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乙女ゲーマー麻咲(あさき)の、2.5次元を彷徨うブログ
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  プロフィール
HN:
麻咲
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1983/05/03
職業:
フリーター
趣味:
ライブ、乙女ゲーム、カラオケ
自己紹介:
好きなバンド

janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド 
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他

好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ) 
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット) 
フルハウスキス(羽倉麻生) 
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文) 
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助) 
花宵ロマネスク(紫陽) 
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸) 
僕と私の恋愛事情(シグルド) 
ラスト・エスコート2(天祢一星) 
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル) 
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク) 
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他

バイト先→某損保系コールセンター 

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2010/03/29 (Mon)
 おはようございます、メモリアルブックの氷渡君のプロフィールの【特技:なし】がじわじわボディブローのように効いて来て、時間差で吹いた麻咲です。

 周りに誰もいなくてよかった……。

 だって25人もキャラクターがいて、「なし」とか氷渡だけですよ。 
 どんだけ可哀想な子なの……!!

 よそのゲームのキャラだったら、【特技:チェロ】で十分なんですけどね。

 悲しいけどこれ、コルダなのよね。笑。

 そーだなー……うん、じゃあとりあえず、メールの速打ちから練習してみようか♪ 音速を越えて光速で(無理です)。


 まあそれはさておき、SS第2弾です。

 前回のSSが、思ったより好評で……というか、ぶっちゃけ猫神草子始まって以来の好評で(笑)、リアルに、あんな喝采初めてだったんだよ状態でした。笑。

 こうなるともう調子に乗るしかないぞ、と。


 今回は本編のシステムに則るなら「恋の音:♪♪」のイベントというイメージで書きました(前回が♪ひとつ目ということで)。

 それ以外にも、本編では基本的にメインキャラとしか出来ないシステムを、このシリーズでは反映させたいなーと思ってまして、前回は「差し入れ」だったのですが、今回も2つほど取り入れています。

 あと、氷渡とかなで以外も何人か出て来ますよ。


 本編ネタバレ注意&前作既読前提なのでよろしくお願いしますm(__)m


 おっけーな方は「つづき」へどうぞ。


 また仕事から帰ったら反省会upします。笑。

「親友、携帯が鳴っているぞ? メールのようだな」

「あ、ホントだー。ありがとう、ニア」

 かなでは一度立ち止まり、スカートのポケットに入れていた携帯を取り出した。

「また誰かからの誘いか?」

 ニアは小さく笑いながら、横から無遠慮にディスプレイを覗き込み……首をひねった。

「……空メール、だな」

 かなでも一緒に小首をを傾げて、んー、と少し考えた後で、あっ、と声を上げ、くすっ、と笑った。

「……登録、登録っと♪」






【 Like a cat on a hot tin roof 】









 同時刻、元町の雑踏の端っこで、ショッピングビルのショウウインドウに背中を預けながら、落ち着かない様子で立っている男がいた。

 男は、見て見ぬ振りで目の前を通りすぎる通行人を見て見ぬ振りしながら、ほんの1分の前の自分の行動を今更後悔し始めていた。

 ……というより、ここしばらくの出来事は思い出すだけで死にたくなるくらい、後悔の連続だったのだが……。

 しかし運命は、彼に立ち止まって振り返る暇を与えないつもりらしかった。

 小刻みなバイブレーションが、予想よりも早く彼の手の中で「着信」を告げる。

 それは、先程送信したメールのレスポンスに違いなかった。
 なにしろまだ、他には誰にも知られていないアドレスなのだから。


《件名:氷渡くんでしょ?(*^_^*)》


 氷渡は、っ、と短く息を呑んだ。
 顔文字が、送り主の笑顔と重なる。


《本文:メールありがとう★ でもせめて名前くらい入れようよ(笑)。何にも書いてないんだもん》


「……何書けって言うんだよ……」

 思わず独り言が口をついた。

 新しい携帯買ったら、メールしてね……と、あの日の別れ際、半ば無理矢理渡されたのは、小日向かなでのメールアドレスだった。

 言われたから一応、そうしただけだ。特に用事があるわけでもない。

 だから何も、書かなかったのだ。

 一方、かなでのメールは、楽しげに、歌うように、饒舌に語りかける。


《ねえねえ、氷渡くん、今日時間ある!? 森の広場でランチしよ? お弁当、オムライスなんだけど、好きかなー??
13時くらいにはもう行ってるから、気が向いたら氷渡くんもおいでよ(*゜ー゜)v
じゃーあとでねー♪ 
小日向でしたー★☆》

 目眩がする。

 「気が向いたら」、と言っておいて「あとでねー♪」と来るのだから敵わない。行くことが前提なのか?

