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プロフィール
HN:
麻咲
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1983/05/03
職業:
フリーター
趣味:
ライブ、乙女ゲーム、カラオケ
自己紹介:
好きなバンド
janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他
好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ)
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット)
フルハウスキス(羽倉麻生)
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文)
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助)
花宵ロマネスク(紫陽)
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸)
僕と私の恋愛事情(シグルド)
ラスト・エスコート2(天祢一星)
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル)
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク)
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他
バイト先→某損保系コールセンター
janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他
好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ)
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット)
フルハウスキス(羽倉麻生)
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文)
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助)
花宵ロマネスク(紫陽)
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸)
僕と私の恋愛事情(シグルド)
ラスト・エスコート2(天祢一星)
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル)
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク)
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他
バイト先→某損保系コールセンター
アクセス解析
2007/05/27 (Sun)
一次創作関連
オリジナル乙女ゲーム(制作未定 笑)のプレストーリー第2弾。
今回はギター担当・玄鳥(クロト)くんがメインだけど、まだ名前は本名の綾(アヤ)くんなので混乱なされぬようお気をつけを。
「綾(アヤ)くん」
ドライバーシートからのけだるい声がそっと沈黙を破る。
「……ガム、取ってくれへん? グローブ・ボックスん中」
「あ、はい」
少し頭を低くして、目の前の取っ手を引いた。
中を覗き込んで、
「……」
閉めた。
「……綾くん、ガム……」
「……なかった、です」
「……ホンマに?」
「……なかったです!」
「……もっと、よう探してや。ガムないとオレ、あと15秒で寝るから」
「……」
抑揚のない脅迫を受けて、やむなくもう一度グローブボックスを開けた綾は、さっき見たものが幻でないことを実感した。
なんでここに、こんなものが……?
「綾くん、早く」
「……はあ」
綾は心を決めてグローブボックスに手をつっこみ、サラリとした手触りのピンク色の布切れを指でつまんでどかした。
広げて確かめるでもなく、ソレは女性ものの下着だった。
恐らくは、使用済みの。
その下から現れたボトル入りのガムを手に取り、蓋を開けてドライバーシートに差し出した。
「サンキュ」
つまみあげた黒い粒を口に放り込みながら、運転手が呟いた。
「欲しい? それ……」
「いや、オレ、辛いガムはちょっと苦手で」
「そやなくて、ピンクのそれ」
「え」
「……多分忘れ物やけど、どのコのかわからへんから」
しれっとした口調でそう言われ、綾は体の血がぐっと上に昇るのを感じながら、ガムを再び投げ入れて、すぐさまグローブボックスを閉じた。
「い、いりませんよ」
「……綾くんって……」
ふっ、と鼻から抜ける笑いを浮かべて、運転手が囁く。
「……チェリー?」
#2・【玄鳥 ―2004・秋―】
「なッ……」
血の流れは更に加速する。
「あ、有砂(アリサ)さんッ」
「……ま、どっちでもかまへんけど」
綾は、ウインドウにがくっと頭をもたげた。
やはり苦手だ。
この人は。
ガムをゆっくりと口腔内でもてあそぶ有砂(アリサ)の、少しはだけた首のつけねには、まだ新しい痣が見え隠れしている。
いけないものを見たかのように、綾は視線を逃がす。
初めて会った時から、有砂の持つ独特の空気と言動は綾を戸惑わせてばかりいた。
とりあえず気まずい(と思っているのはおそらく綾のほうだけなのだが)空気を変えるために話を振ってみる。
「あの……有砂さんは、どう思ってるんですか?」
「……何が?」
「兄貴はオレを認めてくれるでしょうか……heliodor(ヘリオドール)の新しいメンバーとして」
「……さあなぁ……オレは紅朱ちゃうから」
「……まあ、そうですけど」
全くもって糠に釘だ。
目指す目的地までのドライブのハンドルを握るのが、有砂になってしまったことは今の綾には不運なことだったのだろうか。
「……まあそこはジブンが巧く説得するんやな……あいつは単純やから、なんとでもなるやろ」
まるで突き放すかのような台詞の後に、
「少なくともオレと蝉(ゼン)からは文句はないで……ジブンのハラがホンマに決まっとんのやったらな」
続いた言葉は、綾の中で重く響いた。
有砂の言うことは、正しい。
これは、けっして中途半端な気持ちで決めてはいけない。
本当にそれだけの覚悟があるのか。
暗に有砂は確認しているのだろう。
「オレは……」
「……紅朱の気持ちは今九割解散に傾いとる。あの負けず嫌いの強情者が、オレや蝉にまで弱音を吐きよってみっともない……けど、実際はもうヤツは限界までズタズタな筈やで」
胸をえぐるようなその内容とは裏腹に、有砂の口調は相変わらず淡々としたもので、それでも綾は真剣な顔付きで頭をウインドウに預けたきり、黙って耳を傾けていた。
「何の前ぶれもなく公私ともの大切な『パートナー』に去られた直後に、追い討ちをかけるようなあの『事故』や。あいつの右手は今後もう、長時間の演奏に耐えることはできんねんで? ……そう医者に言われた時の荒れっぷりは尋常やなかった。ギターボーカルゆうスタイルにこだわりを持っとった紅朱にしたら、それは喉が潰れるのと変わらんくらいのはかりしれない痛手やで」
「……兄貴、上京してから初めて向こうからオレに電話を……田舎に、帰るかもって」
故郷を去っていったあの日とはまるで別人のような、かすれた疲れきった声が、その絶望の深さを物語っていた。
口調はまだどこかに強がりの色を残してはいたが、そんなものがはったりに過ぎないのは明らかだった。
少なくとも実弟の綾にわからぬ筈もない。
「……だけどオレは、兄貴にはバンドを続けてほしいと思ってます。たとえもう、ステージでギターを弾くことができないとしても、唄うことは止めないでほしい」
綾はゆっくりと頭を起こして、決意を込めた口調で告げた。
「きっと、唄うために生まれてきた人だから。必要ならこのオレが、兄貴の右腕になります」
「……それは献身的兄弟愛の自己犠牲なんか?」
そう鋭く問いつめる有砂の声は、どこかはりつめたものを感じさせた。
綾は首を横に振る。
「それは、違います……オレが、好きなだけです。兄貴の唄。だからきっと、自分のためです」
ふっと有砂は微笑を浮かべた。
「そうやゆうたら唄だけなんやってな、あいつが綾くんに勝てるものは」
「えっ……兄貴、なんか言ってました?」
思わず前傾姿勢になって有砂を見やる。
