忍者ブログ
乙女ゲーマー麻咲(あさき)の、2.5次元を彷徨うブログ
  カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
  web拍手★
  ブログ内検索
  お気に入り
Lost Heaven
↑↑美夜プロデューサー様の素敵過ぎるマイドルSSサイト★



ありったけの愛を君に
↑↑かりんプロデューサー様の素敵過ぎるブログ★



ときめきの星たち★彡
↑↑みさきプロデューサー様の素敵過ぎるブログ★



維新恋華 龍馬外伝 (初回生産版)

新品価格
¥3,670から
(2010/12/1 23:28時点)





Marchen(初回限定盤)

新品価格
¥3,800から
(2010/12/1 23:30時点)





Vitamin XtoZ Limited Edition

新品価格
¥6,899から
(2010/12/1 23:32時点)













キミとWonder★Kiss!を応援中!














うたの☆プリンスさまっ♪ 月宮林檎















  リンク


 

  カウンター
  プロフィール
HN:
麻咲
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1983/05/03
職業:
フリーター
趣味:
ライブ、乙女ゲーム、カラオケ
自己紹介:
好きなバンド

janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド 
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他

好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ) 
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット) 
フルハウスキス(羽倉麻生) 
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文) 
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助) 
花宵ロマネスク(紫陽) 
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸) 
僕と私の恋愛事情(シグルド) 
ラスト・エスコート2(天祢一星) 
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル) 
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク) 
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他

バイト先→某損保系コールセンター 

  バーコード
  アクセス解析
[693] [692] [691] [690] [689] [688] [687] [686] [685] [684] [683]
2024/11/23 (Sat)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2008/12/25 (Thu)
 で、これが2本目。芹沢編です。

 ちなみに4年前にupした時には誰からも何のリアクションもありませんでした。笑。

 芹沢×鈴花とか、需要がないんですかねー……個人的にはサブキャラでもかなり好きなほうだし、会話できるサブキャラで唯一花柳に出なくて、超悲しかったんですけどね。汗。


 大石の三部作は全部問題作なのですが、仕事の昼休みにでも若干校正して、今日の夜upします。

 三部作の内訳は、「シリアス」「ブラックコメディ」「ラブラブ」です。爆。

 当時はまだ倫がいなかったので、大石×鈴花ですが、それでもいいという方は是非今夜見に来て下さい。


 そんなところで芹沢SSへ行きたいと思います。

 注意事項はだいたい伊東SSと同じですが、当然のように大石は出ません。笑。

 それでは、どうぞご覧下さい。感想を頂けたら嬉しいです。↓↓

 《芙蓉恋歌》


 全ての音を飲み込み、全ての思いを飲み込み、路傍の花を打ち付けて、雨は注いでいる。

 その冷たい雨を全身に受けながら、桜庭鈴花は膝を抱えてしゃがんでいた。

 もう終わっただろうか?
 あの人は死んだのだろうか??

「……芹沢さん」

 不意に。
 まったく不意に。

 一月ほど前の、夏の日差しをはじく庭先でのことが頭をかすめた。








「おい、桜庭」

 ぶっきらぼうに名前を呼ばれ、肩を竦めて振り返った。

「そんなところでお前は何をやってやがる」

 最近では素面なほうが珍しいような筆頭局長が、廊下からこちらを見やっていた。
 一瞬緊張が走ったが、幸いなことに機嫌は悪くないようであった。

「えっと、今日は暑いから庭の花に水を」

 手桶と柄杓を軽く持ち上げてみせると、フンと鼻で笑われた。

「そんなもの、お前がわざわざやる必要もないだろう。八木家の連中に任せておけ」

「まあ、そうですけど……非番だし、水を見てると涼しくなるし」

 手桶の中で揺れる水が陽光を虹色に散らす。

 芹沢は少し眩しそうに眉根を寄せた。

「……それはなんて花かわかるか?」

「え?」

 予想外の問い掛けに、鈴花は目の前の花木を見やった。幾つか堅いつぼみをつけてはいたが、まだ花開かない木を判別するのは困難だった。

「……え~っと、わからないです。咲いてくれればわかると思うんですけど」

 勇気を絞って正直に答えると、芹沢は呆れたように一言、

「芙蓉だ」

と告げた。

「え、ふよう?」

「お前も女ならそういうことも少しは知っていろ」

 からかうような口調で言われ、恥ずかしさに思わず俯く。

「……はい、勉強します。でも本当に芹沢さんは博識ですよね」

「少なくともお前よりはだいぶ長く生きているからな……知らなくていいことも、知りたくないことも随分知っちまった」

 どこか遠くを見る眼差し。幾つも修羅場をくぐってきた大人の男。

 息をきらせて走っても追い付けそうもないような場所にいる人。

 そう意識すると、なんだか途端に胸がせつなくなった。

 女らしくもなくて、まだまだこどもで、剣士としても未熟で。

 花開く気配のない堅いつぼみと同じ……。

 もしも打ち明けてしまったら。

 きっと笑われる。

 初めてダンダラの隊服に袖を通したあの日。
 数十もの槍を向けられて一歩も引かなかった、あの豪胆な姿を見た時から。
 目を離すことが出来なくなった。
 父子ほども年の離れたこの人に。
 たぶん。
 恋をしてしまった……。

