるでテント建てるくらいのノリでやっちゃうのが凄いよね……。
最初はどうなるかと思ったけど、忘年会は普通に盛り上がって、すごく楽しかった。
GTRの皆さんから大学時代の話聞いたり、B6の皆さんから、私の尊敬する南先生の話を色々聞けたのも嬉しかったし。
……でも、途中からスパッと記憶が、ない。
桐丘先生によると、私は最終的に酔い潰れてしまったらしいんだけど……。
「でも私、お酒弱いから最初の一杯以外はジュースを飲んでた筈なんですけど……?」
桐丘先生は相変わらず苦笑したまま、ふう、と1つ息を吐いた。
「そのジュース、誰かに注いで貰ったりしなかったかな?」
「はい、確か仙道先生に」
「……」
「……」
「……謎は解けたようだね」
「……はい……」
……ああ、仙道先生のチェシャ猫笑いが見えるッ……!!
「あ、でも……それで、どうして私は桐丘先生のお宅??」
「僕と北森先生以外はみんな二次会のカラオケに行ってしまってね。
僕が真壁先生の呼んでくれた車に同乗して、北森先生を自宅まで送り届ける予定だったのさ……ただ、途中で、その……君は気分が悪くなってしまって」
その歯切れの悪い言葉に、私は何があったのかを察して、軽く青ざめる。
「……私、ひょっとして……逆流、しちゃいました?」
「……まあ、そういうことなんだ」
「……すいません……」
「いや、君は悪くないさ。……ただあまり辛そうだったのでね。
北森先生のマンションより、うちのほうがずっと近かったから、一旦うちで休んで貰ったほうがいいと判断したんだ」
「そうだったんですか……」
ああ、なんて粗相をしてしまったんだろう……記憶がないとはいえ、凄く恥ずかしい……!!
桐丘先生にそこまで面倒見させちゃうなんて……ベッドまで使っちゃってるし、パジャマも借りちゃってるし……。
……。
パジャマ??
「っ……」
私は空になったカップを手放し、反射的に毛布を引き寄せて首まで被った。
「北森先生?」
「きっ……着替えっ……着替えっ……!!」
「あ、ああ……北森先生の服なら少し汚れてしまったので洗濯してあるよ。
夜までには乾くと思うんだが……」
「あ、すいません……じゃなくて!! あの、どうやって着替え……」
頭の中をとんでもない想像が駆け巡り、血が沸騰しそうに熱い……。
「えへっ、おれがお姉ちゃんにパジャマ着せたんだよ!」
ゲームに集中していると思われていた亮くんが、チラッとこっちを見て得意げに笑った。
「大も手伝ったんだよなー?」
「うん!おてちゅらいしたー!!」
「あ……」
なんだ、亮くんと大くんがやってくれたのか……それはそれでちょっと大人として恥ずかしいけど、それでも、まだよかった。
「ありがとね、2人とも……」
お礼を口にしたその直後。
このベッドもパジャマも……多分桐丘先生のなんだな、ってことに思い到って、更に更に恥ずかしくなる。
大きなベッド。
大きなパジャマ。
清潔なグレーのパジャマからはお日さまの柔らかい匂いがする……ような気がした。
服が乾くまでこれを着てないとダメなんだろうか……なんか、ドキドキしてしまう。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、桐丘先生は、まるで空気を変えようとするかのように、明るい声音で言った。
「多少、気分は良くなったかな? これから昼食の準備をしようと思うんだが、何か食べられそうなものはあるかい?」
「父さん、おれオムライス食べたい!!」
「だいも、おむらいちゅたべらーい!!」
「こらこら、今はお前たちのリクエストは聞いてないだろう?」
「はーい……ごめんなさい」
「ごめんららい」
父子の微笑ましいやりとりに、思わずクスッと笑いがこぼれる。
「桐丘先生、私、オムライスが食べたいです」
「……え?」
「やったー、さすがお姉ちゃん!!」
「しゃしゅらー!しゃしゅらーー」
ゲームを放り出してはしゃいでる2人が本当にかわいくて、見てるだけで幸せな気持ちになってしまう。
