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乙女ゲーマー麻咲(あさき)の、2.5次元を彷徨うブログ
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  プロフィール
HN:
麻咲
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1983/05/03
職業:
フリーター
趣味:
ライブ、乙女ゲーム、カラオケ
自己紹介:
好きなバンド

janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド 
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他

好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ) 
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット) 
フルハウスキス(羽倉麻生) 
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文) 
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助) 
花宵ロマネスク(紫陽) 
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸) 
僕と私の恋愛事情(シグルド) 
ラスト・エスコート2(天祢一星) 
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル) 
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
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星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク) 
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ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他

バイト先→某損保系コールセンター 

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2008/12/25 (Thu)
 大石と鈴花に恋愛エンドがあるとしたら、其の三のSSみたいな話しかありえないだろうと思った……ということはすでに書きました。

 では逆に、無理矢理糖度高めのラブラブなSSを書いたらどうなるのか? ……という発想で書いた実験SSがこちらになります。


 いくらラブラブとはいえ、改心してまっとうになる大石とかあんまり見たくないので、デレてはいるものの相変わらず狂ってます。

 むしろ鈴花が歩み寄ったというか……よくない影響を受けてる感じ。笑。


 読んだ方はもれなくこんなの鈴花じゃない!! ……と思うことうけあいです。

 本編の8章を元にしているんですが、花柳で同じメインイベントの大石サイドの話が出てきましたね。

 そっちと比較するのも面白いかもしれません。


 では、色々と覚悟が出来た方は先へお進み下さい↓↓↓

《私しかいないでしょ?》



 三条大橋の東詰に張り込んで3日が経過した。

 高札抜き取りの犯人は未だに姿を現さない。

 鈴花をはじめ、東詰配置の隊士たちは皆、じわじわと疲弊していた。


「なかなか動きがありませんね?」

 見張りの浅野たちの報告はまたも「異常なし」。

「まったく、焦らしてくれたもんだよね」

 詰め所として借りている商家の締め切った奥座敷。
 畳に座り込んで隅の柱にもたれかかり、大石は皮肉っぽく吊り目を細めた。

「宮本武蔵でも気取ってるのかなぁ?」

 鈴花は格子窓から橋のあるほうを眺めていた。
 ここからでは異変があってもわからないが、浅野が駆けてくればすぐに見つけられる。

 そうしたら別室にたまっている隊士たちに呼び掛けて直ちに出発できる。

「ただじーっと待つのって結構辛いもんですね。たかが手の込んだ悪戯の取り締まりって思うと尚更」

 原田隊は今頃どうしているだろう?

「幕府の権威に関わるのは確かですけど……っふぁ……いけない」

 仮にも任務遂行中。鈴花は必死で欠伸を噛み殺した。

「いっそさぁ」

 大石は遠慮なく欠伸まじりに呟く。

「今から橋のほうに向かってく人間を一人ずつ斬ってっちゃったらどうかな」

「はぁ?」

「その中に当たりがいなくても、今後は、恐くて誰も高札には近付けなくなると思うけど」

「……」

 鈴花は格子を背にして、久々に大石に振り返った。

「今本気でいい考えだと思ってるでしょう?」

 そう半ばあきれ顔で問うと、

「あれ? ダメかな」

 大石はいかにも楽しげだった。

「だって飽きちゃったよ……後ろ姿は」

「え?」

「もうちょっとでおまえの顔、忘れるところだ」

「……」

 顔色一つ変えずに言われた台詞に、勝手に頬が色付いてしまう。

「……な、何気障なこと口走ってんですか!」

「だって俺がここにいるのに、おまえは浅野ばっかり探してるし……それ、かなり嫌なんだけど」

「だ、だって」

「正直言って、今は犯人よりあいつを切り刻みたい気分だよ」

「……すぐそういうこと言う」

 興味があることは刀を振るうことだけで、しかも人を斬るのが趣味みたいな最低な性格。

 それなのにどうして憎めないのだろう?

 それは剣の腕は絶品で、見てくれも悪くはないけれど、それだけなら隊の中には何人もいる。強くて優しくて格好良い人がたくさんいる。

 それなのにどうしてこの人にしてしまったんだろう?