有砂は進行方向を見つめたまま、薄い唇に含みのある微笑を浮かべたまんまで、
「オレらは耳がタコんなるくらい聞かされたで。ガキん頃から弟はなんでも自分の真似したがりよって、結局なんでも自分より巧なってた、生意気なやっちゃゆーて」
「ちょっと待って下さい! 違いますよ。それは兄貴が飽きっぽくてすぐ投げ出すからですよ……続けてればもっと上達する筈なのに」
「……どっちの言い分が正しいんかはわからん。どっちも正しいゆーこともあるやろう。けど、少なくともギターのセンスはジブンのがずっと上やな……」
「……そうでしょうか」
「……ん?」
「オレは何をやっても自分が納得できるレベルに達したことなくて、誰に誉められても、どんな賞を貰っても自分に自信なんてもてないし、ギターも同じで、練習しても練習しても漠然と不安で……」
赤信号でゆっくり停車し、ブレーキのゆるいGが車体に、そしてその中の二人にかかる。
有砂は相変わらずガムを口の中で音もなく噛み転がしながら、またぼそりと囁く。
「……それは一応世間では《向上心》って呼ばれてるんやけど」
「……向上、心」
「浅川兄弟は揃ってプライドの高い野心家ときた」
「……」
恐らくは生まれて初めて受けた評価に、綾は一瞬返す言葉を見い出せず、有砂を凝視してしまった。
「……あの、それって」
「……なかなか有望やと思うで、ジブン」
よくはわからないが、どうやら誉められたらしいとわかり、綾は少し安心したと同時に照れ臭くてたまらなくなった。
何やらさっきから、赤くなりっぱなしのような気がする。
「なんか、暑いですね……窓開けます?」
「……オレは肌寒いくらいやけど」
「そうですか……そうですよね」
確かに秋真っ盛りの夜、普通の感覚なら有砂が言うように感じるのが普通だろう。
有砂は短く息を吐いて言った。
「……まあ、そない暑いんやったら、後部座席の下のほう、さっき買った水あるから飲んでええよ」
「あ、はい……ありがとうございます」
喉の渇きが一気に自覚された。
綾は有砂の言葉に甘えようと、サイドシートを倒しながら体をひねって覗き込み、
「え」
固まった。
「あの……」
「……また、忘れ物があったか?」
「……ええまあ……それと、その……丸まったティッシュとか、アレとか……あの、せめてこういうのは片付けたほうが……」
「……そうか、まあ、気を付けるわ」
大して本気でなさそうな返事に、綾は引きつった笑みを浮かべた。
普段は人の車だろうとゴミが落ちていれば片付けるが、流石にこれを触るのは気が引けるというものだ。
なんだかんだと話を聞いてくれたり、結果的に不安を除いてくれたり、有砂は第一印象よりはずっと親しみを感じさせたが、彼からほんのりと漂う、男性用ではない香水の匂いが、なんとなく壁を築いている。
年齢はせいぜい二つ・三つくらいしか違わない筈だが、その二倍も三倍もの隔たりを感じる。
それは有砂が実年齢の二倍も三倍もの経験……修羅場をくぐっているからなのではないかと思えてならなかった。
もし、本当に《仲間》になることができたなら、いつかはもっと知っていくのだろうか。
今はまだ見えない、有砂の心の中や、有砂をこんなふうに形造った過去の一端を。
手を伸ばして、目当てのエヴィアンのボトルを掴んで、シートを戻し、座り直した。
「それにしても、思ったより遠いですね。兄貴のマンション。あとどのくらいですか??」
「……ああそうやな、そろそろ向かうか」
「……え??」
意味がわからなかった。
「……今、オレたち、兄貴のとこに向かってるんじゃ……」
「いや。ちょっと話がしてみたかったから適当に走っとっただけや……ホンマは20分とかからへん」
「……はあ」
もう相槌を適当に入れるのがやっとだった。
まだ一応冷えているミネラルウォーターを一口飲んで息を吐き出した。
「有砂さんのことがわかったような、わからなくなったような……」
「ところで綾くんは、名前、どうする気ぃや」
当の有砂のほうは気にも留めずに別の話題を持ちかけてくる。
「名前……そうか、みんな本名じゃなかったんでしたね」
「何か考えてへんのか……?」
「そこまでは全然。まずはheliodorのメンバーにしてもらえるかどうかってとこが問題だと思ってましたし……そういうの考えるの苦手で。有砂さんはなんで、《有砂》って名前にしたんですか?」
有砂は顔色ひとつ変えずに、答えた。
「昔オレを殺そうとした女の名前」
「は?」
「……カケル、2やな」
「あの……」
「まあ、大した意味はないんやけどな」
どう考えても大した意味がないとは思えないが、それ以上つっこんではいけないような気がした。少なくとも今は。
「オレの名前は……ゆっくり、考えます。まだ時間は、ありますから」
時間はある。
考えるための時間。
話し合うための時間。
知っていくための時間。
それはまだ始まったばかりの、永い永い、夜の物語。
《END》
今回はギター担当・玄鳥(クロト)くんがメインだけど、まだ名前は本名の綾(アヤ)くんなので混乱なされぬようお気をつけを。
「綾(アヤ)くん」
ドライバーシートからのけだるい声がそっと沈黙を破る。
「……ガム、取ってくれへん? グローブ・ボックスん中」
「あ、はい」
少し頭を低くして、目の前の取っ手を引いた。
中を覗き込んで、
「……」
閉めた。
「……綾くん、ガム……」
「……なかった、です」
「……ホンマに?」
「……なかったです!」
「……もっと、よう探してや。ガムないとオレ、あと15秒で寝るから」
「……」
抑揚のない脅迫を受けて、やむなくもう一度グローブボックスを開けた綾は、さっき見たものが幻でないことを実感した。
なんでここに、こんなものが……?
「綾くん、早く」
「……はあ」
綾は心を決めてグローブボックスに手をつっこみ、サラリとした手触りのピンク色の布切れを指でつまんでどかした。
広げて確かめるでもなく、ソレは女性ものの下着だった。
恐らくは、使用済みの。
その下から現れたボトル入りのガムを手に取り、蓋を開けてドライバーシートに差し出した。
「サンキュ」
つまみあげた黒い粒を口に放り込みながら、運転手が呟いた。
「欲しい? それ……」
「いや、オレ、辛いガムはちょっと苦手で」
「そやなくて、ピンクのそれ」
「え」
「……多分忘れ物やけど、どのコのかわからへんから」
しれっとした口調でそう言われ、綾は体の血がぐっと上に昇るのを感じながら、ガムを再び投げ入れて、すぐさまグローブボックスを閉じた。
「い、いりませんよ」
「……綾くんって……」
ふっ、と鼻から抜ける笑いを浮かべて、運転手が囁く。
「……チェリー?」
#2・【玄鳥 ―2004・秋―】
「なッ……」
血の流れは更に加速する。
「あ、有砂(アリサ)さんッ」
「……ま、どっちでもかまへんけど」
綾は、ウインドウにがくっと頭をもたげた。
やはり苦手だ。
この人は。
ガムをゆっくりと口腔内でもてあそぶ有砂(アリサ)の、少しはだけた首のつけねには、まだ新しい痣が見え隠れしている。
いけないものを見たかのように、綾は視線を逃がす。
初めて会った時から、有砂の持つ独特の空気と言動は綾を戸惑わせてばかりいた。
とりあえず気まずい(と思っているのはおそらく綾のほうだけなのだが)空気を変えるために話を振ってみる。
「あの……有砂さんは、どう思ってるんですか?」
「……何が?」
「兄貴はオレを認めてくれるでしょうか……heliodor(ヘリオドール)の新しいメンバーとして」
「……さあなぁ……オレは紅朱ちゃうから」
「……まあ、そうですけど」
全くもって糠に釘だ。
目指す目的地までのドライブのハンドルを握るのが、有砂になってしまったことは今の綾には不運なことだったのだろうか。
「……まあそこはジブンが巧く説得するんやな……あいつは単純やから、なんとでもなるやろ」
まるで突き放すかのような台詞の後に、
「少なくともオレと蝉(ゼン)からは文句はないで……ジブンのハラがホンマに決まっとんのやったらな」
続いた言葉は、綾の中で重く響いた。
有砂の言うことは、正しい。
これは、けっして中途半端な気持ちで決めてはいけない。
本当にそれだけの覚悟があるのか。
暗に有砂は確認しているのだろう。
「オレは……」
「……紅朱の気持ちは今九割解散に傾いとる。あの負けず嫌いの強情者が、オレや蝉にまで弱音を吐きよってみっともない……けど、実際はもうヤツは限界までズタズタな筈やで」
胸をえぐるようなその内容とは裏腹に、有砂の口調は相変わらず淡々としたもので、それでも綾は真剣な顔付きで頭をウインドウに預けたきり、黙って耳を傾けていた。
