カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
web拍手★
ブログ内検索
お気に入り
Lost Heaven
↑↑美夜プロデューサー様の素敵過ぎるマイドルSSサイト★
ありったけの愛を君に
↑↑かりんプロデューサー様の素敵過ぎるブログ★
ときめきの星たち★彡
↑↑みさきプロデューサー様の素敵過ぎるブログ★
↑↑美夜プロデューサー様の素敵過ぎるマイドルSSサイト★
ありったけの愛を君に
↑↑かりんプロデューサー様の素敵過ぎるブログ★
ときめきの星たち★彡
↑↑みさきプロデューサー様の素敵過ぎるブログ★
新品価格 |
新品価格 |
新品価格 |
カテゴリー
最新記事
(10/31)
(05/23)
(05/19)
(05/18)
(05/13)
(05/09)
(05/02)
(04/22)
(04/19)
(04/17)
カウンター
プロフィール
HN:
麻咲
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1983/05/03
職業:
フリーター
趣味:
ライブ、乙女ゲーム、カラオケ
自己紹介:
好きなバンド
janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他
好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ)
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット)
フルハウスキス(羽倉麻生)
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文)
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助)
花宵ロマネスク(紫陽)
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸)
僕と私の恋愛事情(シグルド)
ラスト・エスコート2(天祢一星)
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル)
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク)
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他
バイト先→某損保系コールセンター
janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他
好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ)
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット)
フルハウスキス(羽倉麻生)
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文)
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助)
花宵ロマネスク(紫陽)
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸)
僕と私の恋愛事情(シグルド)
ラスト・エスコート2(天祢一星)
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル)
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク)
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他
バイト先→某損保系コールセンター
アクセス解析
2007/09/06 (Thu)
一次創作関連
第8章終わりました。
8章書いてる間にライブ4本行き(キリト祭)、カラオケ3回行き(彼氏と・普通の友達と・普通じゃない友達と 爆)、風邪引いて、そして治った。笑
すでに予約済の「DEAR My SUN!!」をゲットする前には絶対終わらせようと思ってたんで、なんとかなってよかったです。
まあ、下手すると休日になんないと受け取れないから日曜までプレイできんわけだが……。涙。
ああ、ストーリーダイジェストのほうも更新してあるんで、よろしくです☆
今回は私の計画性のない行き当たりばったりな字数配分のせいで、ほとんど有砂しか出てきてませんが(汗)、実際はもっと万楼のシーンが入る筈だったんですよね。
その結果、前回の蛇足で2つ片付くって書いたのに1つしか片付いておりません……。
ちょっと待っててくれ、万楼。次も余裕なさそうだから、君はあと1章くらい悩んでてくれ。笑。
今回、回想以外で蝉(正確には「釘宮漸」)が唯一出てくる【1】。
私は黒雪乃と呼んでますが。笑。
彼は次の章で本格始動です。
雪乃の代役は女にしようかオッサンにしようか悩んだ結果オッサンに。
小原さんは親の代から釘宮の使用人で、高槻には若い頃からずっとつかえてるというイメージ。
相当な苦労人です。
【2】はもう、いい加減起きろ日向子と。笑。
かなり無茶なことしてますなあ。
今回、日向子の回想夢があったけど、有砂と日向子はお互いに遭遇したことを覚えてない。
冷や汗をかいた蝉は覚えてるだろうけど。
蝉と有砂の高校の制服は濃紺のブレザー。
ちなみに他の三人は学ランという設定。
あえて万楼にはレトロな黒い詰め襟を……!
しかも短ランで。
ここにきてムッツリすけべぶりを発揮し始めた紅朱がちょっと楽しい。笑。
【3】。女の友情。
ちなみに「美々」というのはライターとしてのペンネームで、本名は「井上有砂」。
兄貴も有砂、妹も有砂でわかりにくいね~。汗。
ちなみに本日9月6日は「妹の日」らしいよ。
兄・姉持ちの貴女は、是非ここぞとばかりにたかって下さい。笑。
私は一人っ子だから全然関係ないけど。笑。
その後から【4】にかけては秀人パパやりたい放題。
シドの曲で「そんなに知りたいのなら教えてあげない♪」という歌詞が出てくる曲があるんだけど(「罠」です。まさに罠だけど)、カラオケで歌った時に思わず秀人を思い出してしまったよ。
貴族口調で罵倒する日向子は新鮮だった。
地獄少女のあいちゃんの「なめんなよ。タコ」の場面がすごく好きで、ついつい……インスパイヤ??
秀人は日向子に叩かれるまでそんなに悪いことしてると思ってなかった筈。
きっと叩かれて反省してますよ。ちょっとだけ。笑。
秀人は本当に悪人というよりは、奇人というイメージで書いているキャラクター。
万楼の母親にしても、自分が間違ってるとはみじんも思ってないだろうから、そういう意味では太陽の国の登場人物に、根っからワルという人物はいないかも?
秀人には次の章で挽回の機会があるかも……。
【5】で有佳ママと吉住さん登場。
有佳を書いてて、なんとなく「嫌われ松子の一生」を思い出してしまった。
あそこまでひどくはないけどね。
吉住の年齢設定をちょっと悩んだ。
有佳の再婚相手になりうる年齢も検討したけど、あえて父親くらい年の離れた年輩の男性にしてみた。
男で人生破綻した人だから、男以外の幸せを見つけたほうがいいかなあと思って。
ラストの締め方は結構自分では気に入ってる。
ちゃんと兄妹が和解して感動の再会を果たす場面を書いてほしかった……っていう人もいるかもしれないけど。
こんな余韻のあるラストシーンもたまにはよろしいのでは??
さて。新しいゲーム始めると更新遅延の可能性があるけど、次章も気長にお待ち下さいませ。
ご意見ご感想お待ちしてます!!
8章書いてる間にライブ4本行き(キリト祭)、カラオケ3回行き(彼氏と・普通の友達と・普通じゃない友達と 爆)、風邪引いて、そして治った。笑
すでに予約済の「DEAR My SUN!!」をゲットする前には絶対終わらせようと思ってたんで、なんとかなってよかったです。
まあ、下手すると休日になんないと受け取れないから日曜までプレイできんわけだが……。涙。
ああ、ストーリーダイジェストのほうも更新してあるんで、よろしくです☆
今回は私の計画性のない行き当たりばったりな字数配分のせいで、ほとんど有砂しか出てきてませんが(汗)、実際はもっと万楼のシーンが入る筈だったんですよね。
その結果、前回の蛇足で2つ片付くって書いたのに1つしか片付いておりません……。
ちょっと待っててくれ、万楼。次も余裕なさそうだから、君はあと1章くらい悩んでてくれ。笑。
今回、回想以外で蝉(正確には「釘宮漸」)が唯一出てくる【1】。
私は黒雪乃と呼んでますが。笑。
彼は次の章で本格始動です。
雪乃の代役は女にしようかオッサンにしようか悩んだ結果オッサンに。
小原さんは親の代から釘宮の使用人で、高槻には若い頃からずっとつかえてるというイメージ。
相当な苦労人です。
【2】はもう、いい加減起きろ日向子と。笑。
かなり無茶なことしてますなあ。
今回、日向子の回想夢があったけど、有砂と日向子はお互いに遭遇したことを覚えてない。
冷や汗をかいた蝉は覚えてるだろうけど。
蝉と有砂の高校の制服は濃紺のブレザー。
ちなみに他の三人は学ランという設定。
あえて万楼にはレトロな黒い詰め襟を……!
しかも短ランで。
ここにきてムッツリすけべぶりを発揮し始めた紅朱がちょっと楽しい。笑。
【3】。女の友情。
ちなみに「美々」というのはライターとしてのペンネームで、本名は「井上有砂」。
兄貴も有砂、妹も有砂でわかりにくいね~。汗。
ちなみに本日9月6日は「妹の日」らしいよ。
兄・姉持ちの貴女は、是非ここぞとばかりにたかって下さい。笑。
私は一人っ子だから全然関係ないけど。笑。
その後から【4】にかけては秀人パパやりたい放題。
シドの曲で「そんなに知りたいのなら教えてあげない♪」という歌詞が出てくる曲があるんだけど(「罠」です。まさに罠だけど)、カラオケで歌った時に思わず秀人を思い出してしまったよ。
貴族口調で罵倒する日向子は新鮮だった。
地獄少女のあいちゃんの「なめんなよ。タコ」の場面がすごく好きで、ついつい……インスパイヤ??
秀人は日向子に叩かれるまでそんなに悪いことしてると思ってなかった筈。
きっと叩かれて反省してますよ。ちょっとだけ。笑。
秀人は本当に悪人というよりは、奇人というイメージで書いているキャラクター。
万楼の母親にしても、自分が間違ってるとはみじんも思ってないだろうから、そういう意味では太陽の国の登場人物に、根っからワルという人物はいないかも?
秀人には次の章で挽回の機会があるかも……。
【5】で有佳ママと吉住さん登場。
有佳を書いてて、なんとなく「嫌われ松子の一生」を思い出してしまった。
あそこまでひどくはないけどね。
吉住の年齢設定をちょっと悩んだ。
有佳の再婚相手になりうる年齢も検討したけど、あえて父親くらい年の離れた年輩の男性にしてみた。
男で人生破綻した人だから、男以外の幸せを見つけたほうがいいかなあと思って。
ラストの締め方は結構自分では気に入ってる。
ちゃんと兄妹が和解して感動の再会を果たす場面を書いてほしかった……っていう人もいるかもしれないけど。
こんな余韻のあるラストシーンもたまにはよろしいのでは??
さて。新しいゲーム始めると更新遅延の可能性があるけど、次章も気長にお待ち下さいませ。
ご意見ご感想お待ちしてます!!