桐丘先生も、なんだか嬉しそうな顔をしてる。
「気を遣わせてすまないね……お詫びと言ってはなんだが、美味しいオムライスをご馳走しよう」
「じゃあ、お手伝いします……と言いたいところなんですが……」
ぽむ、と、桐丘先生の大きい手が私の頭を撫でた。
また胸が大きく高鳴ってしまう。
「無理せず、ゆっくりしていなさい」
「……はい……ありがとうございます」
ここまで迷惑かけちゃったんだから、いっそ最後まで甘えてしまったほうがいいのかも……そんなことを考えてしまったのは、この空間の居心地の良さのせいかもしれない。
独り暮らしに慣れてしまった私には、こういう家族の雰囲気が、なんだか懐かしくて、そして、楽しい。
「亮、大。お前たちはちゃんと手伝うんだぞ。手を洗ってエプロンをつけたら、キッチンに集合だ」
「はい、お父さん」
「はーい、おとーさん」
子どもたちはまるで競い合うかのように寝室から駆け出して行く。
ああ、ホントに可愛いなあ……。
「私も亮くんと大くんみたいな子どもが欲しいな……」
ポロッと口から零れた一言には、深い意味があったわけじゃなくて。
でも。
「……本当に?」
確認するように囁きながら、見つめてくる桐丘先生の眼差しに、なんだかさっきまでと違う色を見つけてしまったような気がして、ビクッとしてしまった。
「桐丘先生」じゃなくて……「お父さん」じゃなくて……まだ、私の知らない……。
なんだか目が離せなくて、不自然なくらいじっと見つめてしまっていた。
不意に、桐丘先生の顔から微笑が消えて、真顔になる。
「……君にはもっとよく知ってほしい。
そして……好きになってほしいな」
好き、の二文字が私の耳を柔らかく包み込む。
きっと今、ぐんぐん赤くなってってる。
「あ……あのッ」
「うちの息子たちのことを、ね」
「……え?」
「本当に、2人とも僕の自慢の宝物だよ」
桐丘先生は大人っぽくて精悍なその顔に、少しいたずらっぽい笑みを浮かべる。
私は、ああ、この笑い方、ちょっと亮くんみたいだ……とかどうでもいいことを考えながら、小さく笑顔を返した。
「出来たよ、北森先生。温かいうちに召し上がれ」
「わあ、おいしそうなオムライス。タマゴがふわふわしてますね」
「へへ、おれがタマゴ割って、混ぜたんだ!!
で、大はケチャップで絵を描いたんだよー」
「そうなんだ、偉いねー、2人とも。……で、大くん、これ何の絵?」
「てんろーのおにーしゃん!!」
「……」
「しゃららーん♪」
《おしまい?》
「……うーん……?」
いつもと違う枕の感触で目が覚めた。
カーテンの隙間から射し込む光に瞼をノックされて、薄目を開ける。
ぼんやりと幕のかかった視界に、見慣れない景色がじんわりと浮かび上がっていく。
「……?」
持ち上げようとした頭がズキッと痛む。
「……ッ」
この痛み。
この感覚。
これは、そう、二日酔いだ。
頭が痛い。
起き上がるのが辛い。
頭が働かない。
考えるのが辛い。
だけど。
「……今……何時……?」
「11時だよ」
「そう……ありがとう」
……。
……ん?
私……今、誰かと会話したような……。
誰か?
誰かって?
右肩上がりに意識の覚醒レベルが上がっていく。
重たい右手を上げて、両目をこすり、パチパチと瞬きを繰り返す。
クリアになった視界には、嬉しそうにこちらを見ている顔があった。
「おはよう、お姉ちゃん」
「おはよう……亮、くん……?」
どうして枕元に亮くんがいるの??
「大ー、お姉ちゃん起きたよー」
大くん? 大くんもいるの……??
トトトトト、と可愛い足音が私の側に近づいてくる。
「わーい、おはよー、おねーちゃ!」
「うっ……」
元気いっぱいの挨拶が、頭のてっぺんに突き刺さって、私は悶絶する。
「バカ大! 声が大きすぎるよ! 静かにしないとダメだろ!!」
「うー……だってー!!」
「くっ……」
ズキズキズキ……。
刺さる。
刺さるわ……2人とも……!!