「何の前ぶれもなく公私ともの大切な『パートナー』に去られた直後に、追い討ちをかけるようなあの『事故』や。あいつの右手は今後もう、長時間の演奏に耐えることはできんねんで? ……そう医者に言われた時の荒れっぷりは尋常やなかった。ギターボーカルゆうスタイルにこだわりを持っとった紅朱にしたら、それは喉が潰れるのと変わらんくらいのはかりしれない痛手やで」
「……兄貴、上京してから初めて向こうからオレに電話を……田舎に、帰るかもって」
故郷を去っていったあの日とはまるで別人のような、かすれた疲れきった声が、その絶望の深さを物語っていた。
口調はまだどこかに強がりの色を残してはいたが、そんなものがはったりに過ぎないのは明らかだった。
少なくとも実弟の綾にわからぬ筈もない。
「……だけどオレは、兄貴にはバンドを続けてほしいと思ってます。たとえもう、ステージでギターを弾くことができないとしても、唄うことは止めないでほしい」
綾はゆっくりと頭を起こして、決意を込めた口調で告げた。
「きっと、唄うために生まれてきた人だから。必要ならこのオレが、兄貴の右腕になります」
「……それは献身的兄弟愛の自己犠牲なんか?」
そう鋭く問いつめる有砂の声は、どこかはりつめたものを感じさせた。
綾は首を横に振る。
「それは、違います……オレが、好きなだけです。兄貴の唄。だからきっと、自分のためです」
ふっと有砂は微笑を浮かべた。
「そうやゆうたら唄だけなんやってな、あいつが綾くんに勝てるものは」
「えっ……兄貴、なんか言ってました?」
思わず前傾姿勢になって有砂を見やる。
有砂は進行方向を見つめたまま、薄い唇に含みのある微笑を浮かべたまんまで、
「オレらは耳がタコんなるくらい聞かされたで。ガキん頃から弟はなんでも自分の真似したがりよって、結局なんでも自分より巧なってた、生意気なやっちゃゆーて」
「ちょっと待って下さい! 違いますよ。それは兄貴が飽きっぽくてすぐ投げ出すからですよ……続けてればもっと上達する筈なのに」
「……どっちの言い分が正しいんかはわからん。どっちも正しいゆーこともあるやろう。けど、少なくともギターのセンスはジブンのがずっと上やな……」
「……そうでしょうか」
「……ん?」
「オレは何をやっても自分が納得できるレベルに達したことなくて、誰に誉められても、どんな賞を貰っても自分に自信なんてもてないし、ギターも同じで、練習しても練習しても漠然と不安で……」
赤信号でゆっくり停車し、ブレーキのゆるいGが車体に、そしてその中の二人にかかる。
有砂は相変わらずガムを口の中で音もなく噛み転がしながら、またぼそりと囁く。
「……それは一応世間では《向上心》って呼ばれてるんやけど」
「……向上、心」
「浅川兄弟は揃ってプライドの高い野心家ときた」
「……」
恐らくは生まれて初めて受けた評価に、綾は一瞬返す言葉を見い出せず、有砂を凝視してしまった。
「……あの、それって」
「……なかなか有望やと思うで、ジブン」
よくはわからないが、どうやら誉められたらしいとわかり、綾は少し安心したと同時に照れ臭くてたまらなくなった。
何やらさっきから、赤くなりっぱなしのような気がする。
「なんか、暑いですね……窓開けます?」
「……オレは肌寒いくらいやけど」
「そうですか……そうですよね」
確かに秋真っ盛りの夜、普通の感覚なら有砂が言うように感じるのが普通だろう。
有砂は短く息を吐いて言った。
「……まあ、そない暑いんやったら、後部座席の下のほう、さっき買った水あるから飲んでええよ」
「あ、はい……ありがとうございます」
喉の渇きが一気に自覚された。
綾は有砂の言葉に甘えようと、サイドシートを倒しながら体をひねって覗き込み、
「え」
固まった。
「あの……」
「……また、忘れ物があったか?」
「……ええまあ……それと、その……丸まったティッシュとか、アレとか……あの、せめてこういうのは片付けたほうが……」
「……そうか、まあ、気を付けるわ」
大して本気でなさそうな返事に、綾は引きつった笑みを浮かべた。
普段は人の車だろうとゴミが落ちていれば片付けるが、流石にこれを触るのは気が引けるというものだ。
なんだかんだと話を聞いてくれたり、結果的に不安を除いてくれたり、有砂は第一印象よりはずっと親しみを感じさせたが、彼からほんのりと漂う、男性用ではない香水の匂いが、なんとなく壁を築いている。
年齢はせいぜい二つ・三つくらいしか違わない筈だが、その二倍も三倍もの隔たりを感じる。
それは有砂が実年齢の二倍も三倍もの経験……修羅場をくぐっているからなのではないかと思えてならなかった。
もし、本当に《仲間》になることができたなら、いつかはもっと知っていくのだろうか。
今はまだ見えない、有砂の心の中や、有砂をこんなふうに形造った過去の一端を。
手を伸ばして、目当てのエヴィアンのボトルを掴んで、シートを戻し、座り直した。
「それにしても、思ったより遠いですね。兄貴のマンション。あとどのくらいですか??」
「……ああそうやな、そろそろ向かうか」
「……え??」
意味がわからなかった。
「……今、オレたち、兄貴のとこに向かってるんじゃ……」
「いや。ちょっと話がしてみたかったから適当に走っとっただけや……ホンマは20分とかからへん」
「……はあ」
もう相槌を適当に入れるのがやっとだった。
まだ一応冷えているミネラルウォーターを一口飲んで息を吐き出した。
「有砂さんのことがわかったような、わからなくなったような……」
「ところで綾くんは、名前、どうする気ぃや」
当の有砂のほうは気にも留めずに別の話題を持ちかけてくる。
「名前……そうか、みんな本名じゃなかったんでしたね」
「何か考えてへんのか……?」
「そこまでは全然。まずはheliodorのメンバーにしてもらえるかどうかってとこが問題だと思ってましたし……そういうの考えるの苦手で。有砂さんはなんで、《有砂》って名前にしたんですか?」
有砂は顔色ひとつ変えずに、答えた。
「昔オレを殺そうとした女の名前」
「は?」
「……カケル、2やな」
「あの……」
「まあ、大した意味はないんやけどな」
どう考えても大した意味がないとは思えないが、それ以上つっこんではいけないような気がした。少なくとも今は。
「オレの名前は……ゆっくり、考えます。まだ時間は、ありますから」
時間はある。
考えるための時間。
話し合うための時間。
知っていくための時間。
それはまだ始まったばかりの、永い永い、夜の物語。
《END》
PR
2007/05/25 (Fri)
一次創作関連
前文込みで全角5000文字くらい短文ながらSSシリーズをついにスタート。
これはネタバレ有の蛇足文だから、本編を先に読んだほうがいいかと……。
乙女ゲームのプレストーリーって大抵男しか出てこないから、なんかヤヲイっぽくなるんだよね。笑。
それを防止する意味で、ゲストの女子を派遣してみた。
ゲーム本編に出てくる可能性はかなり低いけど、モブキャラとしてなら有か??
一応、こっから時系列を遡っていく予定なので、しばらく万楼くんは出て来ない筈。
最年少かつ一番後に参加するメンバーなので。
万楼くん、この話の時点では18歳。高校卒業してすぐの設定。ぴっちぴち。
可愛い顔で年下だけどショタではない。
彼は無意味にいつもヘソチラ衣装のヘソ要員にしようかと思ってるんだけど。いかが。笑。
有砂は鎖骨、蝉はうなじ、玄鳥は生脚、紅朱は二の腕で! と言いつつ、私は別にどのフェチでもないんだが。いや、ほんとに。
あえて強調したように、バンド内で一番美形設定なのは万楼くん。
一応イメージ絵も描いてあるんだけど、まだ改良すると思うから上げるのはまた今度。
直毛サラサラの王子さまミドルヘア、おめめぱっちりという感じ。
また、バンド内で1、2を争うくらい変人というか、常識から逸脱した子なんだけど、何故か憎めないような、そんなイメージだね。
次回は、#1にも出てきた「玄鳥」くんがメイン。
ペンギンとか言われてるけど、一応モチーフはツバメ。名前もツバメからきてるし。
むしろペンギンといえば某道化師の下手ギターだった人がまだ愛らしいビジュアルだった時代を連想してしまう……。
まあ、なるべく早めに更新したいところだけど、来週からハードスケジュールなんだよなあ。
これはネタバレ有の蛇足文だから、本編を先に読んだほうがいいかと……。
乙女ゲームのプレストーリーって大抵男しか出てこないから、なんかヤヲイっぽくなるんだよね。笑。
それを防止する意味で、ゲストの女子を派遣してみた。
ゲーム本編に出てくる可能性はかなり低いけど、モブキャラとしてなら有か??