「私も知りたいです……それを知ることで傷ついたとしても……それでほんの少しでも」

「ほんの少しでも?」

 あなたに近付けるなら。強くなれるなら。








 とりとめもない回想に見切りをつけて、すくっと立ち上がった鈴花は、激しさを増すばかりの雨に濡れた前髪をすくい上げ、ことが行なわれている屋敷を見つめた。

「……ここでただ待っているなんて嫌だ」

 ぎゅっと両手を握りしめた。

「……ごめんなさい、土方さん」


 あれから一生懸命調べた。

 芙蓉の花は朝方に白い大輪の花を咲かせ、夕方までゆっくりと薄紅色に染まってゆき、一夜で花を終える。
 たった一日だけ、はかなくも華麗に、大きく優雅に開く花。


「何のつもりだ、桜庭。お前には見張りを命じた筈だ」

 土方の厳しく、緊迫した怒号に一瞬ひるみながらも、鈴花ははっきりと言った。

「もうその命令に従うことは出来ません」

「桜庭くん、それはいけない」

 山南が一歩歩み出て、諭すように囁く。

「君がそこをどかないつもりなら、我々は君を斬らなくてはいけない。頼むからこのまま退いてくれ」

 鈴花は首を横に振った。そして腰の刀に静かに手をかける。

「馬鹿野郎!! 抜くんじゃねえぞ!? 抜いたらお前も敵だぜ」

 槍を構え直す原田を見ても決意は揺らがなかった。

「……私が芹沢さんを守ります」

「何をわけのわからねぇことを言ってやがる」

 鈴花の背中で芹沢が舌打ちをした。

「お前に守ってもらう筋合いはない……ガキはとっとと帰れ」

「ほらほら、芹沢さんもあなたの出る幕じゃないと言ってますよ」

 沖田は端正なおもてに酷薄な笑みをたたえた。

「勝負の邪魔、しないで下さいよ」

 対峙する四人を見渡し、一度息を整えると、そっと芹沢を振り返った。

「今の私は隊士としてよりも女として。好きになった人のために花を咲かせたいです……」

 にわかに芹沢の顔色が変わった。

「お前……」

 願わくばあなたのために強く、あなたのために美しく。
 たとえ一夜だけでも。
 あなたのために咲いて、散らせて。
 四人に向き直り、握り締めた刀を一息に抜こうとした。その瞬間。

「うるさい」

「……っ!?」


 左の肩口に強い痛みが走り、世界が揺れて、一瞬呼吸が止まった。

 気が付けば畳に転がって、先程まで自分が立っていた場所を見ていた。

「……な……どうして……?」

 自分を殴り飛ばしたものが、芹沢の鉄扇だと気付いて唖然とした。

「……芹……沢さん……?」

 痛みで立ち上がることが出来ない。

「おい、これで邪魔者はいなくなったぞ。続きをやってやる。とっととかかってきやがれ、小虫どもが」

 早く立たなくてはならないのに、ゆっくりと意識が遠退く。視界が霞んで、五人の声も、鍔迫り合いの音も遠くなっていく。

「……せり、ざ、わ……さん……」


 つぼみのまま、花も開けないまま、夜が明けていく。


 目を開けると、夕つ方の茜色の庭にたたずんでいた。芙蓉の花が咲き乱れ、ほんのりと香る晩夏の庭。
 縁側にあぐらをかいた芹沢が、杯を傾けている。

「おい、酌をしろ」

 相も変わらない愛想のかけらもない声。
 何故かいつものように恐くはなくて、鈴花は恨みがましい視線を投じた。

「酌をしろ、じゃないです」

「痛かったか」

「痛かったです」

「俺を恨むか?」

「恨みますよ」

 ふと目を細め、真剣な顔つきで芹沢が呟いた。

「それでもお前を死なせたくなかったと言ったら?」
「……」

 唇をかんだ。

「うそ……私なんてどうなったって構わないクセに……」

 女として認めてなんてくれていなかったクセに。

「確かに女としてはまだまだだがな……命はってまで好いてくれる奴を憎く思う男なんざいねぇだろ?」

 そう言って笑う芹沢の表情は今まで見たこともないほど優しく、穏やかだった。

「目の前に立ちはだかって俺に振り返った時。あの瞬間は、マジでお前に惚れてたかもな」

 この芹沢鴨様がな、と楽しげに高笑いする。

「……芹沢さん……」

 堅く堅く閉じていたつぼみが、ゆっくりとほころびる。

「……大好き」

「……わかったよ。わかったから、とっとと酌だ」

「……はい!!」

 ゆっくりと、静かで幸福な一時がすぎていく。


 短い夢から覚めると、自室の布団の中だった。
 戸の隙間から朝日が差し込んできている。
 雨の残り香。
 左肩がじんじんと痛む。
 それだけの事実が、現実に流れた時と、現実の運命を悟らせた。
 声をあげて泣いた。


 ほどなく、鈴花は真実と自らの想いを畳んで胸にしまいこみ、新選組を除隊した。
 目まぐるしく移りゆく日本を見つめながら、最愛の人の墓を守って生涯を送る道を選んだ……。


「……私が芹沢さんを守ります」


《完》

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
name*
title*
color*
mail*
URL*
comment*
password* Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
忍者ブログ [PR]

* ILLUSTRATION BY nyao *