ああ、微笑ましいやりとりなのに、和めない……流石に今回ばかりは……。
涙目でおでこを押さえたその時、
「亮、大、少しベッドから離れなさい」
その声とともに、なんともいえないいい香りが鼻をくすぐった。
「北森先生、蜂蜜生姜湯を作ったよ。
苦手でなかったら飲んでみてほしい。二日酔いにはこれが一番効くからね」
優しい声。
優しい香り。
まだまともには働いてくれない思考は、言葉の意味までは理解出来なくて。
「起きれるかな?」
「はい……」
ただ促されるままに、支えてもらいながら上体を起こして、差し出されたカップの中身を、半ば本能に任せるように、飲んだ。
「……美味しい……」
心からほっとする味だ。
「良かった、口にあったようだね」
「はい、ありがとうございます、桐丘せんせ……」
……桐丘先生?
あれ?
何か変。
……私、眠ってて、今起きたのよね?
そしたら目の前に亮くんがいて、大くんまで出て来て、そして桐丘先生が……。
「あの……ここ、どこですか……?」
その重要な疑問にようやく辿り着けたのは、桐丘先生の蜂蜜生姜湯のおかげ……なのかもしれない。
以前さんざんさんざん自慢された、クマさんポケットのフリフリエプロンをまとった桐丘先生は、私の問いかけにほんの少し苦笑いした。
「それは……」
そして彼の可愛い息子たちが、私の疑問に答えてくれた。
「お姉ちゃん、桐丘家にようこそ」
「よーこしょーっ!」
桐丘家に……って。
「えっ、ここ桐丘先生のおうちですか!?」
それから私は、仲良くゲームで遊んでる兄弟を横目に、桐丘先生の蜂蜜生姜湯を飲みながら、少しずつ記憶を整理していった。
そう。
昨夜は、忘年会だったんだ。
忘年会って言っても、参加者はGTRとB6と私……とあと、トゲー先生だけ。
発起人は草薙先生で、「年を忘れる会かー、オレの得意分野だな!」とか、よくわからないこと言い出したのがはじまり。
会場を真壁先生が手配するって聞いて嫌な予感がしたから、「普通の居酒屋とかでやりましょうね」って釘を刺してみたりして。
……流石に、忘年会用に居酒屋自体を新しく作るとは思わなかったけど。しかもありえない内装の……。はははは……せめて貸し切りで踏み止まってほしかったなあ。
まるでテント建てるくらいのノリでやっちゃうのが凄いよね……。
最初はどうなるかと思ったけど、忘年会は普通に盛り上がって、すごく楽しかった。
GTRの皆さんから大学時代の話聞いたり、B6の皆さんから、私の尊敬する南先生の話を色々聞けたのも嬉しかったし。
……でも、途中からスパッと記憶が、ない。
桐丘先生によると、私は最終的に酔い潰れてしまったらしいんだけど……。
「でも私、お酒弱いから最初の一杯以外はジュースを飲んでた筈なんですけど……?」
桐丘先生は相変わらず苦笑したまま、ふう、と1つ息を吐いた。
「そのジュース、誰かに注いで貰ったりしなかったかな?」
「はい、確か仙道先生に」
「……」
「……」
「……謎は解けたようだね」
「……はい……」
……ああ、仙道先生のチェシャ猫笑いが見えるッ……!!
「あ、でも……それで、どうして私は桐丘先生のお宅??」
「僕と北森先生以外はみんな二次会のカラオケに行ってしまってね。
僕が真壁先生の呼んでくれた車に同乗して、北森先生を自宅まで送り届ける予定だったのさ……ただ、途中で、その……君は気分が悪くなってしまって」
その歯切れの悪い言葉に、私は何があったのかを察して、軽く青ざめる。
「……私、ひょっとして……逆流、しちゃいました?」
「……まあ、そういうことなんだ」
「……すいません……」
「いや、君は悪くないさ。……ただあまり辛そうだったのでね。
北森先生のマンションより、うちのほうがずっと近かったから、一旦うちで休んで貰ったほうがいいと判断したんだ」
「そうだったんですか……」
ああ、なんて粗相をしてしまったんだろう……記憶がないとはいえ、凄く恥ずかしい……!!
桐丘先生にそこまで面倒見させちゃうなんて……ベッドまで使っちゃってるし、パジャマも借りちゃってるし……。
……。
パジャマ??