一応、こっから時系列を遡っていく予定なので、しばらく万楼くんは出て来ない筈。
最年少かつ一番後に参加するメンバーなので。
万楼くん、この話の時点では18歳。高校卒業してすぐの設定。ぴっちぴち。
可愛い顔で年下だけどショタではない。
彼は無意味にいつもヘソチラ衣装のヘソ要員にしようかと思ってるんだけど。いかが。笑。
有砂は鎖骨、蝉はうなじ、玄鳥は生脚、紅朱は二の腕で! と言いつつ、私は別にどのフェチでもないんだが。いや、ほんとに。
あえて強調したように、バンド内で一番美形設定なのは万楼くん。
一応イメージ絵も描いてあるんだけど、まだ改良すると思うから上げるのはまた今度。
直毛サラサラの王子さまミドルヘア、おめめぱっちりという感じ。
また、バンド内で1、2を争うくらい変人というか、常識から逸脱した子なんだけど、何故か憎めないような、そんなイメージだね。
次回は、#1にも出てきた「玄鳥」くんがメイン。
ペンギンとか言われてるけど、一応モチーフはツバメ。名前もツバメからきてるし。
むしろペンギンといえば某道化師の下手ギターだった人がまだ愛らしいビジュアルだった時代を連想してしまう……。
まあ、なるべく早めに更新したいところだけど、来週からハードスケジュールなんだよなあ。
2007/05/25 (Fri)
一次創作関連
結局書いてしまった。オリジナル乙女ゲーSS。
一応一人一人をフィーチャーしながら、ヒロインと出会う前の物語を書いていこうかと。
第一段はベースの万楼くん。最初なんで電波っぷりは一応抑えめで。
「ねえ。100円、頂戴」
なれなれしく肩を叩いてきた赤の他人。
「100円足りないんだ」
その赤の他人からのぶしつけな要求が、
「……100円?」
問答無用に黙殺されずに済んだのは、
「うん。412円と、あとはもうおっきいのしかないんだ」
単純に彼の笑顔が、可愛かったからだ。
「100円玉、キミは持っていないかな」
その笑顔に捕まった、彼女は重たくマスカラを重ねた睫毛を一瞬しばたかせた。
「え……えっと」
彼女がポケットに押し込んだコインケースの中身を思い出すよりも早く、
「はい100円!!」
前後左右から銀色のコインを乗せた掌が彼の前に差し出された。
合計四枚。
その持ち主たちはみんな「美少年と仲良くなる突然の大チャンス」に目がぎらついている。
「はは、東京の女の子ってみんな優しいんだな」
その美少年は、いよいよ嬉しそうに顔をほころばせた。
「どうもありがとう」
4枚の100円玉を、集めて握り締める。
そこにもう一枚、100円玉が差し出された。
肩を叩かれた彼女だった。
「よ、よかったら……」
美少年はそれも遠慮なく受け取ると、他の四枚と合わせてぎゅっと握った。
「やった。ドリンク代、浮いた」
「円」で「縁」を買った女の子たちは、さっと彼を取り囲んだ。
「ねえねえ、《東京の》、ってことはお兄さん遠征組?? このイベ」
「どのバンド見に来たの? あたしはねぇ、3ば」
「そのチケ、Bチケ? 前のほう場所とっといてあげるから一緒に見ない? 上手側のほ」
「ねえねえ、せっかくだからメアド交換しな~い? 赤外せ」
「あの、あたし、リサ。あなたは?」
聖徳太子のアビリティは身に付けていない美少年は、唯一聞き取れた最後の質問にだけ、ゆっくりと、答えた。質問者は、最初の少女だった。
「ボクの、名前? ……万楼(マロウ)、って呼んで」
#1・【万楼 ―2006・春―】
「あれ、帰るの? リサ」
「ううん。目当てのバンド終わったから、残りは後ろで見ようかなって」
「そうなんだ」
「……万楼、ライブハウスってあんまり慣れてない?」
「初めてなんだ」
開場時間まで万楼を質問ぜめにしていた「バンギャ」たちは、前方の似たような集団の中にめいめいに潜り込んで、もう薄闇の中でなくても見分けがつきそうになかった。
一方。機材の入れ換えを行う暗転したステージを、壁に寄りかかりながら見つめる万楼の、中性的で整った横顔は、すれ違う人をいつも少し振り向かせた。
リサは少しだけ得意気に、そんな万楼の隣に立った。
「高松から来たって言ってたよね」
「うん。飛行機で」
「万楼はリッチだね。あたしは金沢から。高速バスの夜行で」
「遠征、っていうんだっけ」
「うん。当たり前みたいにうちらは使うけど、改めて言われるとなんか仰々しい言葉だよね」
「カッコいいと思うよ」
万楼はそう言って、サラサラした直毛の髪をサイドかき上げる。
長い前髪の隙間からのぞく大きな瞳は、正面からではきっと直視できないほど眩く煌めく。
「ねえところで、携帯、ホントに持ってないの?」
「持ってないんだ。携帯もパソコンも」
「不便じゃないの?」
「なぜ? 昔はそんなものなかったのに、みんな平気だったよ」
「……万楼って、だいぶ変わってるね」
「そうかな」
「うん。変」
「変かぁ」
リサの言いようにも特に気を悪くするでもなく、万楼は、
「リサは東京のバンド、詳しいのかな」
ふと話題を変えてきた。
「《heliodor(ヘリオドール)》っていうバンド、知ってる?」
「ヘリオドール?」
シャン、とステージの上でセッティング中のシンバルが鳴った。
「ボクは本当はそのバンドを探しているんだ。だけど」
万楼の大きな瞳が微かに揺れた。
「ずっと前に活動休止して、行方がわからないって言われたんだ」
溜め息を吐いて、一瞬、唇を噛む。
彼が初めて見せたうかない表情だった。
「だけど、今日のイベントに出るバンドの、サポートギターの人が、heliodorのメンバーによく似てるから見てみたら?って言われたから」
「紅朱(コウシュ)に、似てるんだよね」
「知ってるの?」
「heliodorは、有名だからね。人気あったし」
「紅朱って人が、ギタリスト?」
「紅朱はボーカルだよ。ギタボ。でも」
リサはなぜか申し訳なさそうに声をひそめた。
「私は事故に遭って死んだって聞いたけど」
「……」
万楼はリサを振り返り、緩慢な動きで首を左右した。
「それは、困る」
「困るって言われても……あ」
「どうしたの?」
「多分、あの人がそうだよ。サポートギターの人。確かに顔は紅朱そっくりだから、ネットでも話題になってる」
リサはステージの上手を指差した。
なんとはなしに、オーディエンスにも波のようなどよめきがあったようだった。
ギターのチューニングをしているのは、20代前半くらいの細身の青年だった。
黒と思われる短い髪に、一部白いメッシュを入れている。
他のメンバーと同じようなカジュアルな黒いジャケットを羽織っていた。
「ペンギンみたいだ」
万楼がボソッと評した。
「ペンギンって……」
ほどなくしてステージを照明が照らし出し、人の塊がだっと前方に押し寄せる。SEと黄色い歓声がフェードインし、そしてアウトした。
鳴り出した演奏の音に負けないように万楼は少し声のトーンをあげる。
「紅朱って人とは本当に違うの?」
「……違うと思う」
「どうして?」
「紅朱より、ずっと巧いから」
「全っ然動かない」
「終演後のドリンクカウンターは混むからね」
「覚えておくよ」
ドリンクチケットを指先でもてあそびながら、万楼は小さく笑った。
一方通行の人波に揉まれながら、渋滞するロビーで立ち往生する二人は、やはりなんとなく注目を集めている気がした。
「リサ、あのペンギンさんと話をするにはどうしたらいいのかな?」
「う~ん……噂だと《待ち》しても、ほとんどスルーらしいからね」
「話せないの?」
「難しいかな。でも、万楼は男の子だし、警戒されにくいから、少しくらいなら聞いてくれるかもしれないよ」
「本当に!?」
久々に明るい表情に戻った万楼に、リサも笑った。そしてそっと手を差しのべた。
「ドリンクチケット、貸して。私が引き換えるから、万楼は先に行って待ってなよ。このハコなら多分、正面に向かって右奥の入り口からメンが出入りする筈だから、そこにいるといいんじゃないかな」
「いいの?」
「ペンギンさんと話せるといいね」
「ありがとう……!!」
お互いに今日一番の笑顔を浮かべた。