PR
2007/09/04 (Tue)
一次創作関連
「中学の時……」
信号待ちの最中、ふと有砂が口を開いた。
「……母さんがオレを訪ねてきてくれたことがあった」
「有佳様が……?」
「そうや。『病気』の治療の経過が順調やったから仮退院したけど、有砂……妹にはまだ会わせてもらえてへんような状況で、寂しかったんやろうと思った。
……オレも複雑な心境ではあったけど、久しぶりに母親に会えたことは、嬉しかった」
「そうでしたか……」
「学校でうまくやれとんか、友達はおるんか……なんてしつこく聞きよって……。
ちょうど文化祭の時期やったから、心配いらん、て証明するためにバンド組んで母さんを呼んでやることにしたんや」
「……それが有砂様がドラムを始めたきっかけですわね?」
「……まあ、そうなるな」
やがて信号は青になり、ゆっくりと、車が流れ出す。
「……オレのドラム人生のベストパフォーマンスは、未だにあのステージのような気がする」
《第8章 迷宮の果てで、もう一度 -release-》【5】
かつてスノウ・ドームの古いピアノの前で、蝉から話を聞いたことがあった。
蝉を感動させ、ロックの世界に引きずりこんだという有砂のプレイ。
それは根底に、母親への強い愛情があったからなのかもしれない。
「……有佳様は、さぞやお喜びでしたでしょう?」
「ああ……絶賛しとった。……ずっとオレのことを『有砂』と間違えたままやったけどな」
「……え?」
「……何回違うゆうても『有砂』『有砂』て……母さんの中で『沢城佳人』の存在は無かったことになっとったみたいやから」
「そんな……」
実の母親の記憶から存在ごと抹消される……想像を絶するような心痛であろう。
有砂はハンドルにかかった指先に少し力を加え、微かに充血した目をすがめる。
「あの人は多分……オレを忘れて、事件を忘れて……そうでもせんと正気を保てんかったんやろう」
自分を訪ねて来てくれたと思っていた母親は、自分を通して妹の幻影を求めていたに過ぎなかったという、事実。
裏切られた淡い期待。
有砂にとって実母との再会は新たな苦い記憶となってしまったのだろう。
「……ですから有砂様は、『期待』してしまうことを恐れていらっしゃるのですね」
有砂はそれきりまた、無言になってしまった。
夜の街を走り抜ける、白い車はもうすぐ目的地にたどり着く。
秀人のアトリエを出てすぐに、美々から日向子へ着信があった。
――わかったよ、日向子。
母さんの行方。
一時退院を繰り返しながら、都内の病院で療養を続けてるみたい。
明日からまた院に戻るらしいけど、今夜はきっと自宅にいるって。
自宅の場所は……
「……ここ、ですわね?」
静かに車のドアを閉めて、日向子はすぐ目の前の建物を見上げた。
薔子の住むハイソな高級住宅街から歩いても30分とかからないその一画は、現代世界から忘れ去られたようなうらぶれた雰囲気の商店街だった。
「……ホンマにここか?」
有砂がいぶかしい顔をするのも無理のない話だ。
時間が時間なのですでにシャッターが降りているが、そのシャッターと、上にかかった色褪せた看板には「洋菓子店 りでる」と書かれている。
「……ええ、その筈ですけれど」
日向子は情報の出所がどこであるか、有砂にはまだ話していなかった。
時間もないため有砂のほうもしつこくは追求しなかったが、たどり着く先がまさかレトロなケーキ屋とは想像だにしなかったようだ。
二人は戸惑いながらも建物の裏手に回り、住居スペースのほうへ繋がっていると思われる裏口を見つけた。
日向子がチャイムを三度押すが、中から誰も出てくる気配はない。
窓から灯りが見えているので、誰かしらいるようなのだが……。
「……ああ、すいませんね~。そのチャイムは壊れてて鳴らないんですよ~」
間のびした妙なテンポで、人のよさそうな高齢の男性が声をかけてきた。
中身のたくさん詰まった紙袋を抱えて、不意に現れたその男性は、二人のほうに近付いてくる。
「もしや、このお店の方でいらっしゃいますか?」
「はい~、店主の吉住(ヨシズミ)と申しますが、何かご用ですか~?」
吉住と名乗る男はにっこりと素朴に微笑む。
有砂は吉住に、静かに問掛ける。
「……井上、有佳という人はここにいますか?」
吉住は少し驚いたように小さい目を見開いたが、すぐにまた笑顔に戻った。
「おや~、有佳さんにお客さんとは珍しい」
「有佳さんが住み込みで働くようになって、四年ほどになります。
その四年の半分以上は病院で過ごしているから、実際にはもっと短いですがね~」
ショーウインドウの中の玩具に目を奪われるこどものように、有砂は硝子一枚隔てた向こう側の景色に釘付けになっていた。
硝子の向こう……厨房の中で、真っ白なエプロンをつけて、バンダナを頭に巻いた背の高い中年の女性が平台の上に乗せた何かの生地らしき塊をこねている。
有砂のすぐ隣で、日向子もまたその光景をじっと見つめていた。
彼女は本当に、美々とよく似ている……。
そんな感慨を抱きながら、平台からようやく頭半分覗く程度の小さな男の子が女性のすぐ傍らで、好奇心に瞳を輝かせているのを見て、安堵した。
若い訪問者二人の心中を察しているのかいないのか、吉住はまったりと語る。
「有佳さんは病気のせいで一緒に暮らせないお子さんのためにお菓子の作り方を覚えたいと言って、この仕事を始めたんですがね~。
不器用で、包丁も満足に握れないところから、随分と成長したみたいですよ~」
「……ろくに料理なんか作ったことなかったからな」
有砂が無表情のままぽつりと呟く。
「そうみたいですね~。だからあんなにはりきってるんですよ~。ようやく可愛い息子に自分が作ったものを食べさせてあげられると」
「息子に……?」
日向子と有砂は声を揃えて問い返す。
「ええ~。息子の佳人くん……あの男の子です。まさかあんなに小さい子だったとは思いませんでしたけどね~」
「佳人……?」
またしても声が重なり合う。
その瞬間、声が届いたわけではないだろうが、厨房の中の男の子……吉住が「佳人」だと認識している彼が日向子たちに視線を向け、何か呟いたのがわかった。
その呟きで、生地を夢中で伸ばしていた女性……有佳もまたこちらに気付き、振り返る。
女性の顔に驚愕が浮かび、その目線の先の有砂もまだわずかに脅えたような表情を浮かべ、後ずさる。
日向子はとっさにエレベーターの中でしたように、有砂の背中を軽く撫でた。
「……お嬢……」
「大丈夫……逃げないで。わたくしがここにおりますから」
その時、厨房の中に男の子をおいたまま、有佳が駆け足で飛び出してきた。
「ごめんなさい……!!」
有佳は半分日向子を押し退けるようにして、有砂にすがるように抱きついた。
「っ、母さ……」
「ごめんなさい……ごめんなさい……佳人を勝手に連れ出してもうて……堪忍ね……秀人さんっ」
「え……?」
有佳は周囲の様子も、有砂の表情も全く目に入らないふうで、有砂の胸にすがりながらぽろぽろ涙を流す。
「うち、やっぱり佳人と離れて暮らすん嫌や……うちが生んだ子ぉを、なんでうちが育てたらあかんの……?
佳人がおらんから有砂も毎晩毎晩、眠れんて泣いてるんよ……?
ねぇ、あんた……うちは、どうしたらええ?」
泣きじゃくる有佳と、当惑する有砂を呆然と見ていた日向子の上着のすそを、小さい手がつっと引っ張った。
「おねえちゃん」
「……菊人ちゃん」
厨房から抜けてきた菊人が、日向子を見上げる。
「あのおばちゃん、なまえまちがえるよ。
でも、うれしそうだからおれ……」
「間違ってる、と言えなかったのですわね?」
日向子は微笑んで、菊人の頭をなでなでしてあげた。菊人はくすぐったそうにしている。
恐らくたまたま幼い頃の息子とよく似た少年を見つけたことで、有佳の記憶は逆行したのだろう。
封印していた想いが蘇り、混乱をきたしてしまった……。
我が子を強く愛するが故に。
有砂は、しばし有佳を見つめていたが、やがて躊躇っていた両腕でぎゅっと有佳を抱き返した。
「……そうやな……有佳、ごめんな……僕が、悪かった」
「……秀人さん?」
有佳は泣くのを中断し、少し顔を上げる。
有砂はさながら恋人を愛撫するように、有佳の髪を撫でた。
そして、笑ってみせる。
「有佳の病気が良うなったら、また四人で暮らそう……?
有砂と、佳人と、僕と、キミで……」
「……秀人さん」
有佳は年を重ねても尚美しいその顔に至福の笑みを浮かべ、再び有砂の胸に顔を埋めた。
「一人、か?」
「いいえ、今日は待ち合わせですの」
事件の翌日。
冬晴れの午後。
来たるべき聖なる祝福の日に向けて装飾の施されたカフェの店内で、日向子と有砂は客と店員としてまた顔を合わせていた。
菊人は無事に薔子の元に戻り、有佳は予定通りまた病院に戻った。
哀しく辛い過去に囚われたままの有佳が完全に社会に復帰するにはまだまだ時間がかかるだろう。
しかし吉住は有佳の事情を知った上で、あの穏やかな笑顔で、これからもこの店で有佳とやっていくつもりだと話していた。
安住の地とあたたかい理解者を得た彼女は、きっとこれ以上不幸にはならないだろう。
たとえ有砂が囁いた幸福な嘘が、現実になりえなかったとしても。
有砂は日向子のオーダーを聞いてテーブルを離れたが、またすぐに戻って来て、日向子の向かいの席に座った。なんとなく不機嫌そうに。
「有砂様??」
「……休憩、やって」
ふとキッチンのほうを見やると、忙しく仕事をする振りをしながら、明らかにこちらを興味津々に見守っている視線があった。
「……あの、一体」
「……お嬢は気にせんでええ」
有砂が同じ方向を見やり、軽く睨むと視線の主たちは、そそくさと仕事を始めた。
「……それはそうと」
有砂は日向子のほうに向き直った。
「悪かったな、面倒なことに巻き込んで」
「いえ、先にご面倒をおかけしましたのはこちらですもの。わざわざわたくしを部屋まで運んで下さったのでしょう?」
「……一応、世話したるように言われとるからな。……まあ、オレは引き受けた覚えはないんやけど」
「はい?? あの、よくわかりませんがありがとうございました。
そういえば、アトリエの時も、助けに来て下さいましたものね?」
「……あの時のことはもう、ええやろ」
気まずそうに目線を逃がす有砂。
秀人に土下座した件といい、日向子の前で泣いたことといい、彼にとっては不名誉なことばかりだったに違いない。
「……あんなことがあったばかりですのに、お母様のためにお父様の振りをして差し上げるなんて、お辛くはありませんでしたか?」
「……多少不本意ではあったかもな」
と目を半眼しながらも、有砂のの口調は穏やかだった。
「……でもオレももう、いじけるだけのガキではおれんからな」
たとえ有砂を誰と見間違えていようと、有佳の中には確かに息子への強い愛情がある。自分を壊してしまうほどの……。
それを目の当たりにしたことで有砂の長年のわだかまりも氷解したようだ。
「お嬢……オレは、腹をくくった」
有砂の口調は、今までになく力強いものだった。
「妹を……『有砂』を捜す。また期待を裏切られるだけやったとしても、な」
迷いのない言葉に、日向子は頷いた。
「……そうですか」
悪戯な笑顔を浮かべて。
「ところで有砂様……本日は有砂様にわたくしの大切な親友をご紹介したいのですけれど、よろしいでしょうか……?」
《第9章へつづく》
信号待ちの最中、ふと有砂が口を開いた。
「……母さんがオレを訪ねてきてくれたことがあった」
「有佳様が……?」
「そうや。『病気』の治療の経過が順調やったから仮退院したけど、有砂……妹にはまだ会わせてもらえてへんような状況で、寂しかったんやろうと思った。
……オレも複雑な心境ではあったけど、久しぶりに母親に会えたことは、嬉しかった」
「そうでしたか……」
「学校でうまくやれとんか、友達はおるんか……なんてしつこく聞きよって……。
ちょうど文化祭の時期やったから、心配いらん、て証明するためにバンド組んで母さんを呼んでやることにしたんや」
「……それが有砂様がドラムを始めたきっかけですわね?」
「……まあ、そうなるな」
やがて信号は青になり、ゆっくりと、車が流れ出す。
「……オレのドラム人生のベストパフォーマンスは、未だにあのステージのような気がする」
《第8章 迷宮の果てで、もう一度 -release-》【5】
かつてスノウ・ドームの古いピアノの前で、蝉から話を聞いたことがあった。
蝉を感動させ、ロックの世界に引きずりこんだという有砂のプレイ。
それは根底に、母親への強い愛情があったからなのかもしれない。
「……有佳様は、さぞやお喜びでしたでしょう?」
「ああ……絶賛しとった。……ずっとオレのことを『有砂』と間違えたままやったけどな」
「……え?」
「……何回違うゆうても『有砂』『有砂』て……母さんの中で『沢城佳人』の存在は無かったことになっとったみたいやから」
「そんな……」
実の母親の記憶から存在ごと抹消される……想像を絶するような心痛であろう。
有砂はハンドルにかかった指先に少し力を加え、微かに充血した目をすがめる。
「あの人は多分……オレを忘れて、事件を忘れて……そうでもせんと正気を保てんかったんやろう」
自分を訪ねて来てくれたと思っていた母親は、自分を通して妹の幻影を求めていたに過ぎなかったという、事実。
裏切られた淡い期待。
有砂にとって実母との再会は新たな苦い記憶となってしまったのだろう。
「……ですから有砂様は、『期待』してしまうことを恐れていらっしゃるのですね」
有砂はそれきりまた、無言になってしまった。
夜の街を走り抜ける、白い車はもうすぐ目的地にたどり着く。
秀人のアトリエを出てすぐに、美々から日向子へ着信があった。
――わかったよ、日向子。
母さんの行方。
一時退院を繰り返しながら、都内の病院で療養を続けてるみたい。
明日からまた院に戻るらしいけど、今夜はきっと自宅にいるって。
自宅の場所は……
「……ここ、ですわね?」
静かに車のドアを閉めて、日向子はすぐ目の前の建物を見上げた。
薔子の住むハイソな高級住宅街から歩いても30分とかからないその一画は、現代世界から忘れ去られたようなうらぶれた雰囲気の商店街だった。
「……ホンマにここか?」
有砂がいぶかしい顔をするのも無理のない話だ。
時間が時間なのですでにシャッターが降りているが、そのシャッターと、上にかかった色褪せた看板には「洋菓子店 りでる」と書かれている。
「……ええ、その筈ですけれど」
日向子は情報の出所がどこであるか、有砂にはまだ話していなかった。
時間もないため有砂のほうもしつこくは追求しなかったが、たどり着く先がまさかレトロなケーキ屋とは想像だにしなかったようだ。
二人は戸惑いながらも建物の裏手に回り、住居スペースのほうへ繋がっていると思われる裏口を見つけた。
日向子がチャイムを三度押すが、中から誰も出てくる気配はない。
窓から灯りが見えているので、誰かしらいるようなのだが……。
「……ああ、すいませんね~。そのチャイムは壊れてて鳴らないんですよ~」
間のびした妙なテンポで、人のよさそうな高齢の男性が声をかけてきた。
中身のたくさん詰まった紙袋を抱えて、不意に現れたその男性は、二人のほうに近付いてくる。
「もしや、このお店の方でいらっしゃいますか?」
「はい~、店主の吉住(ヨシズミ)と申しますが、何かご用ですか~?」
吉住と名乗る男はにっこりと素朴に微笑む。
有砂は吉住に、静かに問掛ける。
「……井上、有佳という人はここにいますか?」
吉住は少し驚いたように小さい目を見開いたが、すぐにまた笑顔に戻った。
「おや~、有佳さんにお客さんとは珍しい」
「有佳さんが住み込みで働くようになって、四年ほどになります。
その四年の半分以上は病院で過ごしているから、実際にはもっと短いですがね~」
ショーウインドウの中の玩具に目を奪われるこどものように、有砂は硝子一枚隔てた向こう側の景色に釘付けになっていた。
硝子の向こう……厨房の中で、真っ白なエプロンをつけて、バンダナを頭に巻いた背の高い中年の女性が平台の上に乗せた何かの生地らしき塊をこねている。
有砂のすぐ隣で、日向子もまたその光景をじっと見つめていた。
彼女は本当に、美々とよく似ている……。
そんな感慨を抱きながら、平台からようやく頭半分覗く程度の小さな男の子が女性のすぐ傍らで、好奇心に瞳を輝かせているのを見て、安堵した。
若い訪問者二人の心中を察しているのかいないのか、吉住はまったりと語る。
「有佳さんは病気のせいで一緒に暮らせないお子さんのためにお菓子の作り方を覚えたいと言って、この仕事を始めたんですがね~。
不器用で、包丁も満足に握れないところから、随分と成長したみたいですよ~」
「……ろくに料理なんか作ったことなかったからな」
有砂が無表情のままぽつりと呟く。
「そうみたいですね~。だからあんなにはりきってるんですよ~。ようやく可愛い息子に自分が作ったものを食べさせてあげられると」
「息子に……?」
日向子と有砂は声を揃えて問い返す。
「ええ~。息子の佳人くん……あの男の子です。まさかあんなに小さい子だったとは思いませんでしたけどね~」
「佳人……?」
またしても声が重なり合う。
その瞬間、声が届いたわけではないだろうが、厨房の中の男の子……吉住が「佳人」だと認識している彼が日向子たちに視線を向け、何か呟いたのがわかった。
その呟きで、生地を夢中で伸ばしていた女性……有佳もまたこちらに気付き、振り返る。
女性の顔に驚愕が浮かび、その目線の先の有砂もまだわずかに脅えたような表情を浮かべ、後ずさる。
日向子はとっさにエレベーターの中でしたように、有砂の背中を軽く撫でた。
「……お嬢……」
「大丈夫……逃げないで。わたくしがここにおりますから」
その時、厨房の中に男の子をおいたまま、有佳が駆け足で飛び出してきた。
「ごめんなさい……!!」
有佳は半分日向子を押し退けるようにして、有砂にすがるように抱きついた。
「っ、母さ……」
「ごめんなさい……ごめんなさい……佳人を勝手に連れ出してもうて……堪忍ね……秀人さんっ」
「え……?」
有佳は周囲の様子も、有砂の表情も全く目に入らないふうで、有砂の胸にすがりながらぽろぽろ涙を流す。
「うち、やっぱり佳人と離れて暮らすん嫌や……うちが生んだ子ぉを、なんでうちが育てたらあかんの……?