「っ……」
私は空になったカップを手放し、反射的に毛布を引き寄せて首まで被った。
「北森先生?」
「きっ……着替えっ……着替えっ……!!」
「あ、ああ……北森先生の服なら少し汚れてしまったので洗濯してあるよ。
夜までには乾くと思うんだが……」
「あ、すいません……じゃなくて!! あの、どうやって着替え……」
頭の中をとんでもない想像が駆け巡り、血が沸騰しそうに熱い……。
「えへっ、おれがお姉ちゃんにパジャマ着せたんだよ!」
ゲームに集中していると思われていた亮くんが、チラッとこっちを見て得意げに笑った。
「大も手伝ったんだよなー?」
「うん!おてちゅらいしたー!!」
「あ……」
なんだ、亮くんと大くんがやってくれたのか……それはそれでちょっと大人として恥ずかしいけど、それでも、まだよかった。
「ありがとね、2人とも……」
お礼を口にしたその直後。
このベッドもパジャマも……多分桐丘先生のなんだな、ってことに思い到って、更に更に恥ずかしくなる。
大きなベッド。
大きなパジャマ。
清潔なグレーのパジャマからはお日さまの柔らかい匂いがする……ような気がした。
服が乾くまでこれを着てないとダメなんだろうか……なんか、ドキドキしてしまう。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、桐丘先生は、まるで空気を変えようとするかのように、明るい声音で言った。
「多少、気分は良くなったかな? これから昼食の準備をしようと思うんだが、何か食べられそうなものはあるかい?」
「父さん、おれオムライス食べたい!!」
「だいも、おむらいちゅたべらーい!!」
「こらこら、今はお前たちのリクエストは聞いてないだろう?」
「はーい……ごめんなさい」
「ごめんららい」
父子の微笑ましいやりとりに、思わずクスッと笑いがこぼれる。
「桐丘先生、私、オムライスが食べたいです」
「……え?」
「やったー、さすがお姉ちゃん!!」
「しゃしゅらー!しゃしゅらーー」
ゲームを放り出してはしゃいでる2人が本当にかわいくて、見てるだけで幸せな気持ちになってしまう。
桐丘先生も、なんだか嬉しそうな顔をしてる。
「気を遣わせてすまないね……お詫びと言ってはなんだが、美味しいオムライスをご馳走しよう」
「じゃあ、お手伝いします……と言いたいところなんですが……」
ぽむ、と、桐丘先生の大きい手が私の頭を撫でた。
また胸が大きく高鳴ってしまう。
「無理せず、ゆっくりしていなさい」
「……はい……ありがとうございます」
ここまで迷惑かけちゃったんだから、いっそ最後まで甘えてしまったほうがいいのかも……そんなことを考えてしまったのは、この空間の居心地の良さのせいかもしれない。
独り暮らしに慣れてしまった私には、こういう家族の雰囲気が、なんだか懐かしくて、そして、楽しい。
「亮、大。お前たちはちゃんと手伝うんだぞ。手を洗ってエプロンをつけたら、キッチンに集合だ」
「はい、お父さん」
「はーい、おとーさん」
子どもたちはまるで競い合うかのように寝室から駆け出して行く。
ああ、ホントに可愛いなあ……。
「私も亮くんと大くんみたいな子どもが欲しいな……」
ポロッと口から零れた一言には、深い意味があったわけじゃなくて。
でも。
「……本当に?」
確認するように囁きながら、見つめてくる桐丘先生の眼差しに、なんだかさっきまでと違う色を見つけてしまったような気がして、ビクッとしてしまった。
「桐丘先生」じゃなくて……「お父さん」じゃなくて……まだ、私の知らない……。
なんだか目が離せなくて、不自然なくらいじっと見つめてしまっていた。
不意に、桐丘先生の顔から微笑が消えて、真顔になる。
「……君にはもっとよく知ってほしい。
そして……好きになってほしいな」
好き、の二文字が私の耳を柔らかく包み込む。
きっと今、ぐんぐん赤くなってってる。
「あ……あのッ」
「うちの息子たちのことを、ね」
「……え?」
「本当に、2人とも僕の自慢の宝物だよ」
桐丘先生は大人っぽくて精悍なその顔に、少しいたずらっぽい笑みを浮かべる。
私は、ああ、この笑い方、ちょっと亮くんみたいだ……とかどうでもいいことを考えながら、小さく笑顔を返した。
「出来たよ、北森先生。温かいうちに召し上がれ」
「わあ、おいしそうなオムライス。タマゴがふわふわしてますね」
「へへ、おれがタマゴ割って、混ぜたんだ!!
で、大はケチャップで絵を描いたんだよー」
「そうなんだ、偉いねー、2人とも。……で、大くん、これ何の絵?」
「てんろーのおにーしゃん!!」
「……」
「しゃららーん♪」
《おしまい?》
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