万楼からリサへ、ラミ加工された小さなチケットが渡される。
「メロンソーダにして」
「OK」
「お疲れ、玄鳥(クロト)」
「お疲れ様です。今日はありがとうございました」
右手に持ったプラスチックカップに入ったビールが傾いて、危うく溢れそうなくらい深く一礼する。
「勉強させてもらいました」
「何言ってんだ、こっちはお前に食われないかハラハラもんだったぜ」
「そんな」
「だな。お前はちゃんと自分の存在感を演出しながら、メインを引き立てるコツを得てる。大したギタリストだよ」
「……褒め過ぎですって」
いきなり手放しに称賛されて、玄鳥と呼ばれた青年は照れ臭そうに白メッシュの頭をかいた。
「……なんだか、紅朱が照れてるみたいでキモイな」
「……」
それに関してはノーコメントで、玄鳥はビールを口に運んだ。
「なあ、玄鳥」
同じようにビールをあおりながら、つい先刻同じステージに上がったボーカリストは、少し改まった声で問うた。
「heliodorはまだ動かないのか?」
玄鳥は吊り気味のアーモンド型の眼をすがめた。
「まだです。肝心のベースが……」
「やっぱり、《粋(スイ)》ほどのベーシストの代わりが務まる人間はそうはいないか」
「ええ……特に、有砂(アリサ)さんがなかなか納得してくれなくて。みんな、毎日日本中を飛び回ってますよ。オレもそうするべきなのかもしれないけど、それより今はこうやって少しでも経験を積みたいと思ってます……オレは兄貴の右腕ですから」
「そう、か」
残念そうに嘆息する先輩ミュージシャンに、玄鳥はカップを握る手に少し力を込めた。
人々は暗黒の空を見上げ、ひざまずいて待望する。
再びこの空に太陽が昇ることを。
「ペンギンさん!」
玄鳥が思わず振り返ってしまったのは、あまりにも呼ばれ慣れない名前だったからだろう。
すぐ側で誰かが吹き出したのがわかった。
「あの……オレ?」
「ペンギンさん、ペンギンさん」
「ペンギンさん」を連呼するとびきりの美少年に唖然としつつも、玄鳥はコホンとベタな咳払いをした。
「あの、オレはペンギンさんじゃ……」
「ペンギンさんは、本当は紅朱さんって人なの?」
直球な問掛けをぶつける美少年は、妙に真剣な顔付きだった。
「ボクは万楼。heliodorでベースを弾くために高松から来たんだよ」
「え……? 君は」
「ある人に、頼まれたんだ。だから……」
「heliodor」の名前を出したことで、ただでも目立っていた二人は一気に周囲の視線を集めていた。
それを察した玄鳥は、とっさに万楼の手首を掴んで引き寄せた。
「君、とりあえず一緒に来て……話を聞くから」
「その人なら、例の紅朱のソックリさんとどっかに行っちゃいましたよ。私もおっかけたんだけど、撒かれちゃった~」
「そう……ですか」
リサは両手にプラスチックのコップを持ったまま、人もまばらになり始めた搬入口に立ち尽くしていた。
「万楼……ペンギンさんと話せたのかな……」
もう一度会ってメロンソーダを渡せなかったのは残念だったが、リサには不思議な予感があった。
万楼にはいつかまた会える気がする。そしてその時彼は、もしかしたら「向こう側」かもしれないと。
どうしてそう思うかと聞かれれば、それは「バンギャの勘」というやつだろうか。
カップの中でたゆたう、透き通った鮮やかな緑の液体を、迷った挙句口に持っていった。
「……少なくとも、二割はあたしのだし」
潮騒の街からやってきたその少年こそが、最後の欠片だった。
一度は完成し、そしてあっけなく瓦解してしまった「太陽の国」を再び形造るための……。
明けない夜はない。
朝日はもうすぐ、世界を照らす。
《END》
一応一人一人をフィーチャーしながら、ヒロインと出会う前の物語を書いていこうかと。
第一段はベースの万楼くん。最初なんで電波っぷりは一応抑えめで。
「ねえ。100円、頂戴」
なれなれしく肩を叩いてきた赤の他人。
「100円足りないんだ」
その赤の他人からのぶしつけな要求が、
「……100円?」
問答無用に黙殺されずに済んだのは、
「うん。412円と、あとはもうおっきいのしかないんだ」
単純に彼の笑顔が、可愛かったからだ。
「100円玉、キミは持っていないかな」
その笑顔に捕まった、彼女は重たくマスカラを重ねた睫毛を一瞬しばたかせた。
「え……えっと」
彼女がポケットに押し込んだコインケースの中身を思い出すよりも早く、
「はい100円!!」
前後左右から銀色のコインを乗せた掌が彼の前に差し出された。
合計四枚。
その持ち主たちはみんな「美少年と仲良くなる突然の大チャンス」に目がぎらついている。
「はは、東京の女の子ってみんな優しいんだな」
その美少年は、いよいよ嬉しそうに顔をほころばせた。
「どうもありがとう」
4枚の100円玉を、集めて握り締める。
そこにもう一枚、100円玉が差し出された。
肩を叩かれた彼女だった。
「よ、よかったら……」
美少年はそれも遠慮なく受け取ると、他の四枚と合わせてぎゅっと握った。
「やった。ドリンク代、浮いた」
「円」で「縁」を買った女の子たちは、さっと彼を取り囲んだ。
「ねえねえ、《東京の》、ってことはお兄さん遠征組?? このイベ」
「どのバンド見に来たの? あたしはねぇ、3ば」
「そのチケ、Bチケ? 前のほう場所とっといてあげるから一緒に見ない? 上手側のほ」
「ねえねえ、せっかくだからメアド交換しな~い? 赤外せ」
「あの、あたし、リサ。あなたは?」
聖徳太子のアビリティは身に付けていない美少年は、唯一聞き取れた最後の質問にだけ、ゆっくりと、答えた。質問者は、最初の少女だった。
「ボクの、名前? ……万楼(マロウ)、って呼んで」
#1・【万楼 ―2006・春―】
「あれ、帰るの? リサ」
「ううん。目当てのバンド終わったから、残りは後ろで見ようかなって」
「そうなんだ」
「……万楼、ライブハウスってあんまり慣れてない?」
「初めてなんだ」
開場時間まで万楼を質問ぜめにしていた「バンギャ」たちは、前方の似たような集団の中にめいめいに潜り込んで、もう薄闇の中でなくても見分けがつきそうになかった。
一方。機材の入れ換えを行う暗転したステージを、壁に寄りかかりながら見つめる万楼の、中性的で整った横顔は、すれ違う人をいつも少し振り向かせた。
リサは少しだけ得意気に、そんな万楼の隣に立った。
「高松から来たって言ってたよね」
「うん。飛行機で」
「万楼はリッチだね。あたしは金沢から。高速バスの夜行で」
「遠征、っていうんだっけ」
「うん。当たり前みたいにうちらは使うけど、改めて言われるとなんか仰々しい言葉だよね」
「カッコいいと思うよ」
万楼はそう言って、サラサラした直毛の髪をサイドかき上げる。
長い前髪の隙間からのぞく大きな瞳は、正面からではきっと直視できないほど眩く煌めく。
「ねえところで、携帯、ホントに持ってないの?」
「持ってないんだ。携帯もパソコンも」
「不便じゃないの?」
「なぜ? 昔はそんなものなかったのに、みんな平気だったよ」
「……万楼って、だいぶ変わってるね」
「そうかな」
「うん。変」
「変かぁ」
リサの言いようにも特に気を悪くするでもなく、万楼は、
「リサは東京のバンド、詳しいのかな」
ふと話題を変えてきた。
「《heliodor(ヘリオドール)》っていうバンド、知ってる?」
「ヘリオドール?」
シャン、とステージの上でセッティング中のシンバルが鳴った。
「ボクは本当はそのバンドを探しているんだ。だけど」
万楼の大きな瞳が微かに揺れた。
「ずっと前に活動休止して、行方がわからないって言われたんだ」
溜め息を吐いて、一瞬、唇を噛む。
彼が初めて見せたうかない表情だった。
「だけど、今日のイベントに出るバンドの、サポートギターの人が、heliodorのメンバーによく似てるから見てみたら?って言われたから」
「紅朱(コウシュ)に、似てるんだよね」
「知ってるの?」
「heliodorは、有名だからね。人気あったし」
「紅朱って人が、ギタリスト?」