 鈴花は一つ息をついて苦笑いした。

「あなたみたいな危険な人に背中任せられるのは私くらいなもんでしょ?」

「……確かにね」

 鈴花はもう一度ちらりと外を見やって何もないのを確認してから窓辺を離れた。

 膝を抱える姿勢で座っている大石に正面から向かい合うように座る。

「言っておきますけど。それは、けっしてあなたを信じてるからじゃないですよ」

「……」

「あなたがどうしても斬りたいなら、斬られてもいいから」

 大石は無表情な眼差しをじっと向けている。

「そんなふうに思える女が私の他にいると思う?」

 不意に無表情が弛んで、笑みに転じる。

「あの時の仕返し?」









 一月ほど前。一緒に巡察した帰り。

 部屋に戻るところをいきなり呼び止められた。


「俺たち、付き合わない?」


 冗談だと思った。

「何ばかなこと言ってんですか?」

「ひどい返事だね。傷つくなあ」

 どう考えても自分に興味などなさそうな相手にそんなことをいきなり言われて、誰が本気にするだろう。

 しかしいつまで待っても大石は「冗談だよ」とは言わなかった。

「……それって、あの、私が大石さんの恋人になるってことですか?」

「うん、そう」

 あっさりと答えて、大石は自分の腰のものに手をかけた。

「……断るの?」

 鈴花の顔はさ~っと青ざめた。

「……お、脅しですか!? そんなの卑怯じゃ……」

「で、どうするの?」

「……」

「ほら、答えてよ」

「……わ、わかりました」

 到底納得出来るような話ではなかったが仕方がない。こんなところで斬り捨てられてはたまったもんではない。

 とりあえずこの場を切り抜けるためにはその返事しかなかった。

 大石は刀から手を引いて、ふっと口の端をあげて笑んだ。

「じゃあそういうことでよろしく」

「あの……一つ、いや二つ聞いていいですか?」

「なに?」

「根本的な話ですけど、大石さんは私のことが好きなんですか?」

 そんな質問を口にすること自体が恥ずかしくて、思わずおずおずした口調になってしまう。

「好きだよ」

 背筋にゾクッと波が走った。大石のほうはためらいもしないのだからたまらない。

「どこが? どうして私なんです?」

 それが二つ目の質問。
 わからなければ、とてもではないが納得がいかないこと。

 大石は余裕の笑みを浮かべたままゆっくり距離を詰めて、鈴花の肩に痩せて筋張った手を置いた。

 胸の鼓動がけたたましく騒いでいる。

 指先がすっと首筋をなぞった。

「……っ」

 蛇ににらまれたように動けない鈴花の鼻先に、今触れていた指がつきつけられる。

 かすかに赤いものがまとわりついていた。

 それは先刻の斬り合いでわずかに浴びてしまった不逞浪士の返り血。

「赤い色が似合うところかな」

 その血を自らの口に運び、舌先で拭った。

「血の匂いのする女なんてなかなかいないよね」

「な」

 ちょっとこれ以上はないだろうというくらい最低な理由だった。

 相手がその気になればいつでも首を飛ばされる位置にいながら、そんなことは忘れて思わず大石の袖を掴んだ。

「そんな理由で!? 最っ低!!」

「……」

「……!?」

 いきなりもう一方の手が腰元に触れて、ぐっと鈴花の小さい身体を強引に引き寄せた。

「ちょっ」

 大石の薄い胸板に頬を押し当てる態勢になってしまった。

「……俺はそういうおまえがいいな」

 頭の上に大石の吐気がかかる。

「泥だらけで戦場走って、血にまみれて剣を振って、そんな女を愛せる男って他にいるのかな?」












 三条大橋東詰の商家の奥座敷で、膝を立てて座る大石の両脚の間に収まる形で、あの夜一番近くにあった胸に鈴花は頭を預けていた。

 前に回された腕が捕えて離さないかのようにそれを包む。

「……あんなふうに言われて、ちょっと嬉しかったなんて……私も相当変なのかな」

「ふふっ……」

 耳元で笑う声。

「斬られてもいいなんて言われると、斬りたくなくなるのはなんなんだろうね」

 冗談めかした言い回しに、つられて笑ってしまう。ちっとも笑いごとではないのに笑えてしまう。

「だって私しかいないでしょ?」

 こんなあなたを愛せるのは。

 鈴花はふと考える。

 壊れた人の傍にいすぎて、どこか壊れてしまったのかもしれない。

 それでも大石という男の恋人がつとまるのは、恐らく自分だけだろうと思う。

 大石もそう思ったから、自分を選んだのだろう。

 そんなふうに考えると、なぜか心が満たされるような気がする。

 不思議な感覚だった。

 首をそらせて至近距離の顔を見つめる。

「私たち、結構合う……のかな?」

 不適な笑みを刻む唇は言葉では何も答えず、代わりに更に距離を近付け、やがて、重なった。





 すっかり任務を忘れ去ってしまった二人は出遅れて、待ちに待った大捕物の主役を原田に奪われてしまったという……。


《完》

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