佳人がおらんから有砂も毎晩毎晩、眠れんて泣いてるんよ……?
ねぇ、あんた……うちは、どうしたらええ?」
泣きじゃくる有佳と、当惑する有砂を呆然と見ていた日向子の上着のすそを、小さい手がつっと引っ張った。
「おねえちゃん」
「……菊人ちゃん」
厨房から抜けてきた菊人が、日向子を見上げる。
「あのおばちゃん、なまえまちがえるよ。
でも、うれしそうだからおれ……」
「間違ってる、と言えなかったのですわね?」
日向子は微笑んで、菊人の頭をなでなでしてあげた。菊人はくすぐったそうにしている。
恐らくたまたま幼い頃の息子とよく似た少年を見つけたことで、有佳の記憶は逆行したのだろう。
封印していた想いが蘇り、混乱をきたしてしまった……。
我が子を強く愛するが故に。
有砂は、しばし有佳を見つめていたが、やがて躊躇っていた両腕でぎゅっと有佳を抱き返した。
「……そうやな……有佳、ごめんな……僕が、悪かった」
「……秀人さん?」
有佳は泣くのを中断し、少し顔を上げる。
有砂はさながら恋人を愛撫するように、有佳の髪を撫でた。
そして、笑ってみせる。
「有佳の病気が良うなったら、また四人で暮らそう……?
有砂と、佳人と、僕と、キミで……」
「……秀人さん」
有佳は年を重ねても尚美しいその顔に至福の笑みを浮かべ、再び有砂の胸に顔を埋めた。
「一人、か?」
「いいえ、今日は待ち合わせですの」
事件の翌日。
冬晴れの午後。
来たるべき聖なる祝福の日に向けて装飾の施されたカフェの店内で、日向子と有砂は客と店員としてまた顔を合わせていた。
菊人は無事に薔子の元に戻り、有佳は予定通りまた病院に戻った。
哀しく辛い過去に囚われたままの有佳が完全に社会に復帰するにはまだまだ時間がかかるだろう。
しかし吉住は有佳の事情を知った上で、あの穏やかな笑顔で、これからもこの店で有佳とやっていくつもりだと話していた。
安住の地とあたたかい理解者を得た彼女は、きっとこれ以上不幸にはならないだろう。
たとえ有砂が囁いた幸福な嘘が、現実になりえなかったとしても。
有砂は日向子のオーダーを聞いてテーブルを離れたが、またすぐに戻って来て、日向子の向かいの席に座った。なんとなく不機嫌そうに。
「有砂様??」
「……休憩、やって」
ふとキッチンのほうを見やると、忙しく仕事をする振りをしながら、明らかにこちらを興味津々に見守っている視線があった。
「……あの、一体」
「……お嬢は気にせんでええ」
有砂が同じ方向を見やり、軽く睨むと視線の主たちは、そそくさと仕事を始めた。
「……それはそうと」
有砂は日向子のほうに向き直った。
「悪かったな、面倒なことに巻き込んで」
「いえ、先にご面倒をおかけしましたのはこちらですもの。わざわざわたくしを部屋まで運んで下さったのでしょう?」
「……一応、世話したるように言われとるからな。……まあ、オレは引き受けた覚えはないんやけど」
「はい?? あの、よくわかりませんがありがとうございました。
そういえば、アトリエの時も、助けに来て下さいましたものね?」
「……あの時のことはもう、ええやろ」
気まずそうに目線を逃がす有砂。
秀人に土下座した件といい、日向子の前で泣いたことといい、彼にとっては不名誉なことばかりだったに違いない。
「……あんなことがあったばかりですのに、お母様のためにお父様の振りをして差し上げるなんて、お辛くはありませんでしたか?」
「……多少不本意ではあったかもな」
と目を半眼しながらも、有砂のの口調は穏やかだった。
「……でもオレももう、いじけるだけのガキではおれんからな」
たとえ有砂を誰と見間違えていようと、有佳の中には確かに息子への強い愛情がある。自分を壊してしまうほどの……。
それを目の当たりにしたことで有砂の長年のわだかまりも氷解したようだ。
「お嬢……オレは、腹をくくった」
有砂の口調は、今までになく力強いものだった。
「妹を……『有砂』を捜す。また期待を裏切られるだけやったとしても、な」
迷いのない言葉に、日向子は頷いた。
「……そうですか」
悪戯な笑顔を浮かべて。
「ところで有砂様……本日は有砂様にわたくしの大切な親友をご紹介したいのですけれど、よろしいでしょうか……?」
《第9章へつづく》
2007/09/01 (Sat)
一次創作関連
「あの……それは」
「だって」
秀人は笑っている。
「有佳も薔子ももう僕の奥さんちゃうし、菊人も薔子が引き取ってんから僕の子やないやん?
ってことは僕にはもう関係ないし」
あまりにも明るい口調で悪びれもせずに語るので、日向子は一瞬何も言えなくなってしまった。
「……あ、困った顔。めっちゃ可愛い」
秀人は楽しそうだ。
「実に、そそるねー」
沢城秀人には世間一般の常識は通用しない……美々の言葉が頭をよぎる。
「……どうしてそのような冷たいことを仰るのですか?」
「冷たい??」
秀人は心外そうに目を細める。
「僕は冷たくなんかないで? ただ、僕がホンマに大切にできる人は一人だけやねんか」
「一人だけ……ですか」
「僕にはもうすぐ入籍する新しいハニーがいてんねんで。昔の奥さんと関わったなんてバレたらハニーが気ぃ悪くするやん?」
《第8章 迷宮の果てで、もう一度 -release-》【4】
「あの、事情はお察し致しますけれど……」
そんなものは到底「お察し」出来るような事情ではなかったが、日向子はあくまで下手に出た。
「そこをどうかご協力頂けませんでしょうか?」
秀人は口許の笑みをたやすことなく、
「キミ、僕のことを、ひとでなしやと思ってるやろ?」
逆に問い返す。
日向子は小首を傾げる。
「いえ、そのようなことはありませんけれど、少し困った方だとは思っています」
秀人は「うんうん」と頷く。
「けどねえ、キミ。究極的に言えばみんな自分自身が一番可愛いもんなんやで?
……キミも、そう」
「……どういう意味でしょうか?」
戸惑う日向子の顔を覗きこむように、秀人は少し距離をつめる。
「菊人が見付かっても、見付からなくても、生きていても、死んでいても、警察沙汰になっても、ならなくても……キミには何の損失もないやんか。
どっちでもええから、キミは気分のええほうを選んで行動しているに過ぎへんってこと。僕と同じや。わかる?」
「……よく、わかりません」
「ようするに、今キミは何もリスクを負ってへんゆうことや。
無傷で主張する正義に説得力なんかあらへんて」
日向子は秀人の眼差しに至近距離から見下ろされ、なんだか落ち着かない気分を味わいながら、懸命に頭を回転させた。
「……では、わたくしがリスクを負えば、説得に応じて下さるということでしょうか?」
秀人は元々切長の目を細める。
「……そうやねえ。それやったらええかも」
「では、わたくしはどのようなリスクを負えばよろしいのでしょうか?」
「んー……」
秀人はほんの少し目線を外し、悩むような顔をしていたが、またすぐに日向子を見つめてにっこり笑った。
「純潔、とか?」
「は?」
キョトンとしている日向子の華奢な肩を、秀人はポン、と唐突に押した。
「きゃっ」
運動法則に従って日向子は横倒しにベッドに倒れ込んだ。
秀人は日向子を見下ろしてぺろっと舌先で唇を舐めた。
「……僕と、エッチする?」
「……っ」
「エッチするんやったら有佳のいるとこ、教えてあげる」
「……そ、そのような……」
「あ、震えてる。めっちゃ可愛い……」
秀人は上体を傾けて、日向子に半分被さるようにして瞳を覗く。
「実に、そそるね」
日向子はぎゅっと手に力を込めて、息を大きく吸う。震えを止めるために。
「……このようなこと、ハニー様が悲しまれますわよ?」
「ええよ。今日からキミが僕のハニーってことにするから」
暖簾に腕押しとはこのことか。
日向子は今になって秀人の言葉をひとつ誤解していたことに気付いた。
本当に大切に出来る人はひとりしかいない……それは恋人のことではないのだ。
彼にとって最も大切で、可愛いのは自分自身なのだから。
「……嫌やんなあ? こんなひとでなしの、ようわからんおっさんに汚されるなんて。
嫌やったら僕を殴って帰ればええやん。
僕も無理強いする気ィなんて更々ないで?」
それが理不尽な言葉だということはわかっている。
しかしそれでも日向子は動けなかった。
逃げて帰れば、菊人を救うことより自分の身可愛さをとったことになる。秀人の理屈でいくならば……。
この人に負けたくない、と思った。
「……お好きに、なさってはいかがですか……?」
気丈に告げて、きゅっと目を閉じた。
「……ふうん、そう」
秀人の顔が更に近付いたのがわかった。
耳元に息がかかる。
「……っ」
「……水無子と似てるんは、顔だけちゃうなあ。
キミもなかなか、僕の思い通りにならんね……?」
「……え?」
日向子が思わず目を開けた瞬間、突如として激しく金属がぶつかるような破壊音が響き渡った。
「あーあー……また、なんちゅうことを」
秀人は日向子から身を引いて、呆れたように溜め息をつく。
日向子も半分身体をおこして、何が起きたのかを確認する。
音がしたのは入り口のドアからだった。
ドアのノブのあたりがすっかりひしゃげて、一部は砕けて床に転がってしまい、ドアの向こう側の景色が覗き見られるようになってしまっていた。
驚く日向子の目の前で、破壊されたドアが開け放たれる。
「……ホンマに人の話をちゃんと聞かんオンナやな……」
不機嫌な顔をした有砂が、どうやら凶行に用いたと思われる、胴体のへこんだ消火器を片手に入ってきだ。
「一人でそいつに会うな、ゆうた筈やで」
「あの、でも菊人ちゃんが……」
「薔子さんに聞いた。聞いたからここへ来たんや……ま、そこの変態に言いたいことは他にも山ほどあるんやけどな」
手にしていた消火器を軽く放り投げる。秀人の足元に、それは鈍い音を立てて転がった。
有砂はそうして空いた手で日向子をベッドから引っ張り下ろし、自分の後ろに押しやった。
日向子はいつかの駐車場での出来事を思い出した。
あの時と違うのは有砂の背中に強烈な殺気を感じること。
「……とりあえず、とっとと母さんの居場所を吐け」
「佳人~、それが人に物を頼む態度なん?」
秀人は有砂の殺気を正面から受け止めている筈だが、この期に及んでもにやにや笑っている。
「……菊人のことが心配なんやったら、もっとちゃんとお願いしてみたらどうや~? お兄ちゃん」
「っ」
有砂の肩が増幅した怒りにぐっと持ち上がるのを見て、日向子は思わずその背中に、触れた。
「……」
有砂は日向子を軽く振り返り、無言のまま見つめた。
日向子も何も言わなかった。
それでも有砂は、小さく首を上下して頷いた。
わかってる、と。
そして有砂は再び実父へと向き合う。
「……親父……」
低い声で呟くと、日向子の見守る前で、ゆっくりと、膝を、折った。
グレーのカーペットを敷いた床に膝をつき、手をていて、最後に頭が降りる。
「……頼む。教えてくれ」
日向子は祈るように両手を組んだ。
有砂にとって、反発している父親に頭を下げることがどれほど屈辱的なことであるか。
もしこれでも秀人がごねるようなら、日向子もその横で手をつくつもりでいた。
だがその必要はなくなった。
秀人がベッドに腰かけたまま、有砂を見下ろして、笑顔でこう告げたからだ。
「な~んちゃって♪ ホンマは僕も知らんねん。……怒った~?」
「っ……!」
予想だにしない言葉に感情が追い付かずに、膝をついたまま呆然とする有砂の横をすたすたと、日向子は真っ直ぐに秀人の眼前に歩み出た。
そして。
細い手首が砕けてしまうのではないかというほど力いっぱい……秀人を平手打ちした。
「……痛ぁ~……」
涙目で頬を押さえる秀人を正面から見据えていい放つ。