「紅朱はボーカルだよ。ギタボ。でも」
リサはなぜか申し訳なさそうに声をひそめた。
「私は事故に遭って死んだって聞いたけど」
「……」
万楼はリサを振り返り、緩慢な動きで首を左右した。
「それは、困る」
「困るって言われても……あ」
「どうしたの?」
「多分、あの人がそうだよ。サポートギターの人。確かに顔は紅朱そっくりだから、ネットでも話題になってる」
リサはステージの上手を指差した。
なんとはなしに、オーディエンスにも波のようなどよめきがあったようだった。
ギターのチューニングをしているのは、20代前半くらいの細身の青年だった。
黒と思われる短い髪に、一部白いメッシュを入れている。
他のメンバーと同じようなカジュアルな黒いジャケットを羽織っていた。
「ペンギンみたいだ」
万楼がボソッと評した。
「ペンギンって……」
ほどなくしてステージを照明が照らし出し、人の塊がだっと前方に押し寄せる。SEと黄色い歓声がフェードインし、そしてアウトした。
鳴り出した演奏の音に負けないように万楼は少し声のトーンをあげる。
「紅朱って人とは本当に違うの?」
「……違うと思う」
「どうして?」
「紅朱より、ずっと巧いから」
「全っ然動かない」
「終演後のドリンクカウンターは混むからね」
「覚えておくよ」
ドリンクチケットを指先でもてあそびながら、万楼は小さく笑った。
一方通行の人波に揉まれながら、渋滞するロビーで立ち往生する二人は、やはりなんとなく注目を集めている気がした。
「リサ、あのペンギンさんと話をするにはどうしたらいいのかな?」
「う~ん……噂だと《待ち》しても、ほとんどスルーらしいからね」
「話せないの?」
「難しいかな。でも、万楼は男の子だし、警戒されにくいから、少しくらいなら聞いてくれるかもしれないよ」
「本当に!?」
久々に明るい表情に戻った万楼に、リサも笑った。そしてそっと手を差しのべた。
「ドリンクチケット、貸して。私が引き換えるから、万楼は先に行って待ってなよ。このハコなら多分、正面に向かって右奥の入り口からメンが出入りする筈だから、そこにいるといいんじゃないかな」
「いいの?」
「ペンギンさんと話せるといいね」
「ありがとう……!!」
お互いに今日一番の笑顔を浮かべた。
万楼からリサへ、ラミ加工された小さなチケットが渡される。
「メロンソーダにして」
「OK」
「お疲れ、玄鳥(クロト)」
「お疲れ様です。今日はありがとうございました」
右手に持ったプラスチックカップに入ったビールが傾いて、危うく溢れそうなくらい深く一礼する。
「勉強させてもらいました」
「何言ってんだ、こっちはお前に食われないかハラハラもんだったぜ」
「そんな」
「だな。お前はちゃんと自分の存在感を演出しながら、メインを引き立てるコツを得てる。大したギタリストだよ」
「……褒め過ぎですって」
いきなり手放しに称賛されて、玄鳥と呼ばれた青年は照れ臭そうに白メッシュの頭をかいた。
「……なんだか、紅朱が照れてるみたいでキモイな」
「……」
それに関してはノーコメントで、玄鳥はビールを口に運んだ。
「なあ、玄鳥」
同じようにビールをあおりながら、つい先刻同じステージに上がったボーカリストは、少し改まった声で問うた。
「heliodorはまだ動かないのか?」
玄鳥は吊り気味のアーモンド型の眼をすがめた。
「まだです。肝心のベースが……」
「やっぱり、《粋(スイ)》ほどのベーシストの代わりが務まる人間はそうはいないか」
「ええ……特に、有砂(アリサ)さんがなかなか納得してくれなくて。みんな、毎日日本中を飛び回ってますよ。オレもそうするべきなのかもしれないけど、それより今はこうやって少しでも経験を積みたいと思ってます……オレは兄貴の右腕ですから」
「そう、か」
残念そうに嘆息する先輩ミュージシャンに、玄鳥はカップを握る手に少し力を込めた。
人々は暗黒の空を見上げ、ひざまずいて待望する。
再びこの空に太陽が昇ることを。
「ペンギンさん!」
玄鳥が思わず振り返ってしまったのは、あまりにも呼ばれ慣れない名前だったからだろう。
すぐ側で誰かが吹き出したのがわかった。
「あの……オレ?」
「ペンギンさん、ペンギンさん」
「ペンギンさん」を連呼するとびきりの美少年に唖然としつつも、玄鳥はコホンとベタな咳払いをした。
「あの、オレはペンギンさんじゃ……」
「ペンギンさんは、本当は紅朱さんって人なの?」
直球な問掛けをぶつける美少年は、妙に真剣な顔付きだった。
「ボクは万楼。heliodorでベースを弾くために高松から来たんだよ」
「え……? 君は」
「ある人に、頼まれたんだ。だから……」
「heliodor」の名前を出したことで、ただでも目立っていた二人は一気に周囲の視線を集めていた。
それを察した玄鳥は、とっさに万楼の手首を掴んで引き寄せた。
「君、とりあえず一緒に来て……話を聞くから」
「その人なら、例の紅朱のソックリさんとどっかに行っちゃいましたよ。私もおっかけたんだけど、撒かれちゃった~」
「そう……ですか」
リサは両手にプラスチックのコップを持ったまま、人もまばらになり始めた搬入口に立ち尽くしていた。
「万楼……ペンギンさんと話せたのかな……」
もう一度会ってメロンソーダを渡せなかったのは残念だったが、リサには不思議な予感があった。
万楼にはいつかまた会える気がする。そしてその時彼は、もしかしたら「向こう側」かもしれないと。
どうしてそう思うかと聞かれれば、それは「バンギャの勘」というやつだろうか。
カップの中でたゆたう、透き通った鮮やかな緑の液体を、迷った挙句口に持っていった。
「……少なくとも、二割はあたしのだし」
潮騒の街からやってきたその少年こそが、最後の欠片だった。
一度は完成し、そしてあっけなく瓦解してしまった「太陽の国」を再び形造るための……。
明けない夜はない。
朝日はもうすぐ、世界を照らす。
《END》
2007/05/24 (Thu)
一次創作関連
自分自身、そのほうが便利だったからオリジナル乙女ゲームの構想(妄想か)カテゴリを設置。
タイトルの有力候補が、ご覧のとおり「太陽の国」になった。
「太陽の国」っていうのは知ってる人は知ってるだろうけど、Sound Scheduleのインディーズ時代の代表曲の一つであり、解散ライブで最後に演奏した曲でもある。
大変自虐的な曲なんだけど、ゲームのイメージにすごく近いので拝借しようかなぁと。
ゲームのメインのバンドの名前が 「heliodor(ヘリオドール)」といって、「金色の太陽」を意味する宝石の名前だし、ヒロインのデフォルト名も「日向子(ヒナコ)」だし(もちろん意味はある)。
やっぱりネーミングは大事だよね。というか、ネーミングにはこだわりたいタイプなんだ、私が。
今回は攻略対象が本名と芸名を持っている設定だから非常に楽しい。
本名は自分が決めたもんじゃないから、「不可抗力的に授けられた運命」の象徴になるし、逆に芸名は大抵自分で考えてつけるもんだから、そこにはその人の「願望」があったり、本来の自分を隠す為の「仮面」があったり。
あるいは大切な「思い出」が秘められていることもある。
「heliodor」は五人編制で、キーボードがいるバンド。ジャンヌ編制。笑。
ツインギターも棄てがたかったんだけど、シナリオ上キーボードのほうが都合がよい気がする。
名前(変更する可能性もある)と担当楽器と、属性(?)を簡単に言うと、
紅朱(コウシュ)
ボーカル。本名・浅川錦(アサカワ・ニシキ)。俺様喧嘩番長。笑。
玄鳥(クロト)
ギター。本名・浅川綾(アサカワ・アヤ)。癒し系。
万楼(マロウ)
ベース。本名・能登響平(ノト・キョウヘイ)。電波。爆。
蝉(ゼン)
キーボード。本名・釘宮漸(クギミヤ・ゼン)。二面性有。
有砂(アリサ)
ドラム。本名・沢城佳人(サワシロ・ヨシヒト)。アダルト担当。笑。
担当楽器と属性が、特定のバンドに似ないように頑張ったら色んなバンドからいいとこ取りっぽくなった。
