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乙女ゲーマー麻咲(あさき)の、2.5次元を彷徨うブログ
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  プロフィール
HN:
麻咲
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1983/05/03
職業:
フリーター
趣味:
ライブ、乙女ゲーム、カラオケ
自己紹介:
好きなバンド

janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド 
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他

好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ) 
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット) 
フルハウスキス(羽倉麻生) 
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文) 
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助) 
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Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸) 
僕と私の恋愛事情(シグルド) 
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2008/12/22 (Mon)
 日下部のクリスマスSSが意外に好評だったので、今度は伶一のクリスマスSSを書いてみました。

 伶一と燈夜は胸キュンのイベントにも出てないし、いよいよもって不遇ですよね。

 いっそサブキャラ全員分を書こうかと思ったけど、本家とネタ被りなしでクリスマスもののSSを5つ書く、って地味に大変なような気がします。汗。

 伶一もすごく悩んだ結果、こんなことになりました……。

 以下の注意を確認した上で、自己責任でご覧下さいませ。



・柳本伶一のグッドエンド後日談です。ネタバレ……というほどのバレはない気もしますが、一応ご注意を。

・ヒロインの名前はデフォルトネーム「葉山さつき」

・あとはえーっと……えーっと……日下部SSと一緒です!(手抜きするな)


それではどうぞお進みください↓↓

《聖夜の食卓》




 こうやって、彼のマンションでキッチンに立つのは何回目だろう。
 最初は全くといっていいほど勝手がわからなかったのに、今では何がどこにしまってあるか、何がどれだけ置いてあるか、何を買ってくればいいか、大抵のことはすぐにわかるようになってしまった。

 彼の味の好み、食べ方の癖、どんどんわかるようになっていく。

 今もほら、ちらっと横顔を見ただけでわかる。

 何か言いたいことがあるんじゃないの?

 伶一くん。


「あの、さつきさん」

 レタスの葉をむしる手を休めて、とうとう彼は口を開いた。

「ホンマに、よかったんですか?」

「もちろん」

 私は笑ってそう答えた。

「楽しいじゃない? こういうのも」

 クリスマスイヴの朝、約束の時間より随分早くに伶一くんから電話がかかってきた時には、流石にちょっとびっくりした。
 なにしろ第一声が、

《さつきさんっ! めっちゃヤバいです!緊急事態ですわ!!》

 ……だもの。それは誰だってびっくりするに決まってる。

 伶一くんをここまでうろたえさせた『緊急事態』。
 それは、彼のお母さんからの電話だった。


《大阪の家族が今、車でこっち向かってるらしいんです! 夕方には着くとかいうて……》

 伶一くんの家族は、お父さんとお母さんと弟。
 写真を見せてもらったし、しばしば伶一くんの口から話が出るから、会ったことはなくてもなんとなくイメージが湧いてくる。

 みんな仲良しで、にぎやかで、楽しそうで。

 せっかくのクリスマスだから、東京で一人頑張ってる長男にみんなで会いに行こう、それもギリギリまで内緒にしてびっくりさせよう、なんて計画を立てたとしても納得できてしまう。