「痴れ者。恥をお知りなさい」
幼な顔の小さな令嬢が浴びせた痛烈な一言。
「……えっ、あ……」
秀人は大きく目を見開いて固まる。
「……ご。ごめんな、さい」
涙目の状態で声を裏返らせながら、ほとんど反射的に謝罪する。
日向子はそんな秀人に背を向けると、また別の意味で呆然としている有砂の前でしゃがみこみ、数秒前が嘘のような笑顔を見せた。
「ご立派でいらっしゃいました。さあ、参りましょう」
手をさしのべる。
「……ね?」
有砂は無言のまま目を伏せて、静かにその手を取った。
「……ああ」
おとなしく日向子に手を引かれて立ち上がり、半泣きのままうなだれている秀人に視線を向けることもなく、有砂はゆっくりと破壊されたドアから部屋を出た。
何事が起きたかと部屋の外に集まっていたアシスタントの若い女性たちがわざとらしく散々に逃げて行く中を、ゆっくりと歩き、一階エントランス直通のエレベーターに二人で乗り込んだ。
ドアが閉まった瞬間、日向子は突然、バランスを失ったようによろめいて、有砂にしなだれかかるような格好となってしまった。
「……お嬢?」
とっさにそれを支えながら、有砂は日向子の顔を覗く。
「……申し訳ありません……身体に力が入らなくて」
日向子ははーっと息を吐き出す。
「……人様に対して本気で怒ってしまったのは、生まれて初めてでしたから……」
「……あんな無茶苦茶な交換条件出されても怒らんかったくせに」
「はしたない真似を致しました……有砂様のお父様にあのような」
「……あんな奴、はなから父親やと思てへん」
「……それは、嘘ですわね」
「……なんやて?」
「有砂様は秀人様に頭をお下げになりました……菊人ちゃんのために夢中でいらしたのでしょうけれど、そればかりでなく、本当はどこかで秀人様を信じてみたい、というお気持ちがあったのではありませんか?」
日向子は有砂の腕に身体を預けたまま、ずっと高いところにあるその瞳を見つめた。
有砂は目をそらすことなく、眼差しを受け止める。
「……そう、かもな」
胸を締め付けられるほどに寂しそうな微笑で。
「……何回裏切られても、何回失望しても、どこかでまだ期待を棄てきれてへんのかもしれへん」
「……あ」
ゆっくりと静かに下降を始める狭い箱の中で、日向子は有砂の腕に包まれ、きつく抱きしめられていた。
胸の位置に押し付けられる格好になった右耳には有砂の心臓の鼓動が響いてくる。
苦しそうな呟きと一緒に。
「……前にジブンが言うてた通り、オレは孤独に耐えられない甘ったれのガキや……」
「有砂様……?」
「……いつも悪夢に追い掛けられて、独りきりで夜を越えることすらオレには……っ」
顔は見えないが、多分有砂は泣いているのだろう、と日向子は思った。
秀人の仕打ちは恐らく、有砂の不安定な心を紙一重で支えていた細い支柱を無惨にへし折ってしまったのだろう。
だがその支柱は裏を返せば、有砂の本心を外界から隔てるための、侵入者を阻む障害だったともいえるのかもしれない。
吐き出されているのは、皮肉も虚勢も失われた言葉。
脆く儚く、純粋な……。
日向子は今、初めて有砂の剥き出しの感情に触れたような気がした。
そのあまりにも繊細な想いにどんな言葉を返してあげればいいのかわからず、日向子はただ有砂の後ろに手を回して、その小刻みに震える背中を撫でていた。
フロア表示の点灯が「1」を示し、ゆっくりと扉を開くその時まで。
訪れたその時、有砂は、静かに日向子を解放した。
「……立てる、か?」
「……はい、あの……大丈夫みたいです」
「そうか」
有砂はどこかわざとらしく、日向子の前に立ってエントランスを抜け、歩いていく。
涙の余韻を見られたくないのだろう。
いつもの有砂に戻りつつある。
「さてどうする? お嬢。諦めて警察に駆け込むか?」
後ろ姿の問掛けに、日向子はきっぱり答えた。
「いいえ。まだですわ」
《つづく》
「だって」
秀人は笑っている。
「有佳も薔子ももう僕の奥さんちゃうし、菊人も薔子が引き取ってんから僕の子やないやん?
ってことは僕にはもう関係ないし」
あまりにも明るい口調で悪びれもせずに語るので、日向子は一瞬何も言えなくなってしまった。
「……あ、困った顔。めっちゃ可愛い」
秀人は楽しそうだ。
「実に、そそるねー」
沢城秀人には世間一般の常識は通用しない……美々の言葉が頭をよぎる。
「……どうしてそのような冷たいことを仰るのですか?」
「冷たい??」
秀人は心外そうに目を細める。
「僕は冷たくなんかないで? ただ、僕がホンマに大切にできる人は一人だけやねんか」
「一人だけ……ですか」
「僕にはもうすぐ入籍する新しいハニーがいてんねんで。昔の奥さんと関わったなんてバレたらハニーが気ぃ悪くするやん?」
《第8章 迷宮の果てで、もう一度 -release-》【4】
「あの、事情はお察し致しますけれど……」
そんなものは到底「お察し」出来るような事情ではなかったが、日向子はあくまで下手に出た。
「そこをどうかご協力頂けませんでしょうか?」
秀人は口許の笑みをたやすことなく、
「キミ、僕のことを、ひとでなしやと思ってるやろ?」
逆に問い返す。
日向子は小首を傾げる。
「いえ、そのようなことはありませんけれど、少し困った方だとは思っています」
秀人は「うんうん」と頷く。
「けどねえ、キミ。究極的に言えばみんな自分自身が一番可愛いもんなんやで?
……キミも、そう」
「……どういう意味でしょうか?」
戸惑う日向子の顔を覗きこむように、秀人は少し距離をつめる。
「菊人が見付かっても、見付からなくても、生きていても、死んでいても、警察沙汰になっても、ならなくても……キミには何の損失もないやんか。
どっちでもええから、キミは気分のええほうを選んで行動しているに過ぎへんってこと。僕と同じや。わかる?」
「……よく、わかりません」
「ようするに、今キミは何もリスクを負ってへんゆうことや。
無傷で主張する正義に説得力なんかあらへんて」
日向子は秀人の眼差しに至近距離から見下ろされ、なんだか落ち着かない気分を味わいながら、懸命に頭を回転させた。
「……では、わたくしがリスクを負えば、説得に応じて下さるということでしょうか?」
秀人は元々切長の目を細める。
「……そうやねえ。それやったらええかも」
「では、わたくしはどのようなリスクを負えばよろしいのでしょうか?」
「んー……」
秀人はほんの少し目線を外し、悩むような顔をしていたが、またすぐに日向子を見つめてにっこり笑った。
「純潔、とか?」
「は?」
キョトンとしている日向子の華奢な肩を、秀人はポン、と唐突に押した。
「きゃっ」
運動法則に従って日向子は横倒しにベッドに倒れ込んだ。
秀人は日向子を見下ろしてぺろっと舌先で唇を舐めた。
「……僕と、エッチする?」
「……っ」
「エッチするんやったら有佳のいるとこ、教えてあげる」
「……そ、そのような……」
「あ、震えてる。めっちゃ可愛い……」
秀人は上体を傾けて、日向子に半分被さるようにして瞳を覗く。
「実に、そそるね」
日向子はぎゅっと手に力を込めて、息を大きく吸う。震えを止めるために。
「……このようなこと、ハニー様が悲しまれますわよ?」
「ええよ。今日からキミが僕のハニーってことにするから」
暖簾に腕押しとはこのことか。
日向子は今になって秀人の言葉をひとつ誤解していたことに気付いた。
本当に大切に出来る人はひとりしかいない……それは恋人のことではないのだ。
彼にとって最も大切で、可愛いのは自分自身なのだから。
「……嫌やんなあ? こんなひとでなしの、ようわからんおっさんに汚されるなんて。
嫌やったら僕を殴って帰ればええやん。
僕も無理強いする気ィなんて更々ないで?」
それが理不尽な言葉だということはわかっている。
しかしそれでも日向子は動けなかった。
逃げて帰れば、菊人を救うことより自分の身可愛さをとったことになる。秀人の理屈でいくならば……。
この人に負けたくない、と思った。
「……お好きに、なさってはいかがですか……?」
気丈に告げて、きゅっと目を閉じた。
「……ふうん、そう」
秀人の顔が更に近付いたのがわかった。
耳元に息がかかる。
「……っ」
「……水無子と似てるんは、顔だけちゃうなあ。
キミもなかなか、僕の思い通りにならんね……?」
「……え?」
日向子が思わず目を開けた瞬間、突如として激しく金属がぶつかるような破壊音が響き渡った。
「あーあー……また、なんちゅうことを」
秀人は日向子から身を引いて、呆れたように溜め息をつく。
日向子も半分身体をおこして、何が起きたのかを確認する。
音がしたのは入り口のドアからだった。
ドアのノブのあたりがすっかりひしゃげて、一部は砕けて床に転がってしまい、ドアの向こう側の景色が覗き見られるようになってしまっていた。
驚く日向子の目の前で、破壊されたドアが開け放たれる。
「……ホンマに人の話をちゃんと聞かんオンナやな……」
不機嫌な顔をした有砂が、どうやら凶行に用いたと思われる、胴体のへこんだ消火器を片手に入ってきだ。
「一人でそいつに会うな、ゆうた筈やで」
「あの、でも菊人ちゃんが……」
「薔子さんに聞いた。聞いたからここへ来たんや……ま、そこの変態に言いたいことは他にも山ほどあるんやけどな」
手にしていた消火器を軽く放り投げる。秀人の足元に、それは鈍い音を立てて転がった。
有砂はそうして空いた手で日向子をベッドから引っ張り下ろし、自分の後ろに押しやった。
日向子はいつかの駐車場での出来事を思い出した。
あの時と違うのは有砂の背中に強烈な殺気を感じること。
「……とりあえず、とっとと母さんの居場所を吐け」
「佳人~、それが人に物を頼む態度なん?」
秀人は有砂の殺気を正面から受け止めている筈だが、この期に及んでもにやにや笑っている。
「……菊人のことが心配なんやったら、もっとちゃんとお願いしてみたらどうや~? お兄ちゃん」
「っ」
有砂の肩が増幅した怒りにぐっと持ち上がるのを見て、日向子は思わずその背中に、触れた。
「……」
有砂は日向子を軽く振り返り、無言のまま見つめた。
日向子も何も言わなかった。
それでも有砂は、小さく首を上下して頷いた。
わかってる、と。
そして有砂は再び実父へと向き合う。
「……親父……」
低い声で呟くと、日向子の見守る前で、ゆっくりと、膝を、折った。
グレーのカーペットを敷いた床に膝をつき、手をていて、最後に頭が降りる。
「……頼む。教えてくれ」
日向子は祈るように両手を組んだ。
有砂にとって、反発している父親に頭を下げることがどれほど屈辱的なことであるか。
もしこれでも秀人がごねるようなら、日向子もその横で手をつくつもりでいた。
だがその必要はなくなった。
秀人がベッドに腰かけたまま、有砂を見下ろして、笑顔でこう告げたからだ。
「な~んちゃって♪ ホンマは僕も知らんねん。……怒った~?」
「っ……!」
予想だにしない言葉に感情が追い付かずに、膝をついたまま呆然とする有砂の横をすたすたと、日向子は真っ直ぐに秀人の眼前に歩み出た。
そして。
細い手首が砕けてしまうのではないかというほど力いっぱい……秀人を平手打ちした。
「……痛ぁ~……」
涙目で頬を押さえる秀人を正面から見据えていい放つ。
「痴れ者。恥をお知りなさい」
幼な顔の小さな令嬢が浴びせた痛烈な一言。
「……えっ、あ……」
秀人は大きく目を見開いて固まる。
「……ご。ごめんな、さい」
涙目の状態で声を裏返らせながら、ほとんど反射的に謝罪する。
日向子はそんな秀人に背を向けると、また別の意味で呆然としている有砂の前でしゃがみこみ、数秒前が嘘のような笑顔を見せた。