 そもそも、ランチに誘って来ること自体が理解の範疇を越えている。

 メールでさえも、語るべき言葉に困っている人間をつかまえて、顔を突き合わせてどんな会話を楽しもうというのか。

「……冗談じゃない」

 すぐに断ってしまおうと、返信のキーを押したところで、

《Re:氷渡くんでしょ?(*^_^*)》

 顔文字の笑顔と目が合って、親指が止まる。

 ……がっかり、するのだろうか?

 脳裏に、森の広場で、溜め息をつきながら、ひとりで寂しそうにオムライスを食べているかなでの姿が浮かび上がって、浮いたままの親指が一瞬震えた。

 氷渡は舌打ちをして、そのまま携帯を閉じて、制服のポケットに突っ込んだ。







 みゃあうん。

 暢気に喉を鳴らしながら、横切っていく三毛猫を八つ当たり気味に睨みながら、氷渡は、木立の陰を歩いていた。

 さんざん思考を巡らせた挙げ句、広場に向かうことを選んだ自分の滑稽さは自覚している。

 それでも、すでに13時を少し過ぎてしまっている……その事実に、勝手に足が早まってしまう。

 しばらくして、木立の隙間から、ようやく見覚えのあるシルエットが見えた時には、安堵すら感じてしまった。

 だが。

 更に近づいて、すぐ側まで来たところで、氷渡はギョッと目を見開き、急いですぐ傍らにあった木の陰に身を隠した。

 なんだ?今のは?
 どういうことだ?

 恐る恐る、首だけ振り返り、今しがた見たものを確認する。

 茶色い野良猫を膝に乗せながら、楽しげにオムライスを口に運ぶ小日向かなで……そのすぐ側で、同じようにオムライスをつついている者が2人いた。

 氷渡と同じ制服に身を包んだ、2人の少年。

「オムライス、って中のライスが違うだけで随分違うものだね。
サッパリした醤油風味がなかなか僕の好みだよ」

「こっちは、中華風の味付けになってますよ。とっても美味しいです! すごいなー、小日向さん」

「そんな、誉めすぎだよ。でも喜んでくれてよかったー」

 やはり見間違いではなかった。

 天宮静と、七海宗介。

 今顔を合わせたくない人物トップ3のうち2人がそこに座っていた。

 どういうことだ……?

 激しく動揺する氷渡の足元で、


 なーーご。

 灰色の猫が欠伸をした。

 そしてそれは、残念ながら、届いてしまった。

「あ、氷渡くん」

 嬉しそうな声が背中に掛けられて、氷渡の肩はビクリと大きく上下した。

「よかった……来てくれたんだ。そんなところにいないで、早くこっちにおいでよ」

 「こっち」においで?
 何を言っているんだ?
 一体何の嫌がらせだ?