 それに伶一くんだってきっと、滅多に会えない家族と久々に会えるんだから、嬉しくないわけはないと思う。

 伶一くんが、今夜の予定を変更して家族との食事に付き合ってもらいたいと言ってきた時、私は喜んでそれを承諾した。

 まあ、それは……家族にプロデューサー兼恋人として紹介されるなんて、かなり緊張するけど。

「伶一くんこそよかったの? 家族水入らずで過ごしたくない?」

「いや、俺としてはやっぱりさつきさんに……俺の家族に会ってほしいです」

 伶一くんはほんの少し、照れたように笑った。

「ホンマに騒がしいんで、びっくりさせるかもですけど」

「ふふふ、楽しみだわ」


 柳本ファミリーをお迎えする準備は着々と進んでいる。

 ごく簡単なものだけど部屋も飾り付けたし、ディナーの準備も順調だ。

 メニューは、ケーキとチキン、イタリアンサラダ、野菜たっぷりのトマトスープに……何故か、どっさり明石焼き。

 柳本家の伝統らしい……。

 そういえばこうやって、キッチンで2人並んで料理を作る……っていうのは初めてだったりする。

 普段部屋に来る時は、だいたい私が夕飯を作って……彼が朝ご飯を作るのが習慣になってるから。
 ……私が早起き苦手なのがその主な理由だけどね。


 サラダの手作りドレッシングをかき混ぜる伶一くんの手際はとても鮮やか。プロのシェフみたいだ。

 カフェスタイルの前掛けエプロンがすごく似合ってるし……ついつい見とれて手が止まりそうになってしまう。


 ……って。いけない、いけない。
 あまり時間がないんだから、手を止めてしまったら間に合わない。

 そろそろスープの灰汁取らないと……と鍋に視線を戻したその時。

「……なんかいいですね~。2人で料理っていうのも。エプロン姿でおたま持ってるさつきさんもめちゃめちゃ可愛いし」

「ぷっ」

 伶一くんの言葉に思わず吹き出してしまう。

「え、何かおかしいですかね?」

「ふふっ、だって……私もおんなじこと考えてたから。料理する伶一くんを近くで見れて嬉しいな、って」

「……ちょっとちょっと、さつきさん。そんなん言われたら抱き締めたくなるやないですか!」

「うん。私も抱き締められたいなー、って思ったところ」

 わざと冗談っぽく返したけど、それはお互い本当の気持ちで。
 伶一くんはドレッシングのボールを一度置いて、後ろから私のお腹のあたりに腕を回して、すっと引き寄せた。

 肩口から近づいて来た顔が、首筋に軽くキスを落とす。

「……未練、ないわけでもないんですよね、2人っきりのクリスマスイブ」

 いつもより低いトーンで囁く声。

「……こんなふうに、体温を感じながら、とか」

 ヤンチャな男の子が、突然見せる大人の男の顔……私はこれに、とても弱いらしい……。

 自分の顔が赤くなっていくのが自分でわかってしまう。

「……伶一くん……」

「……まあ、それは来年のお楽しみにしときましょうか」

 吐息のかかるような近い距離で、伶一くんの猫みたいな大きな瞳が私を映して優しく輝く。

「これからクリスマスは何回もありますもんね。……来年も再来年も、何十年先も……俺と一緒に過ごして下さいね」

「うん……」

「……なんか、勢い余って俺、プロポーズみたいなこと言ったかも」

 今更照れてみせる彼があまりにもいとおしくて、そっと目を閉じて、唇を重ねた……次の瞬間。


「うあっ、鍋が」

「きゃあっ、吹き零れちゃう!」

 伶一くんは慌てて身体を離し、私も慌てて火を弱めて、どちらからともなく溜め息をつく。
 そして。

「……なんか、しまりませんねえ」

「……なんか、しまらないわねえ」

 同時にぼやいた。

 でもすぐに笑い合って、

「さて、仕上げに入りますか」

「そうしますか!」

 なんとなく幸せな気持ちで、また作業に戻っていった。







 伶一くんのご家族は、想像していた以上に楽しい人たちだった。
 大阪独特のノリとあいまって、まるで初対面とは思えないくらいフレンドリーに接してくれて。
 伶一くんのお母さんに今度は是非大阪にも遊びに来てほしい、って言ってもらえた時には本当に嬉しかった。

 流石にみんなで泊まるには伶一くんの部屋は狭いから、ホテルに部屋を取っているということで、思いの外早くに帰ってしまったのだけど。

 柳本ファミリーが去った後の部屋は、いつもと同じに戻っただけなのに、いやに静かに感じられた。


 ……さて、片付けなくちゃ。


 料理もほとんど綺麗に食べてくれていて、空っぽになった皿が並ぶテーブルを見渡した。

 あれ。

 何故だろう。

 なんだかせつない。

 胸の奥がキュッとなる……。


「……さつきさん?」

 心配したように、伶一くんが顔を覗いてくる。

「……どうかしたんですか?」

 本当に、どうしたのかな? 私……。

 ……。

 ああ、そうか。

 久しぶりだったんだ。


 父さんと母さんがいた頃は、食卓にはいつも4人分のお皿が並んでた。

 子どもの頃は食べ終わった食器の片付け、手伝うのが日課だった。

 賑やかな食事が当たり前だった……。


 伶一くんもご両親と弟の4人家族ということもあって、私は心のどこかで自分自身の思い出の景色をそこへ重ねてしまっていたのかもしれない。

「さつきさん?」

「大丈夫だよ、伶一くん……心配しないで」

 私は感傷を振り切るように笑ってみせた。

「幸せなことを思い出してたの。……伶一くんのおかげで思い出せたから」

 その胸に飛び込むように抱きつく。

「おっと」

 ちょっと驚きながらも優しく受け止めてくれる彼の背中に、そっと腕を回した。

「伶一くん、家族……大事にしてあげてね」

 伶一くんからしたら私の行動も、言葉も、突飛で脈絡のないものだったかもしれない。
 それでも伶一くんは、

「……はい」

 しっかりと答えて、包むように抱き返してくれた。

「……それから……私もいつか、伶一くんの家族になりたいな」

「えっ、それって……」

「……勢い余ってプロポーズみたいなこと言っちゃった」

 私は彼の胸に顔を埋めたまま、小さく笑った。












《聖夜の食卓・END》

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