「ご立派でいらっしゃいました。さあ、参りましょう」
手をさしのべる。
「……ね?」
有砂は無言のまま目を伏せて、静かにその手を取った。
「……ああ」
おとなしく日向子に手を引かれて立ち上がり、半泣きのままうなだれている秀人に視線を向けることもなく、有砂はゆっくりと破壊されたドアから部屋を出た。
何事が起きたかと部屋の外に集まっていたアシスタントの若い女性たちがわざとらしく散々に逃げて行く中を、ゆっくりと歩き、一階エントランス直通のエレベーターに二人で乗り込んだ。
ドアが閉まった瞬間、日向子は突然、バランスを失ったようによろめいて、有砂にしなだれかかるような格好となってしまった。
「……お嬢?」
とっさにそれを支えながら、有砂は日向子の顔を覗く。
「……申し訳ありません……身体に力が入らなくて」
日向子ははーっと息を吐き出す。
「……人様に対して本気で怒ってしまったのは、生まれて初めてでしたから……」
「……あんな無茶苦茶な交換条件出されても怒らんかったくせに」
「はしたない真似を致しました……有砂様のお父様にあのような」
「……あんな奴、はなから父親やと思てへん」
「……それは、嘘ですわね」
「……なんやて?」
「有砂様は秀人様に頭をお下げになりました……菊人ちゃんのために夢中でいらしたのでしょうけれど、そればかりでなく、本当はどこかで秀人様を信じてみたい、というお気持ちがあったのではありませんか?」
日向子は有砂の腕に身体を預けたまま、ずっと高いところにあるその瞳を見つめた。
有砂は目をそらすことなく、眼差しを受け止める。
「……そう、かもな」
胸を締め付けられるほどに寂しそうな微笑で。
「……何回裏切られても、何回失望しても、どこかでまだ期待を棄てきれてへんのかもしれへん」
「……あ」
ゆっくりと静かに下降を始める狭い箱の中で、日向子は有砂の腕に包まれ、きつく抱きしめられていた。
胸の位置に押し付けられる格好になった右耳には有砂の心臓の鼓動が響いてくる。
苦しそうな呟きと一緒に。
「……前にジブンが言うてた通り、オレは孤独に耐えられない甘ったれのガキや……」
「有砂様……?」
「……いつも悪夢に追い掛けられて、独りきりで夜を越えることすらオレには……っ」
顔は見えないが、多分有砂は泣いているのだろう、と日向子は思った。
秀人の仕打ちは恐らく、有砂の不安定な心を紙一重で支えていた細い支柱を無惨にへし折ってしまったのだろう。
だがその支柱は裏を返せば、有砂の本心を外界から隔てるための、侵入者を阻む障害だったともいえるのかもしれない。
吐き出されているのは、皮肉も虚勢も失われた言葉。
脆く儚く、純粋な……。
日向子は今、初めて有砂の剥き出しの感情に触れたような気がした。
そのあまりにも繊細な想いにどんな言葉を返してあげればいいのかわからず、日向子はただ有砂の後ろに手を回して、その小刻みに震える背中を撫でていた。
フロア表示の点灯が「1」を示し、ゆっくりと扉を開くその時まで。
訪れたその時、有砂は、静かに日向子を解放した。
「……立てる、か?」
「……はい、あの……大丈夫みたいです」
「そうか」
有砂はどこかわざとらしく、日向子の前に立ってエントランスを抜け、歩いていく。
涙の余韻を見られたくないのだろう。
いつもの有砂に戻りつつある。
「さてどうする? お嬢。諦めて警察に駆け込むか?」
後ろ姿の問掛けに、日向子はきっぱり答えた。
「いいえ。まだですわ」
《つづく》
2007/09/01 (Sat)
Angelo周辺
MAIN GATE祭(別名キリト祭)後半戦・Angelo2daysに参戦。
場所はもちろん今回も檸檬の館。
祭、祭というわりには案外普通のライブ(キリトソロもだが 笑)だったけど、新曲「断末魔に耳すませて」あり、ミニアルバム&ツアーファイナル(な、な、なんと聖地・武道館!!!!! 早ッ)と発表もあり、何より今回はもうお兄ちゃんの衣裳に度肝を抜かれたね。
登場SEが流れて楽器隊が揃ったのになかなか出て来なくて、みんなが「???」となったところで登場。
この三日の間に髪が赤くなってた……!!
そして謎の女王様ファッションでステッキ所持という……。
私には「爆れつハンター」というアニメ(漫画・小説もあるが)の「ショコラ・ミス」というキャラクター(♀)にしか見えなかった。笑。
なんといってもあの帽子だよな……。
そんなわけでお兄ちゃんは一人で強烈なインパクトを与えていたけど、その分(?)TAKEOさんは今回薄かった。
こないだのツアーが結構メイクがビシッと決まってて、あざとい衣裳(あざとい言うな)だっただけになんとなく残念だ。
心なしかフェロモン指数も少な目でね。
TORUxxxさんは回を増すごとに可愛さに研きがかかってきてる。人気も鰻上りだし。
見た目とかじゃなくて雰囲気だけどね。
もうここまできたら正式メンバーでいいと思うんだがなあ。
え? KOHTAさん?
KOHTAさんはいつも通りだったよ。笑。
肝心のライブの中身としてはまず、初日の一曲目「CRUCIFIX」にびびった。
それは全然想定してなくって。
個人的には「Dear[MASTER]」 から繋げる今までの定番のセトリがわりと好きだったんだけど、この曲から入るのも全然ありなんだなあと。
今回はバラードセクションがやや長めだったんだけど、4曲のうち3曲目が、初日「異境~」、二日目「EDEN」と拳を振り上げたり、ヘドバンしたりする、バラードと呼ぶにはちと激しい曲たちだったので、一回軽くテンション上がってからまたおとなしい曲、って感じで、ちょっともやっとしたかな~?
やっぱり「異境~」のあとはぐわっと上がっていきたいのだよ。ぐわっと。
Angeloは兄ソロよりもっと曲が少ないから、今のところもれなく全曲ライブなわけで、その中で違った構成を考えて、ってジグソーパズル的な難しさだと思う。
ミニアルバムにはライブ未発表曲が入らないみたいで残念だけど、とにかくAngeloはもっと曲を増やしてほしいね。
過剰な期待は寄せてないけどさ、そろそろKOHTA曲を下さい……!!
祭のあとにしみじみ思うのは、やっぱり今の私が一番純粋に好きなのはAngeloだってことです。
一番楽しくて、一番かっこよくて、一番気持ち良くて、一番ドキドキするけど、一番ほっとする。
自分の中の色々な感情(どろどろしたものを含む 笑)を激しく揺さぶられるのが、すごく、好き。幸せ。
開演の時、暗転した瞬間の動悸も少なくとも兄ソロやABCよりずっとすごかったしね。笑。
ま、私がコーターだからっていうのもあるかもしれないけど、絶対それだけじゃないし。
よし、私はアンジェラーだ。
少なくともジャンヌさんが帰ってくるまではアンジェラーとして生きてやるんだぜ!!(笑)
8月も終わっちゃったけど、この夏は久々に結構たくさんライブに行けたな。
7月と8月だけでもアニメロサマーライブ、ABCの代々木ストリート、GRANRODEOワンマン、そしてキリト2days、Angelo2days。
8本か。充実した夏だった。
一年で一番大好きな季節を、今年も悔いなく過ごせてようございました。
私の人生の至福の時ベスト5は、創作活動をしている時、乙女ゲームに没頭している時、彼氏・友達・家族ら大切な人と過ごす時、誰にも邪魔されず好きなだけ眠れる時、そして、ライブに参戦している時。
この5つは、どれかひとつでも失うくらいなら死んだほうがマシってくらいかかせないもので、それ以外は全部人生のおまけみたいなもんだしね~。
この秋は今のところ何もライブ参戦予定がないんだけど、他にも4つあるからね。まー楽しく生きていきたいもんです。
以下、2日分のセトリ。多分合ってる。
《8/30》
1 CRUCIFIX
2 白昼夢
3 WINTER MOON
MC
4 REBORN
5 Dear[MASTER]
6 DANCE
7 EASTER AGAIN
MC
8 HALLUCINATION
9 DARK SNOW
10 異境に咲く花
11 SEE YOU AGAIN
MC
12 断末魔に耳すまして
13 MORE PAIN
14 CEREMONY
15 Destruction impulse
MC
16 SCRAP
17 SQUALL
18 Holocaust
En1 EDEN
2 NEO HADES
MC(メンバー紹介)
3 CHRIST IS A MONKEY
4 REBORN
《8/31》
1 CHRIST IS A MONKEY
2 CRUCIFIX
3 WINTER MOON
MC
4 白昼夢
5 Dear[MASTER]
6 MORE PAIN
7 EASTER AGAIN
MC
8 HALLUCINATION
9 DARK SNOW
10 EDEN
11 SEE YOU AGAIN
MC
12 断末魔に耳すまして
13 DANCE
14 CEREMONY
15 Destruction impulse
MC
16 SCRAP
17 SQUALL
18 Holocaust
En1 異境に咲く花
2 NEO HADES
MC(メンバー紹介)
3 REBORN
4 CHRIST IS A MONKEY
場所はもちろん今回も檸檬の館。
祭、祭というわりには案外普通のライブ(キリトソロもだが 笑)だったけど、新曲「断末魔に耳すませて」あり、ミニアルバム&ツアーファイナル(な、な、なんと聖地・武道館!!!!! 早ッ)と発表もあり、何より今回はもうお兄ちゃんの衣裳に度肝を抜かれたね。
登場SEが流れて楽器隊が揃ったのになかなか出て来なくて、みんなが「???」となったところで登場。
この三日の間に髪が赤くなってた……!!
そして謎の女王様ファッションでステッキ所持という……。
私には「爆れつハンター」というアニメ(漫画・小説もあるが)の「ショコラ・ミス」というキャラクター(♀)にしか見えなかった。笑。
なんといってもあの帽子だよな……。
そんなわけでお兄ちゃんは一人で強烈なインパクトを与えていたけど、その分(?)TAKEOさんは今回薄かった。
こないだのツアーが結構メイクがビシッと決まってて、あざとい衣裳(あざとい言うな)だっただけになんとなく残念だ。
心なしかフェロモン指数も少な目でね。
TORUxxxさんは回を増すごとに可愛さに研きがかかってきてる。人気も鰻上りだし。
見た目とかじゃなくて雰囲気だけどね。
もうここまできたら正式メンバーでいいと思うんだがなあ。
え? KOHTAさん?
KOHTAさんはいつも通りだったよ。笑。
肝心のライブの中身としてはまず、初日の一曲目「CRUCIFIX」にびびった。
それは全然想定してなくって。
個人的には「Dear[MASTER]」 から繋げる今までの定番のセトリがわりと好きだったんだけど、この曲から入るのも全然ありなんだなあと。
今回はバラードセクションがやや長めだったんだけど、4曲のうち3曲目が、初日「異境~」、二日目「EDEN」と拳を振り上げたり、ヘドバンしたりする、バラードと呼ぶにはちと激しい曲たちだったので、一回軽くテンション上がってからまたおとなしい曲、って感じで、ちょっともやっとしたかな~?
やっぱり「異境~」のあとはぐわっと上がっていきたいのだよ。ぐわっと。
Angeloは兄ソロよりもっと曲が少ないから、今のところもれなく全曲ライブなわけで、その中で違った構成を考えて、ってジグソーパズル的な難しさだと思う。
ミニアルバムにはライブ未発表曲が入らないみたいで残念だけど、とにかくAngeloはもっと曲を増やしてほしいね。
過剰な期待は寄せてないけどさ、そろそろKOHTA曲を下さい……!!