ちなみに本名からも明らかだけど、ボーカルとギターは兄弟。ボーカルが兄。笑。
村田兄弟、というよりは某錬金術師の兄弟みたいなイメージなんだけど……。
双子にしようか悩んだけど、明確に上下関係が見えたほうが面白い気がした。花宵と被るのも嫌だし(余談だけど、いちご先生の作品には兄弟がいっぱい出てくる。兄弟萌さんなら親近感アップだ 笑)。
元々は三つのバンドを出すとかほざいていたのが、一つにするに当たって、三バンド分の要素を取捨択一しながらも濃縮してきたので、シナリオの濃度は濃い筈。
兄弟とキーボードについてはほとんどまとまってて、逆にドラムがまだ一番不明瞭かも。
既存の、というか最近の乙女ゲームにありがちなキャラになってしまいそうな予感があるので、かなりシナリオを練らないと凡庸になりそう。
ちなみにビジュアルもちょろっと悪戯書き程度には書いてるんだけど、ステージ衣装の路線をどうしようか悩みどころ。
ソフビにしたほうがいいのか、一般受けを全く無視してみるか(笑)、サイコまではいかないにしても、コンセプチュアルに毎度衣装のモチーフを変えるのもいいよね。
今回は全員ジャケットで、次はパンク色を押し出して、みたいな。
って誰が描くの、それ? 笑。
タイトルの有力候補が、ご覧のとおり「太陽の国」になった。
「太陽の国」っていうのは知ってる人は知ってるだろうけど、Sound Scheduleのインディーズ時代の代表曲の一つであり、解散ライブで最後に演奏した曲でもある。
大変自虐的な曲なんだけど、ゲームのイメージにすごく近いので拝借しようかなぁと。
ゲームのメインのバンドの名前が 「heliodor(ヘリオドール)」といって、「金色の太陽」を意味する宝石の名前だし、ヒロインのデフォルト名も「日向子(ヒナコ)」だし(もちろん意味はある)。
やっぱりネーミングは大事だよね。というか、ネーミングにはこだわりたいタイプなんだ、私が。
今回は攻略対象が本名と芸名を持っている設定だから非常に楽しい。
本名は自分が決めたもんじゃないから、「不可抗力的に授けられた運命」の象徴になるし、逆に芸名は大抵自分で考えてつけるもんだから、そこにはその人の「願望」があったり、本来の自分を隠す為の「仮面」があったり。
あるいは大切な「思い出」が秘められていることもある。
「heliodor」は五人編制で、キーボードがいるバンド。ジャンヌ編制。笑。
ツインギターも棄てがたかったんだけど、シナリオ上キーボードのほうが都合がよい気がする。
名前(変更する可能性もある)と担当楽器と、属性(?)を簡単に言うと、
紅朱(コウシュ)
ボーカル。本名・浅川錦(アサカワ・ニシキ)。俺様喧嘩番長。笑。
玄鳥(クロト)
ギター。本名・浅川綾(アサカワ・アヤ)。癒し系。
万楼(マロウ)
ベース。本名・能登響平(ノト・キョウヘイ)。電波。爆。
蝉(ゼン)
キーボード。本名・釘宮漸(クギミヤ・ゼン)。二面性有。
有砂(アリサ)
ドラム。本名・沢城佳人(サワシロ・ヨシヒト)。アダルト担当。笑。
担当楽器と属性が、特定のバンドに似ないように頑張ったら色んなバンドからいいとこ取りっぽくなった。
ちなみに本名からも明らかだけど、ボーカルとギターは兄弟。ボーカルが兄。笑。
村田兄弟、というよりは某錬金術師の兄弟みたいなイメージなんだけど……。
双子にしようか悩んだけど、明確に上下関係が見えたほうが面白い気がした。花宵と被るのも嫌だし(余談だけど、いちご先生の作品には兄弟がいっぱい出てくる。兄弟萌さんなら親近感アップだ 笑)。
元々は三つのバンドを出すとかほざいていたのが、一つにするに当たって、三バンド分の要素を取捨択一しながらも濃縮してきたので、シナリオの濃度は濃い筈。
兄弟とキーボードについてはほとんどまとまってて、逆にドラムがまだ一番不明瞭かも。
既存の、というか最近の乙女ゲームにありがちなキャラになってしまいそうな予感があるので、かなりシナリオを練らないと凡庸になりそう。
ちなみにビジュアルもちょろっと悪戯書き程度には書いてるんだけど、ステージ衣装の路線をどうしようか悩みどころ。
ソフビにしたほうがいいのか、一般受けを全く無視してみるか(笑)、サイコまではいかないにしても、コンセプチュアルに毎度衣装のモチーフを変えるのもいいよね。
今回は全員ジャケットで、次はパンク色を押し出して、みたいな。
って誰が描くの、それ? 笑。
2007/05/24 (Thu)
一次創作関連
近頃、創作意欲が膨らんで破裂しそうになることがよくある。
書きたいことがあふれている状態で、それを書き記す手段が紙とペン、もしくはこの携帯しかないっていう状況がだんだんストレスになってくる。
同人サイトやってた(閉鎖したわけじゃないけど)半年ちょっとの間、ほとんど毎日携帯だけで更新し続けていた私だけど、やっぱりこの効率の悪さは深刻だ。
いつでもどこでも書けるという利点もあったけど、こんな夜にはやっぱりPCが欲しいなぁって思う。
新しい仕事が軌道に乗れば……うん、夏にはきっと買おう。そうしよう。
今私の中で暴れているのは、前に書いたバンドものの「オリジナル乙女ゲーム」のシナリオ。
あれからちょっとずつネタを詰めて、キャラクターを六人にまで絞って(メインが五人、おまけ一人)、その半分はメインとなるシナリオもおよそ頭の中にあって。
実際にゲーム化するかはおいておいて、せめてSSにでもしてここに載せられたらいいんだけどな。
鉄は熱いうちに、って言うけど、創作意欲もできるだけ短期にまとめないと燃えつきるんだよねぇ。
今はとにかく出来るだけメモを取ったりして頑張っているところ。
導入部だけでも文章にしようかどうしようか……。読んでやってもいい、という人がいるなら書くかもしれない。
設定に関して一番悩みどころなのは、メインとなるバンドの当初の知名度をどのくらいに設定するか。
漫画版快感フレーズにするか、アニメ版初期のKAIKANフレーズにするかってこと。笑。
すでに人気実力ともにハイレベルな設定にすると、攻略対象はみんな「王子様」になる。
逆に素質は十分ありつつまだまだ原石、って感じの駆け出しバンドにすると等身大の男の子たちになる。
とりあえず今考えている設定としては、インディーズでは相当の人気を獲得して、メジャーデビューを間近に控えるまでいったものの、ある事件が原因でチャンスを逃し、再出発したばかりのバンドといった感じ。
つまり実力は適度にあって、コアなファンに支えられつつも、新規ファンを取り入れている段階だね。
……生生しいね、これ。笑。
それとメンバー同士をどのくらい仲良しにするかっていう問題。
少なくとも多少の確執は設定しないとヒロインが介入する余地がないよなぁ。
そのヒロインの設定が一番厄介なんだが。
個人的にはアクの強いヒロインって結構好きなんだけど、個性が強すぎると感情移入出来ないという人は多いよね。
SSを書くならやっぱりそれなりに個性を与えないと書きにくいけどさぁ。
今までにあんまりないヒロインとして、超ダイナマイトバディのセクシーな女子にしてやろうかとも思った。笑。
「脱いだら凄いんです」な着痩せするタイプだと尚ぐっとくる……。
しまった、目線がなんか違うぞ。ギャルゲ作ってどうすんだ。笑。
実はね、自分の好みだけ追求するならヒロインはちょっと悪い女の子にしたい。
音楽雑誌の新人記者という設定なんだけど、すごく野心を抱いたキャラクターにしたい。
このバンドを利用して、のしあがってやるわ、くらいの。爆。
「angela」の「人生遊戯」っていう曲が最近のマイブームで、詞がすっごくいいんだ。強かで妖艶で、ある意味男前(?)な女性って感じ。
「ねぇ あなたが頂点に行くのなら 協力は惜しまないわ」
っていうとこが特にいい。ここだけだと、健気な良妻みたいな感じだけど。笑。
イメージとしては、殿方の太股に手を置いて、魅惑の上目使いで囁くような声で。
そうやって迷う殿方の尻に鞭を打つ女なわけです。
峰不二子か。
乙女ゲーっていうか、悪女ゲー??