 涼しい木陰なのに、滝のように汗が吹き出す。

「……早く座ったら?」

 相変わらず感情を覗かせない、無機質な声で天宮が促す。

 七海は、そんな天宮と、かなでと氷渡とを交互に見やりながら、おずおずといった調子で、

「あの……美味しい、ですよ……小日向さんのお弁当……食べ、ませんか?」

 と、ランチボックスをこちらへ見せて来る。

 笑顔。
 無表情。
 懇願。

 三者三様のよくわからないプレッシャーに、頭が真っ白になってきた氷渡は、とりあえず少し離れたところに座った。

 が。

「もっとこっち♪」

 ちょいちょい、とかなでが手招く。

 少し前進する。

「もっと」

 前進する。

「もっともっと」

 最終的には、3人の輪が4人の輪になってしまう位置に招き入れられ、蛇に睨まれた蛙のような有り様だった。

「はい、氷渡くんのお弁当。オーソドックスなケチャップ味にしてみました♪」

 いい笑顔で、ポン、とオムライスを手渡して来たかなでに、

「……あんた、どういうつもりだ……?」

 微妙に掠れる声で問い掛ける。

「天宮さんや七海がいるなんて聞いてないぞ……?」

 かなでは不思議そうに目をしばたかせる。

「だめだった?」

 だめに決まってるだろ、と答えるより早く、かなでは言葉を繋げる。

「同じ天音の室内楽部の仲間、でしょ?」

「仲間、って……あんたな、俺は……」

 アンサンブルメンバーから弾き出された落ちこぼれで。

 天音の全国大会出場を阻もうとさえして。

 仲間だなんて思っていないし、思われてもいるわけがない。

 かなではそんな氷渡の気持ちを見透かしているかのように笑う。
 馬鹿にした笑いではなく、優しい笑みで。

「今は違うと思うなら、これから、なればいいと思うよ」

 馬鹿げたことを、真剣に語りかける。

「……そのための第一歩。まずは、何が必要か、わかるよね?」

「……」

 ここに来てようやく、この少女が何を求めて自分をここに招いたのか、わかった気がした。

 食事の手を止めて、こちらを静かに見つめる天宮と、不安そうに佇む七海。

 確かにかなでの言うように、「それ」は必要なことだろう。

 心臓がけたたましく鳴って、汗が止まらない。

 だが、ここで逃げることを小日向かなでは許してくれないだろう。

 氷渡は意を決して、2人のほうに身体を向けた。

「……天宮、さん……それと、七海……」

 深く被っていたキャップの端に指を掛けて、引く。
 銀色の髪が零れ、真夏の風に吹かれた。

 脱ぎ去ったキャップを握り締めるようにして、氷渡はゆっくりと、頭を垂れた。

「……馬鹿な真似して……迷惑かけて……すいません……でした」

 必要なもの、それは「けじめ」だ。
 自分が犯した過ちに対する「けじめ」。

 ほんの少し沈黙が訪れて、やがて、天宮がそれを破った。

「頼むから土下座とかしないでくれよ? そういう暑苦しいのは僕の趣味じゃない」

 ある意味予想通りのドライなリアクションだった。
 その口調には非難も侮蔑も感じさせない。

「最大の被害者だった彼女が許しているなら、もうそれでいいよ」

「あの」

 七海がためらいがちに口をはさむ。

「……氷渡さん、室内楽部の練習……最近、来てなかったですけど……その……辞めない、ですよね……?」

 その瞬間、いまだに完全には鎮火されていない、内側に燻る感情がプスッと音を立てて、キナ臭い煙が立ち上る。

「……辞めてくれたほうが嬉しいんじゃないのか?」

 言うつもりのなかった言葉がスルリと口をつく。

「それとも俺ごときは、いてもいなくてももうお前には関係ないか?」

「そんな……オレはっ」


「こら」

 不意に、左頬にふわっとした柔らかいものが触れた。


「喧嘩はやめるにゃー」


 満面の笑みを浮かべたかなでが、猫の前肢をとって、「猫パンチ」を繰り出していたのだった。

 一瞬の後、堪えきれないというように天宮が小さく吹き出した。

「まったく、君は本当に面白いね」

 天宮静がこんなに柔らかく、楽しげに笑うのを見るのは初めてで、氷渡は思わず目を見張った。

「七海くんも、遠慮しないでちゃんと思ってることを伝えないとだめだよ?」

「そう……ですよね。小日向さんの言う通りだ……」

 さっきまで泣きそうな顔をしていた七海までが、たった一言励まされただけで、目の輝きが変わった。

「氷渡さん」

 はっきりと明瞭な意志を宿した大きな瞳が、氷渡をまっすぐ見つめる。

「オレ……メンバーに選ばれたけど、まだ全然思うような演奏が出来なくて、悩んでばかりなんです……だから、先輩としての氷渡さんに色々教えて貰いたいな、って思ってます……」

 予想もしなかった言葉に、氷渡は黙り込み、ただ七海の顔を凝視するばかりだった。

「……氷渡さんがオレのことあんまり好きじゃないの知ってます……図々しいお願いなのはわかってるんです……でも、どうか力を貸してくれませんか? お願いします!!」

 黙っている氷渡の頬に、ぐりぐりと「猫パンチ」が食い込む。答えを促すように。

「……まあ、気が向いたら、な……」

「……あ、ありがとうございます……!!」

 本気で嬉しそうな顔をしている七海……そして満足そうなかなでを見ていると、何故かまたひとつ、自分を束縛していた鎖が千切れたような、不思議な感覚を覚える。

 氷渡は、今、自分の前に鏡が無くて良かったと思った。

 恐らく天宮や七海と同じように、誰にも晒したことのないような顔をしているに違いないのだから。

 居心地の悪いくすぐったさに、2人から目をそらした。

「円満に、話はついたようだね」

 天宮が口を開く。

「いい加減、昼食を再開するとしようよ。午後からまだまだ練習するんじゃないのかい?」

「賛成。食べよう、食べよう♪ やっぱり、仲間といえば『同じ釜の飯』だよねー」

 柔らかい卵に包まれた『同じ釜の飯』……今この場所はまさにそれに似ている。
 ばらばらなものが、ひとつにまとまる。
 たったひとりの存在に、包み込まれて。

 信じられないくらい穏やかな時間が訪れた。

 その矢先。

「……あ、そういえば氷渡くん」

「……ん?」

「氷渡くんって、シャンプー何使ってる?」

「……シャンプー?」

「いい匂いだなーって思って気になってたんだよね。ほら、この前あのビルで」

「っ」

「あ、あの、それはどういう……」

「へえ……君、まだ僕たちの知らない余罪がありそうだね。一体あそこで何をしていたのかな?」

「いや、それは……」

 また押し寄せて来た謎のプレッシャーに、氷渡はしどろもどろで言い訳を探しながら、横でキョトンとしているかなでを横目で睨んだ。







《END》

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