祭のあとにしみじみ思うのは、やっぱり今の私が一番純粋に好きなのはAngeloだってことです。
一番楽しくて、一番かっこよくて、一番気持ち良くて、一番ドキドキするけど、一番ほっとする。
自分の中の色々な感情(どろどろしたものを含む 笑)を激しく揺さぶられるのが、すごく、好き。幸せ。
開演の時、暗転した瞬間の動悸も少なくとも兄ソロやABCよりずっとすごかったしね。笑。
ま、私がコーターだからっていうのもあるかもしれないけど、絶対それだけじゃないし。
よし、私はアンジェラーだ。
少なくともジャンヌさんが帰ってくるまではアンジェラーとして生きてやるんだぜ!!(笑)
8月も終わっちゃったけど、この夏は久々に結構たくさんライブに行けたな。
7月と8月だけでもアニメロサマーライブ、ABCの代々木ストリート、GRANRODEOワンマン、そしてキリト2days、Angelo2days。
8本か。充実した夏だった。
一年で一番大好きな季節を、今年も悔いなく過ごせてようございました。
私の人生の至福の時ベスト5は、創作活動をしている時、乙女ゲームに没頭している時、彼氏・友達・家族ら大切な人と過ごす時、誰にも邪魔されず好きなだけ眠れる時、そして、ライブに参戦している時。
この5つは、どれかひとつでも失うくらいなら死んだほうがマシってくらいかかせないもので、それ以外は全部人生のおまけみたいなもんだしね~。
この秋は今のところ何もライブ参戦予定がないんだけど、他にも4つあるからね。まー楽しく生きていきたいもんです。
以下、2日分のセトリ。多分合ってる。
《8/30》
1 CRUCIFIX
2 白昼夢
3 WINTER MOON
MC
4 REBORN
5 Dear[MASTER]
6 DANCE
7 EASTER AGAIN
MC
8 HALLUCINATION
9 DARK SNOW
10 異境に咲く花
11 SEE YOU AGAIN
MC
12 断末魔に耳すまして
13 MORE PAIN
14 CEREMONY
15 Destruction impulse
MC
16 SCRAP
17 SQUALL
18 Holocaust
En1 EDEN
2 NEO HADES
MC(メンバー紹介)
3 CHRIST IS A MONKEY
4 REBORN
《8/31》
1 CHRIST IS A MONKEY
2 CRUCIFIX
3 WINTER MOON
MC
4 白昼夢
5 Dear[MASTER]
6 MORE PAIN
7 EASTER AGAIN
MC
8 HALLUCINATION
9 DARK SNOW
10 EDEN
11 SEE YOU AGAIN
MC
12 断末魔に耳すまして
13 DANCE
14 CEREMONY
15 Destruction impulse
MC
16 SCRAP
17 SQUALL
18 Holocaust
En1 異境に咲く花
2 NEO HADES
MC(メンバー紹介)
3 REBORN
4 CHRIST IS A MONKEY
2007/08/28 (Tue)
一次創作関連
「……ストーカー?」
マンションの入り口にしゃがみこんでいた、おさげ髪の若い女は、斜め上から見下ろす男へ眼鏡ごしに強い視線を向けた。
「……ご挨拶ね、沢城佳人。コートも着ないでどこに行ってたの?」
「練習」
短く答えて通りすぎようとする有砂に、すかさず問掛ける。
「ねえ、ゼン兄は? 連絡がつかないから待ってたんだけど……」
有砂は立ち止まり、うづみを振り返った。
「……聞いてないんか? あいつならここにはもう戻らんつもりみたいやで」
「え……?」
「……ご丁寧にアパートの名義変更の手続きまで勝手に済ませて出て行きよった。
バンドも辞める気のようやし……お嬢の話と合わせて考えると、釘宮の後継者になるんはほぼ確定らしい。それも、年内やと……スノウ・ドームは安泰そうやな」
有砂の言葉には多分に皮肉が含まれていたが、
「うそ……」
うづみはそんなことにまるで気付かないように愕然とした表情でその場にへたりこんだ。
「……そんな……やっと、ゼン兄を自由に出来ると思ったのに……」
震えながら、両手で頭を抱えるうづみを無言で見下ろしていた有砂は、ふと彼女の左手の薬指にきらめく飾りを目にとめた。
「……その指輪、どこで手に入れた?」
《第8章 迷宮の果てで、もう一度 -release-》【3】
「どうしたの? 日向子……」
美々はいきなり部屋を訪ねてきた職場の親友兼後輩のただならぬ雰囲気に驚いていた。
玄関先では話しにくいからという日向子に応えて、とりあえず部屋の中へ入れたが、日向子はソファに腰を下ろすこともなく、切羽詰まった表情で切り出した。
「美々お姉様の、お母様……有佳(ユカ)様が今どちらにいらっしゃるか、おわかりになりますか?」
思いもかけない問掛けに、美々は日向子を凝視する。
「……なんで?」
声音はどこか冷たいものになってしまう。
日向子はひるまず、じっと美々を見返す。
「菊人ちゃん……美々お姉様の弟に当たる男の子が行方不明になりましたの
ハウスキーパーが目を離した隙にお庭からいなくなったと……」
美々は一瞬目を見開いたが、すぐに打ち消す。
「……それで?」
「はい……ポストに走り書きのようなメモが投函されていたそうで……その、差し出し人の名前が有佳様なのですって」
「……メモには何て?」
「……『この子は私が連れて行きます』、と」
「……」
「有佳様は沢城家とは完全に絶縁していらっしゃったそうで、薔子様には行方がおわかりにならないのですわ。
美々お姉様ならご存じなのではありませんか……?」
美々は一瞬苦しそうな顔で目を伏せたが、それもまたすぐに打ち消した。
「……その状況だったら確実に誘拐じゃないの。警察に通報すれば済むことでしょ?」
「できれば警察沙汰にはなさりたくないと、薔子様のご判断です……」
美々はフッとにわかに冷笑した。
「……自分の子どもの身が危ないかもしれないってのに、悠長な女」
日向子は首をゆっくり左右する。
「薔子様だって一秒でも早く菊人ちゃんの無事を確かめたいと思っていらっしゃいます。
……ただ、出来ることなら大人の都合で深く傷付く子どもをもう出したくないとお考えなのです」
かつて沢城家の双子に起きた惨劇は、大きくマスコミにも取り上げられて、当事者たちの心に未だ影を落としている。
薔子は当時は自分のことで精一杯だったために、他の人間、それも夫の前妻とその子どもたちを思いやる余裕など全くなかったのだろう。
しかし年月を経て、自らも子を授かった今、薔子はそれを過ちと認められるようになっていた。
日向子は電話で話して、そんな薔子の気持ちを察した。
そして、詳しくは話せないが、有佳の居所に心当たりがあるかもしれない人を知っていること、もしも明日の日付に変わるまでに連絡しなければ、その時は警察に届けるようにと伝えたのだった。
「……なんなのよ、それは」
うつむいた美々はうめくように呟く。
「あたしの幸せをぶち壊しておいて、今更何言ってんのよ……」
「美々お姉様……」
「日向子……あたし、佳人に会ったよ」
「え……?」
微かに瞳に涙を浮かべた美々が、顔を上げ、乾いた微笑みをつくる。
「偶然ね……あの店でバイト始めたなんて知らなかったから。
あたし、あんなにつっぱってたのに、実際に会ったら我慢出来なくて、声をかけちゃった」
「……それで?」
「……佳人も気付いたみたいだったけど……言われちゃった。『もうここには来るな』って」
一滴、涙が頬を伝い落ちる。
「当たり前だよね。……拒絶したのはあたしだったんだから。
……ダメなんだよ、一度壊してしまったものは元になんか戻らないんだ」
震える言の葉。
「あの女もそれを知るべきなんじゃないの……?
子どもに何かあったって、自業自得よ」
冷淡とも言える発言とは裏腹に、美々は傷付いた少女の顔をしている。
日向子はそっと歩み寄り、小さな身体でぎゅっと美々に抱きついた。
「……日向子……」
「あなた方は、いつも自分に嘘をついて、追い詰めようとなさいますのね……欲しいものを要らないと言って、寂しくても寂しいとは言わない。
心にもないことばかり口にして、自ら傷付いて」
本当に、よく似ているのだ。
この妹とあの兄とは。
「……もしも、先に声を掛けたのが有砂様だったら、美々お姉様はどうなさいましたか……?」
「……それは」
「もしも相手が自分を憎んでいたら、許してもらえなかったら、拒絶されたら……そんな不安を感じたのではないですか?
傷付くくらいなら、自分から遠ざけてしまおうと……思うのでは?」
美々は無言だったが、日向子はそんな彼女を見つめて、涙の跡を指で拭う。
「……本当に欲しいものがある時は、どうぞ勇気を出して、なりふり構わず求めて下さい。
その結果何が起きても……わたくしは、美々お姉様のお側にいて、出来る限りお支え致します。
……親友、なのですから」
美々はきゅっと目を閉じて、今度は反対に日向子を抱き締めた。
「……ありがと……ごめんね。あんたのほうがよっぽど、お姉様みたいだね……」
「……美々お姉様は素敵なお姉様ですわ」
「そうだね、素敵なお姉様でいられるように、もっとしっかりしなくちゃ」
美々は日向子を抱き締めていた腕をそっとほどいて、もう泣いてはいない、真面目な顔で切り出す。
「だけどごめん、あたしもずっと母さんには会ってなくて、今どこにいるかはわからないんだ」
「そうでしたの……」
「けど、前に母さんが入院してた病院とか、あたしがいた施設とか、色々当たってみればわかるかもしれない。
調べてみるから少し時間をちょうだい」
いつもの行動力に満ちた頼りになる美々が戻ってきたようで、日向子は非常時に不謹慎かと思いながらも、純粋に嬉しくなった。
「はい、お願い致します……ではその間にわたくしは、もうひとつのあてを当たってみますわ」
「もうひとつのあて?」
いぶかしげな美々に、日向子は自分のコートのポケットに入れたままだったあるものを取り出し、見せた。
「それ……」
「秀人様の名刺……アトリエに伺ってみようと思いますの。
薔子様がご連絡された際は、まともに話を聞いて頂くことも出来なかったと……わたくしから改めて事情をご説明して、有佳様の居場所をご存じないか確認しようと思いますの。
籍を外れたとしても、菊人ちゃんの実のお父様ですもの、きっと……」
「どうかな」
苦々しく美々が呟く。
「あの人に世間一般の常識は一切通用しないからね……人並の親の情を期待しても無駄だと思うけど」
「……無駄、だったとしてもただ待っているよりはいいのではないかと思います」
きっぱりと言い切る日向子だったが、美々はずっと渋い顔をしたままだった。
「……くれぐれも、気を付けてね? 日向子……」
「ねえ、玄鳥はどう思う?」
「何が?」
「有砂のこと。今日のあれってさ、やっぱりお姉さんのこと狙ってるのかな??」
日向子を練習スタジオから連れ去った有砂は、何食わぬ顔で戻ってきた。
玄鳥の非難や万楼の詰問も見事に煙に撒き、平然と練習をこなし、帰って行った。
ファミレスで遅めの夕食をともにする年少組は、未だもやもやした気持ちを抱えたまんまだった。
「……別に有砂さんが本気で日向子さんを好きだっていうなら仕方ないと思う」
玄鳥はサラダのレタスの青々とした繊維をフォークでザクっと貫く。
「……だけど、いい加減な気持ちの人間が日向子さんに近付くのは耐えられない」
「……いい加減な気持ち……」
焼きたてのパンケーキにたっぷりメイプルシロップを回しかけながら、万楼はぽつりと呟く。
「……いい加減な気持ち、なのかな……ボク」
「万楼……?」
玄鳥は恋敵の異変を敏感に感じとっていた。
「……今日、お前、ほとんど日向子さんと話してなかったよな。近くに行ったのは眠ってる時だけで……さ。
しばらくメールも控えてるだろ?」
「チェック細かいな……玄鳥って恋愛になると粘着質なんだね」
「……っ、なんだよ。心配してるんだぞ、一応」
有砂や紅朱を牽制したり、万楼の行動をチェックしたり……自分でもあんまりかっこいいことではないとわかっている玄鳥は、わかっているが故に本気でむっとしてしまう。
「ごめん」
万楼は苦笑いする。
「わかんなくなってきたんだ」
とても、辛そうな笑みだ。
「ボクは本当にお姉さんが好きなのかな」
「……なんだよ、急に」
二人はディナーを未だ一口も口に運ばないままに、互いを見つめる。
「お姉さんはボクを粋さんの代わりなんかじゃないって……言ってくれた」
「……うん」
「だけど……ボクにとってお姉さんはもしかしたら、代わりなのかもしれない」
サラサラとした淡いピンクの髪に指をくしゃりと突っ込んで、万楼はきつく目を閉じる。
「だって思い出しちゃったから……ボクは、《万楼》が……粋さんのことが好きだったって」
「申し訳ありません、お約束もなく突然お邪魔致しまして」
「ええよ、ええよ♪ キミが遊びに来てくれるん、ホンマ楽しみやってんから」
有砂と造形のよく似た顔がハイテンションで気さくに話す様子に、未だに戸惑いを覚えながらも、日向子はキョロキョロと室内を見渡した。
秀人のアトリエ。
《SIXS》のゴシックなイメージからもっと薄暗い洋館みたいなところかと思っていたが、ごく普通のモダンなデザイナーズハウスという雰囲気だった。
秀人のアシスタントらしき人と数人遭遇したが、全員が若い女性だった。
アシスタントの一人に案内された部屋は、三階建ての建物の最上階。
その最奥の秀人のプライベートルーム。
アシスタントにも入ることが許可されていない部屋だという。
思いの外、無駄なもののないシンプルな部屋だ。
「座って」
促されたのはベッドだった。
有砂ほどではないが長身の秀人だけあり、ベッドは恐らくクイーンサイズだろう。
日向子がちょこんと遠慮がちに腰を下ろすと、秀人は遠慮のかけらもなくすぐ横に座る。