それから、ゲーム中の時間経過の問題。
どのくらいの期間をまたいでのゲームにするか。
理想は四季のイベントを網羅できる「およそ一年間」。
でも、ある季節だけを切り取るパターンも好きなんだよねぇ。
秋から冬にかけての物語で、エンディングは春っていうのもいいかな。
コートを着た男子が好きなんだよね。笑。
うわ。やばいわぁ……結局朝がきてしまったわ。
妄想してると眠気が全部飛んじゃうから困るよ。
とりあえず今日はなんとかしてもう寝よう。
書きたいことがあふれている状態で、それを書き記す手段が紙とペン、もしくはこの携帯しかないっていう状況がだんだんストレスになってくる。
同人サイトやってた(閉鎖したわけじゃないけど)半年ちょっとの間、ほとんど毎日携帯だけで更新し続けていた私だけど、やっぱりこの効率の悪さは深刻だ。
いつでもどこでも書けるという利点もあったけど、こんな夜にはやっぱりPCが欲しいなぁって思う。
新しい仕事が軌道に乗れば……うん、夏にはきっと買おう。そうしよう。
今私の中で暴れているのは、前に書いたバンドものの「オリジナル乙女ゲーム」のシナリオ。
あれからちょっとずつネタを詰めて、キャラクターを六人にまで絞って(メインが五人、おまけ一人)、その半分はメインとなるシナリオもおよそ頭の中にあって。
実際にゲーム化するかはおいておいて、せめてSSにでもしてここに載せられたらいいんだけどな。
鉄は熱いうちに、って言うけど、創作意欲もできるだけ短期にまとめないと燃えつきるんだよねぇ。
今はとにかく出来るだけメモを取ったりして頑張っているところ。
導入部だけでも文章にしようかどうしようか……。読んでやってもいい、という人がいるなら書くかもしれない。
設定に関して一番悩みどころなのは、メインとなるバンドの当初の知名度をどのくらいに設定するか。
漫画版快感フレーズにするか、アニメ版初期のKAIKANフレーズにするかってこと。笑。
すでに人気実力ともにハイレベルな設定にすると、攻略対象はみんな「王子様」になる。
逆に素質は十分ありつつまだまだ原石、って感じの駆け出しバンドにすると等身大の男の子たちになる。
とりあえず今考えている設定としては、インディーズでは相当の人気を獲得して、メジャーデビューを間近に控えるまでいったものの、ある事件が原因でチャンスを逃し、再出発したばかりのバンドといった感じ。
つまり実力は適度にあって、コアなファンに支えられつつも、新規ファンを取り入れている段階だね。
……生生しいね、これ。笑。
それとメンバー同士をどのくらい仲良しにするかっていう問題。
少なくとも多少の確執は設定しないとヒロインが介入する余地がないよなぁ。
そのヒロインの設定が一番厄介なんだが。
個人的にはアクの強いヒロインって結構好きなんだけど、個性が強すぎると感情移入出来ないという人は多いよね。
SSを書くならやっぱりそれなりに個性を与えないと書きにくいけどさぁ。
今までにあんまりないヒロインとして、超ダイナマイトバディのセクシーな女子にしてやろうかとも思った。笑。
「脱いだら凄いんです」な着痩せするタイプだと尚ぐっとくる……。
しまった、目線がなんか違うぞ。ギャルゲ作ってどうすんだ。笑。
実はね、自分の好みだけ追求するならヒロインはちょっと悪い女の子にしたい。
音楽雑誌の新人記者という設定なんだけど、すごく野心を抱いたキャラクターにしたい。
このバンドを利用して、のしあがってやるわ、くらいの。爆。
「angela」の「人生遊戯」っていう曲が最近のマイブームで、詞がすっごくいいんだ。強かで妖艶で、ある意味男前(?)な女性って感じ。
「ねぇ あなたが頂点に行くのなら 協力は惜しまないわ」
っていうとこが特にいい。ここだけだと、健気な良妻みたいな感じだけど。笑。
イメージとしては、殿方の太股に手を置いて、魅惑の上目使いで囁くような声で。
そうやって迷う殿方の尻に鞭を打つ女なわけです。
峰不二子か。
乙女ゲーっていうか、悪女ゲー??
それから、ゲーム中の時間経過の問題。
どのくらいの期間をまたいでのゲームにするか。
理想は四季のイベントを網羅できる「およそ一年間」。
でも、ある季節だけを切り取るパターンも好きなんだよねぇ。
秋から冬にかけての物語で、エンディングは春っていうのもいいかな。
コートを着た男子が好きなんだよね。笑。
うわ。やばいわぁ……結局朝がきてしまったわ。
妄想してると眠気が全部飛んじゃうから困るよ。
とりあえず今日はなんとかしてもう寝よう。
2007/03/29 (Thu)
一次創作関連
最近オリジナルの乙女ゲームを妄想……というかかなり具体的に構想中。
実際に制作するには色々な壁があるんだけど。笑。
こういうのは考えるだけでも楽しいよね~。考える段階が一番楽しいとも言えるかな。
仮タイトルは「Groove Monsters」、音楽雑誌の女性記者とインディーズのビジュアル系バンドマンの恋愛アドベンチャーゲーム。
三組のバンドが登場、途中からはそのうちの一組をメインに進めて、最終的には本命の個人ルートに入るような感じで、攻略キャラは15人+α(隠しキャラは一人)。
プレイヤーはメンバーに「取材」を申し込み、適切な選択肢をチョイスすることで「キーワード」を入手することができる。
「キーワード」は当初は世間話のような他愛ないものや、マスコミ向けの当たり障りのないものが多いが、取材を重ね、キーワードをたくさん集めることでより内面に踏み込んだものになり、信頼や好意を寄せられるようになる。
特定の相手と親密になると、取材終了時に「オフレコ・タイム」が発生。いわゆる恋愛イベントにあたる。
「オフレコ・タイム」を成功させながらストーリーを進めていくと、キャラクターによっては話の途中から恋人同士になることができる(最後の最後まで引っ張るキャラクターもいる)。
交際開始のタイミングはまちまちなので、繰り返しプレイしてもマンネリにならずに済むという仕様。
また、なにしろビジュアル系なので攻略相手のオンとオフの立ち絵のギャップも見所。笑。
劇中音楽&機材監修は元ナナイロのギタリスト・K氏らしい……。
……というところまでは固まったかなぁ。
主に仕事の休憩時間に考えてて、ストーリー、システム、登場人物の設定&ビジュアルがおよそ決定。構想ノートは二冊目に突入。
写真はメイン攻略対象で「浅川玄鳥(アサカワ クロト)」。二十歳。
「heliodor(ヘリオドール)」というバンドのボーカル。
定番(?)俺様クール。
ちなみにプレイヤーキャラクターのデフォ名は「森久保日向子(モリクボ ヒナコ)」。
声優界のビッグカップルにあやかってみた。
他の攻略キャラもみんな女性声優から名字をもらってるんだけど、性格や特徴は別に引き継いでない。
ただボーカルの人は、浅川、水樹、桑島、高山と歌唱力がある思う人を一応当てた。
なんで女性かというと、男性だとそのまんま声のイメージだと思われそうだから。笑。
はじめは一組メインのバンドがいるだけだったんだけど、色んな音楽性や個性のあるバンドを出したい、とか、攻略キャラの属性に自分の萌を取り入れまくった結果三組にまで膨張。
関西弁、兄弟、双子、王子系、ヤンキー、二重人格? などなど、麻咲の萌クロニクルが展開。笑。
そのうち短いイメージ小説とか書いてしまうかも……。
実際に制作するには色々な壁があるんだけど。笑。
こういうのは考えるだけでも楽しいよね~。考える段階が一番楽しいとも言えるかな。
仮タイトルは「Groove Monsters」、音楽雑誌の女性記者とインディーズのビジュアル系バンドマンの恋愛アドベンチャーゲーム。
三組のバンドが登場、途中からはそのうちの一組をメインに進めて、最終的には本命の個人ルートに入るような感じで、攻略キャラは15人+α(隠しキャラは一人)。
プレイヤーはメンバーに「取材」を申し込み、適切な選択肢をチョイスすることで「キーワード」を入手することができる。
「キーワード」は当初は世間話のような他愛ないものや、マスコミ向けの当たり障りのないものが多いが、取材を重ね、キーワードをたくさん集めることでより内面に踏み込んだものになり、信頼や好意を寄せられるようになる。
特定の相手と親密になると、取材終了時に「オフレコ・タイム」が発生。いわゆる恋愛イベントにあたる。
「オフレコ・タイム」を成功させながらストーリーを進めていくと、キャラクターによっては話の途中から恋人同士になることができる(最後の最後まで引っ張るキャラクターもいる)。
交際開始のタイミングはまちまちなので、繰り返しプレイしてもマンネリにならずに済むという仕様。
また、なにしろビジュアル系なので攻略相手のオンとオフの立ち絵のギャップも見所。笑。
劇中音楽&機材監修は元ナナイロのギタリスト・K氏らしい……。
……というところまでは固まったかなぁ。
主に仕事の休憩時間に考えてて、ストーリー、システム、登場人物の設定&ビジュアルがおよそ決定。構想ノートは二冊目に突入。
写真はメイン攻略対象で「浅川玄鳥(アサカワ クロト)」。二十歳。
「heliodor(ヘリオドール)」というバンドのボーカル。
定番(?)俺様クール。
ちなみにプレイヤーキャラクターのデフォ名は「森久保日向子(モリクボ ヒナコ)」。
声優界のビッグカップルにあやかってみた。
他の攻略キャラもみんな女性声優から名字をもらってるんだけど、性格や特徴は別に引き継いでない。
ただボーカルの人は、浅川、水樹、桑島、高山と歌唱力がある思う人を一応当てた。
なんで女性かというと、男性だとそのまんま声のイメージだと思われそうだから。笑。
はじめは一組メインのバンドがいるだけだったんだけど、色んな音楽性や個性のあるバンドを出したい、とか、攻略キャラの属性に自分の萌を取り入れまくった結果三組にまで膨張。
関西弁、兄弟、双子、王子系、ヤンキー、二重人格? などなど、麻咲の萌クロニクルが展開。笑。
そのうち短いイメージ小説とか書いてしまうかも……。