「……で、急ぎの用って何?」
「あ、はい……その」
日向子は菊人が行方不明であること、連れ去ったのは有佳の可能性が高いということを一生懸命説明した。
秀人は、うんうん、と相槌を打ちながら話を聞いていた。
これなら大丈夫かもしれない、日向子はそう思いながら尋ねた。
「有佳様がどちらにいらっしゃるかご存じでいらっしゃいますか?」
秀人は問掛けにあっさり答えた。
「うん。わかるで」
「本当ですか!?」
「けど」
年齢にそぐわない悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「教えて、あげないよ」
《つづく》
マンションの入り口にしゃがみこんでいた、おさげ髪の若い女は、斜め上から見下ろす男へ眼鏡ごしに強い視線を向けた。
「……ご挨拶ね、沢城佳人。コートも着ないでどこに行ってたの?」
「練習」
短く答えて通りすぎようとする有砂に、すかさず問掛ける。
「ねえ、ゼン兄は? 連絡がつかないから待ってたんだけど……」
有砂は立ち止まり、うづみを振り返った。
「……聞いてないんか? あいつならここにはもう戻らんつもりみたいやで」
「え……?」
「……ご丁寧にアパートの名義変更の手続きまで勝手に済ませて出て行きよった。
バンドも辞める気のようやし……お嬢の話と合わせて考えると、釘宮の後継者になるんはほぼ確定らしい。それも、年内やと……スノウ・ドームは安泰そうやな」
有砂の言葉には多分に皮肉が含まれていたが、
「うそ……」
うづみはそんなことにまるで気付かないように愕然とした表情でその場にへたりこんだ。
「……そんな……やっと、ゼン兄を自由に出来ると思ったのに……」
震えながら、両手で頭を抱えるうづみを無言で見下ろしていた有砂は、ふと彼女の左手の薬指にきらめく飾りを目にとめた。
「……その指輪、どこで手に入れた?」
《第8章 迷宮の果てで、もう一度 -release-》【3】
「どうしたの? 日向子……」
美々はいきなり部屋を訪ねてきた職場の親友兼後輩のただならぬ雰囲気に驚いていた。
玄関先では話しにくいからという日向子に応えて、とりあえず部屋の中へ入れたが、日向子はソファに腰を下ろすこともなく、切羽詰まった表情で切り出した。
「美々お姉様の、お母様……有佳(ユカ)様が今どちらにいらっしゃるか、おわかりになりますか?」
思いもかけない問掛けに、美々は日向子を凝視する。
「……なんで?」
声音はどこか冷たいものになってしまう。
日向子はひるまず、じっと美々を見返す。
「菊人ちゃん……美々お姉様の弟に当たる男の子が行方不明になりましたの
ハウスキーパーが目を離した隙にお庭からいなくなったと……」
美々は一瞬目を見開いたが、すぐに打ち消す。
「……それで?」
「はい……ポストに走り書きのようなメモが投函されていたそうで……その、差し出し人の名前が有佳様なのですって」
「……メモには何て?」
「……『この子は私が連れて行きます』、と」
「……」
「有佳様は沢城家とは完全に絶縁していらっしゃったそうで、薔子様には行方がおわかりにならないのですわ。
美々お姉様ならご存じなのではありませんか……?」
美々は一瞬苦しそうな顔で目を伏せたが、それもまたすぐに打ち消した。
「……その状況だったら確実に誘拐じゃないの。警察に通報すれば済むことでしょ?」
「できれば警察沙汰にはなさりたくないと、薔子様のご判断です……」
美々はフッとにわかに冷笑した。
「……自分の子どもの身が危ないかもしれないってのに、悠長な女」
日向子は首をゆっくり左右する。
「薔子様だって一秒でも早く菊人ちゃんの無事を確かめたいと思っていらっしゃいます。
……ただ、出来ることなら大人の都合で深く傷付く子どもをもう出したくないとお考えなのです」
かつて沢城家の双子に起きた惨劇は、大きくマスコミにも取り上げられて、当事者たちの心に未だ影を落としている。
薔子は当時は自分のことで精一杯だったために、他の人間、それも夫の前妻とその子どもたちを思いやる余裕など全くなかったのだろう。
しかし年月を経て、自らも子を授かった今、薔子はそれを過ちと認められるようになっていた。
日向子は電話で話して、そんな薔子の気持ちを察した。
そして、詳しくは話せないが、有佳の居所に心当たりがあるかもしれない人を知っていること、もしも明日の日付に変わるまでに連絡しなければ、その時は警察に届けるようにと伝えたのだった。
「……なんなのよ、それは」
うつむいた美々はうめくように呟く。
「あたしの幸せをぶち壊しておいて、今更何言ってんのよ……」
「美々お姉様……」
「日向子……あたし、佳人に会ったよ」
「え……?」
微かに瞳に涙を浮かべた美々が、顔を上げ、乾いた微笑みをつくる。
「偶然ね……あの店でバイト始めたなんて知らなかったから。
あたし、あんなにつっぱってたのに、実際に会ったら我慢出来なくて、声をかけちゃった」
「……それで?」
「……佳人も気付いたみたいだったけど……言われちゃった。『もうここには来るな』って」
一滴、涙が頬を伝い落ちる。
「当たり前だよね。……拒絶したのはあたしだったんだから。
……ダメなんだよ、一度壊してしまったものは元になんか戻らないんだ」
震える言の葉。
「あの女もそれを知るべきなんじゃないの……?
子どもに何かあったって、自業自得よ」
冷淡とも言える発言とは裏腹に、美々は傷付いた少女の顔をしている。
日向子はそっと歩み寄り、小さな身体でぎゅっと美々に抱きついた。
「……日向子……」
「あなた方は、いつも自分に嘘をついて、追い詰めようとなさいますのね……欲しいものを要らないと言って、寂しくても寂しいとは言わない。
心にもないことばかり口にして、自ら傷付いて」
本当に、よく似ているのだ。
この妹とあの兄とは。
「……もしも、先に声を掛けたのが有砂様だったら、美々お姉様はどうなさいましたか……?」
「……それは」
「もしも相手が自分を憎んでいたら、許してもらえなかったら、拒絶されたら……そんな不安を感じたのではないですか?
傷付くくらいなら、自分から遠ざけてしまおうと……思うのでは?」
美々は無言だったが、日向子はそんな彼女を見つめて、涙の跡を指で拭う。
「……本当に欲しいものがある時は、どうぞ勇気を出して、なりふり構わず求めて下さい。
その結果何が起きても……わたくしは、美々お姉様のお側にいて、出来る限りお支え致します。
……親友、なのですから」
美々はきゅっと目を閉じて、今度は反対に日向子を抱き締めた。
「……ありがと……ごめんね。あんたのほうがよっぽど、お姉様みたいだね……」
「……美々お姉様は素敵なお姉様ですわ」
「そうだね、素敵なお姉様でいられるように、もっとしっかりしなくちゃ」
美々は日向子を抱き締めていた腕をそっとほどいて、もう泣いてはいない、真面目な顔で切り出す。
「だけどごめん、あたしもずっと母さんには会ってなくて、今どこにいるかはわからないんだ」
「そうでしたの……」
「けど、前に母さんが入院してた病院とか、あたしがいた施設とか、色々当たってみればわかるかもしれない。
調べてみるから少し時間をちょうだい」
いつもの行動力に満ちた頼りになる美々が戻ってきたようで、日向子は非常時に不謹慎かと思いながらも、純粋に嬉しくなった。
「はい、お願い致します……ではその間にわたくしは、もうひとつのあてを当たってみますわ」
「もうひとつのあて?」
いぶかしげな美々に、日向子は自分のコートのポケットに入れたままだったあるものを取り出し、見せた。
「それ……」
「秀人様の名刺……アトリエに伺ってみようと思いますの。
薔子様がご連絡された際は、まともに話を聞いて頂くことも出来なかったと……わたくしから改めて事情をご説明して、有佳様の居場所をご存じないか確認しようと思いますの。
籍を外れたとしても、菊人ちゃんの実のお父様ですもの、きっと……」
「どうかな」
苦々しく美々が呟く。
「あの人に世間一般の常識は一切通用しないからね……人並の親の情を期待しても無駄だと思うけど」
「……無駄、だったとしてもただ待っているよりはいいのではないかと思います」
きっぱりと言い切る日向子だったが、美々はずっと渋い顔をしたままだった。
「……くれぐれも、気を付けてね? 日向子……」
「ねえ、玄鳥はどう思う?」
「何が?」
「有砂のこと。今日のあれってさ、やっぱりお姉さんのこと狙ってるのかな??」
日向子を練習スタジオから連れ去った有砂は、何食わぬ顔で戻ってきた。
玄鳥の非難や万楼の詰問も見事に煙に撒き、平然と練習をこなし、帰って行った。
ファミレスで遅めの夕食をともにする年少組は、未だもやもやした気持ちを抱えたまんまだった。
「……別に有砂さんが本気で日向子さんを好きだっていうなら仕方ないと思う」
玄鳥はサラダのレタスの青々とした繊維をフォークでザクっと貫く。
「……だけど、いい加減な気持ちの人間が日向子さんに近付くのは耐えられない」
「……いい加減な気持ち……」
焼きたてのパンケーキにたっぷりメイプルシロップを回しかけながら、万楼はぽつりと呟く。
「……いい加減な気持ち、なのかな……ボク」
「万楼……?」
玄鳥は恋敵の異変を敏感に感じとっていた。
「……今日、お前、ほとんど日向子さんと話してなかったよな。近くに行ったのは眠ってる時だけで……さ。
しばらくメールも控えてるだろ?」
「チェック細かいな……玄鳥って恋愛になると粘着質なんだね」
「……っ、なんだよ。心配してるんだぞ、一応」
有砂や紅朱を牽制したり、万楼の行動をチェックしたり……自分でもあんまりかっこいいことではないとわかっている玄鳥は、わかっているが故に本気でむっとしてしまう。
「ごめん」
万楼は苦笑いする。
「わかんなくなってきたんだ」
とても、辛そうな笑みだ。
「ボクは本当にお姉さんが好きなのかな」
「……なんだよ、急に」
二人はディナーを未だ一口も口に運ばないままに、互いを見つめる。
「お姉さんはボクを粋さんの代わりなんかじゃないって……言ってくれた」
「……うん」
「だけど……ボクにとってお姉さんはもしかしたら、代わりなのかもしれない」
サラサラとした淡いピンクの髪に指をくしゃりと突っ込んで、万楼はきつく目を閉じる。
「だって思い出しちゃったから……ボクは、《万楼》が……粋さんのことが好きだったって」
「申し訳ありません、お約束もなく突然お邪魔致しまして」
「ええよ、ええよ♪ キミが遊びに来てくれるん、ホンマ楽しみやってんから」
有砂と造形のよく似た顔がハイテンションで気さくに話す様子に、未だに戸惑いを覚えながらも、日向子はキョロキョロと室内を見渡した。
秀人のアトリエ。
《SIXS》のゴシックなイメージからもっと薄暗い洋館みたいなところかと思っていたが、ごく普通のモダンなデザイナーズハウスという雰囲気だった。
秀人のアシスタントらしき人と数人遭遇したが、全員が若い女性だった。
アシスタントの一人に案内された部屋は、三階建ての建物の最上階。
その最奥の秀人のプライベートルーム。
アシスタントにも入ることが許可されていない部屋だという。
思いの外、無駄なもののないシンプルな部屋だ。
「座って」
促されたのはベッドだった。
有砂ほどではないが長身の秀人だけあり、ベッドは恐らくクイーンサイズだろう。
日向子がちょこんと遠慮がちに腰を下ろすと、秀人は遠慮のかけらもなくすぐ横に座る。
「……で、急ぎの用って何?」
「あ、はい……その」
日向子は菊人が行方不明であること、連れ去ったのは有佳の可能性が高いということを一生懸命説明した。
秀人は、うんうん、と相槌を打ちながら話を聞いていた。
これなら大丈夫かもしれない、日向子はそう思いながら尋ねた。
「有佳様がどちらにいらっしゃるかご存じでいらっしゃいますか?」
秀人は問掛けにあっさり答えた。
「うん。わかるで」
「本当ですか!?」
「けど」
年齢にそぐわない悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「教えて、あげないよ」
《つづく》
2007/08/27 (Mon)
雑記
ライブの帰りに書店に寄ったんだけれど、そこで話に聞いていた漫画、「黒執事」でドーンと1コーナー設けられてた。
なゆきさんの情報通り、裏表紙や帯を見てもイマイチ内容が掴めない……だが不思議と胸がときめく。笑。
表紙とかポスターなんかを見た感じだと、絵柄は非常に綺麗だし、センスを感じます。
帯によると最近CDドラマになったみたいだけど、主要キャストが森川智之さん、沢城みゆきさん。出たー。
こいつはスルー出来ねェぜ、と1・2巻を買ってしまった。
本当に財布の紐が固かったのは一瞬だけだったね。パンフよりかはずっと安いけどさ。笑。
昨今乙女業界は「バトラーズ」という執事ゲーム(アダルト)が出たり、執事ブームなわけですが、私は別に取り立てて執事萌ではなく。取り立てて腹黒萌でもなく。
だがセバスチャンは超萌。
セバスチャン半端ねェ。
悔しいが麻咲はお前に萌え倒された(ka-yu風)。
脳内で違和感なく森川ボイスに変換される名(迷)台詞の数々……痺れるぜこんちくしょう。
裏表紙や帯で内容が掴めなかったのは、厳重にネタバレを避けていたからだったのね。
××で執事……うん、古典的でもあり、前衛的でもあるねぇ。
原作が長期化したら、間違いなくアニメ化すると思う。
まだまだ若手の漫画家さんだし(麻咲より年下らしい)、構成とか展開とかの細かいとこで「んー?」と思うところもあるけど、なんといっても台詞やキャラの設定がいい味を出していて、なかなか光るものがあると思うね(何様だ)。
ただ同人上がりっぽい腐女子漫画家さん(枢先生は実際同人出身で別名義BLも書いてるらしい)って、自分の作品に飽きて投げる人がたまにいるじゃん?
プロでしかも売れっ子の漫画家でも平気でやらかすから、腹立つよね。
やる気はあっても人気が出なくて打ち切られる漫画が数多存在するせちがらい漫画業界で、読者に支持されてんのに書かないってのは頂けない。
枢先生は非常に有望な漫画家さんだと思うので、私の偏見を拭い去る活躍をして、綺麗に物語を着地させて頂きたい。
なゆきさんの情報通り、裏表紙や帯を見てもイマイチ内容が掴めない……だが不思議と胸がときめく。笑。
表紙とかポスターなんかを見た感じだと、絵柄は非常に綺麗だし、センスを感じます。
帯によると最近CDドラマになったみたいだけど、主要キャストが森川智之さん、沢城みゆきさん。出たー。
こいつはスルー出来ねェぜ、と1・2巻を買ってしまった。
本当に財布の紐が固かったのは一瞬だけだったね。パンフよりかはずっと安いけどさ。笑。
昨今乙女業界は「バトラーズ」という執事ゲーム(アダルト)が出たり、執事ブームなわけですが、私は別に取り立てて執事萌ではなく。取り立てて腹黒萌でもなく。
だがセバスチャンは超萌。
セバスチャン半端ねェ。
悔しいが麻咲はお前に萌え倒された(ka-yu風)。
脳内で違和感なく森川ボイスに変換される名(迷)台詞の数々……痺れるぜこんちくしょう。
裏表紙や帯で内容が掴めなかったのは、厳重にネタバレを避けていたからだったのね。
××で執事……うん、古典的でもあり、前衛的でもあるねぇ。
原作が長期化したら、間違いなくアニメ化すると思う。
まだまだ若手の漫画家さんだし(麻咲より年下らしい)、構成とか展開とかの細かいとこで「んー?」と思うところもあるけど、なんといっても台詞やキャラの設定がいい味を出していて、なかなか光るものがあると思うね(何様だ)。
ただ同人上がりっぽい腐女子漫画家さん(枢先生は実際同人出身で別名義BLも書いてるらしい)って、自分の作品に飽きて投げる人がたまにいるじゃん?
プロでしかも売れっ子の漫画家でも平気でやらかすから、腹立つよね。
やる気はあっても人気が出なくて打ち切られる漫画が数多存在するせちがらい漫画業界で、読者に支持されてんのに書かないってのは頂けない。
枢先生は非常に有望な漫画家さんだと思うので、私の偏見を拭い去る活躍をして、綺麗に物語を着地させて頂きたい。
2007/08/27 (Mon)
Angelo周辺
4日間の集中エクササイズで身も心もブレインもクレイジーになれる。笑。
切人隊長のもとへまた行ってきやした。
前日は開演10分前に着いたからグッズ買えなかったけど、2日目は5分前に到着したからやっぱり買えなかったね。爆。
いや、実は出掛ける前に家賃の振り込みして一気に金が流出しちゃったから、なんとなく一時的に財布の紐が固くなってて、パンフも買わずに終わったんだけどさ。
我慢我慢、Angeloのため……。
2日目は1階12列上手寄りセンター。
なかなかいい席だったんだけど、今日はKOHTAさんが見に来てたそうなんで、昨日と逆だったらなあ……と不純なことを考えてしまったよ。汗。
ま、ライブに集中できないだろうからこれでよかったのかもしれない。
今回はとりあえず開演早々、初日もつけてたのかどうかしらないけど、お兄ちゃんの首輪(鎖つき)に萌えた。
そして初日もだったけど、シンセ藤井さんのノースリ+アームウォーマーもごちそうさまでした。笑。
そのいでたちであのなんともしどけない立ち姿……。エロいっス。エロい人が下手後方にっ。
最初のブロックと最後のブロック、それにアンコールの曲順が変わった(定番曲が前半にきたから、前日より乗りやすくなったと思う)のと、「TEAR」のかわりに「DOOR」が加わった。
一応最新アルバムの曲なのに省かれた「TEAR」……やってほしかった。
「THE SUN」は前のツアーファイナルでお披露目の07ver。
本編ラストの「INTER CUTTER」はちょっとしたトラブルがあったため、アンコールの大ラスにももう一回やった。
今回のアンコールは背中に明朝体縦書きで「殴打」と書いた切人一家ラグランシャツで集合だったので、「INTER CUTTER」にはぴったりだったな。笑。
藤井さんはラグランシャツを着ないで、覆面のように顔に巻いてた。
ちょうど「殴」が顔の位置にあって笑った。
そんな状態だし、いつものごとく喋らないから勝手にお兄ちゃんが「みんなありがとう、って言ってます」「とても嬉しいと言っています」「そのくらいにしとかないとと殺す、と言ってます……殺される!」とか勝手に翻訳してた。
しかし今回一番おいしかったのはやはりドラムLEVINさんだろう。
可愛すぎる。
一大事です。
メンバー紹介でマイク受け取った時、椅子に立ってバスドラに右足乗っけて喋ってる姿がまず可愛いでしょ。
その横に立って見守るお兄ちゃんが可愛いでしょ。
そうして横に立ってるお兄ちゃんの顔をガン見しながら喋ってるとこが可愛いでしょ(一切お客に向かって喋っていないという……笑)。
それをしっかり見つめ返して頷きながら聞いてるお兄ちゃんも可愛いでしょ。
喋ってる最中にお兄ちゃんにセクハラを受け(膝を触られた)、「やめて下さいよぅ」って訴えてるさまが可愛いでしょ。
セクハラしといて、エヘへ、みたいな感じで頭をかく振りするお兄ちゃんも可愛いでしょ。
あげくに「もう可愛いキャラで売っていきなよ。そういうキャラづけがあったほうがいいんだって!」とかお兄ちゃんによくわからない説得されてるしな。笑。
お兄ちゃんは次もソロはこのメンバーでやりたい、って言ってたから、本当に彼が可愛くてしょうがないと見えるよ。
ほっこりしますねェ。
今回先述のアクシデントがあったりとか、毎回マイクスタンドを撤収しに来るのが遅いスタッフにわざと舌打ちしたりしてて。
ちょっとやり辛いのかも? というシーンがあったりしたから、
「あんまり心配しないでね」
と。
「昔バンドでDVDを出したら、裏でキレて暴れたりしてるイメージを持たれてるみたいで……でもキレてないですよ。
俺キレさせたら大したもんです」
小力キター。笑。
世間が忘れた頃に小力。
流石お兄ちゃんだぜ。
しかしそんなこと言われても、背中に「殴打」って書いてあるから説得力ゼロざました。
まあそんなキリトソロだったけど、本人も言ってたように「Angelo」とは全くべつもんだよね。
今回のアルバムタイトルは「Negative」だけど、私的にはまさにAngeloが陽で、キリトソロが陰って感じ……。
私ゃコーターだけど、キリトソロはキリトソロでの楽しみもあるし、これからもじゃんじゃんやっちゃってほしいところです。
以下セトリ。
1 逆光
2 DECIDE
3 毒薬
4 Awaking bud
5 Suicide view
6 PLOT
MC
7 Ray
8 陽炎
9 PERIOD
10 拍動
MC
11 COLD
12 砂丘
13 Cherry trees
14 誰もいない丘
MC
15 TORQUE
16 PAST
17 カンナビス
18 INTER CUTTER
En1 DOOR
MC
En2 THE SUN(07ver)
En3 INTER CUTTER
切人隊長のもとへまた行ってきやした。
前日は開演10分前に着いたからグッズ買えなかったけど、2日目は5分前に到着したからやっぱり買えなかったね。爆。
いや、実は出掛ける前に家賃の振り込みして一気に金が流出しちゃったから、なんとなく一時的に財布の紐が固くなってて、パンフも買わずに終わったんだけどさ。
我慢我慢、Angeloのため……。
2日目は1階12列上手寄りセンター。
なかなかいい席だったんだけど、今日はKOHTAさんが見に来てたそうなんで、昨日と逆だったらなあ……と不純なことを考えてしまったよ。汗。
ま、ライブに集中できないだろうからこれでよかったのかもしれない。
今回はとりあえず開演早々、初日もつけてたのかどうかしらないけど、お兄ちゃんの首輪(鎖つき)に萌えた。
そして初日もだったけど、シンセ藤井さんのノースリ+アームウォーマーもごちそうさまでした。笑。
そのいでたちであのなんともしどけない立ち姿……。エロいっス。エロい人が下手後方にっ。
最初のブロックと最後のブロック、それにアンコールの曲順が変わった(定番曲が前半にきたから、前日より乗りやすくなったと思う)のと、「TEAR」のかわりに「DOOR」が加わった。
一応最新アルバムの曲なのに省かれた「TEAR」……やってほしかった。
「THE SUN」は前のツアーファイナルでお披露目の07ver。
本編ラストの「INTER CUTTER」はちょっとしたトラブルがあったため、アンコールの大ラスにももう一回やった。
今回のアンコールは背中に明朝体縦書きで「殴打」と書いた切人一家ラグランシャツで集合だったので、「INTER CUTTER」にはぴったりだったな。笑。
藤井さんはラグランシャツを着ないで、覆面のように顔に巻いてた。
ちょうど「殴」が顔の位置にあって笑った。
そんな状態だし、いつものごとく喋らないから勝手にお兄ちゃんが「みんなありがとう、って言ってます」「とても嬉しいと言っています」「そのくらいにしとかないとと殺す、と言ってます……殺される!」とか勝手に翻訳してた。
しかし今回一番おいしかったのはやはりドラムLEVINさんだろう。
可愛すぎる。
一大事です。
メンバー紹介でマイク受け取った時、椅子に立ってバスドラに右足乗っけて喋ってる姿がまず可愛いでしょ。
その横に立って見守るお兄ちゃんが可愛いでしょ。
そうして横に立ってるお兄ちゃんの顔をガン見しながら喋ってるとこが可愛いでしょ(一切お客に向かって喋っていないという……笑)。
それをしっかり見つめ返して頷きながら聞いてるお兄ちゃんも可愛いでしょ。
喋ってる最中にお兄ちゃんにセクハラを受け(膝を触られた)、「やめて下さいよぅ」って訴えてるさまが可愛いでしょ。
セクハラしといて、エヘへ、みたいな感じで頭をかく振りするお兄ちゃんも可愛いでしょ。
あげくに「もう可愛いキャラで売っていきなよ。そういうキャラづけがあったほうがいいんだって!」とかお兄ちゃんによくわからない説得されてるしな。笑。
お兄ちゃんは次もソロはこのメンバーでやりたい、って言ってたから、本当に彼が可愛くてしょうがないと見えるよ。
ほっこりしますねェ。
今回先述のアクシデントがあったりとか、毎回マイクスタンドを撤収しに来るのが遅いスタッフにわざと舌打ちしたりしてて。
ちょっとやり辛いのかも? というシーンがあったりしたから、
「あんまり心配しないでね」
と。
「昔バンドでDVDを出したら、裏でキレて暴れたりしてるイメージを持たれてるみたいで……でもキレてないですよ。
俺キレさせたら大したもんです」
小力キター。笑。
世間が忘れた頃に小力。
流石お兄ちゃんだぜ。
しかしそんなこと言われても、背中に「殴打」って書いてあるから説得力ゼロざました。
まあそんなキリトソロだったけど、本人も言ってたように「Angelo」とは全くべつもんだよね。
今回のアルバムタイトルは「Negative」だけど、私的にはまさにAngeloが陽で、キリトソロが陰って感じ……。
私ゃコーターだけど、キリトソロはキリトソロでの楽しみもあるし、これからもじゃんじゃんやっちゃってほしいところです。
以下セトリ。
1 逆光
2 DECIDE
3 毒薬
4 Awaking bud
5 Suicide view
6 PLOT
MC
7 Ray
8 陽炎
9 PERIOD
10 拍動
MC
11 COLD
12 砂丘
13 Cherry trees
14 誰もいない丘
MC
15 TORQUE
16 PAST
17 カンナビス
18 INTER CUTTER
En1 DOOR
MC
En2 THE SUN(07ver)
En3 INTER CUTTER
2007/08/26 (Sun)
Angelo周辺
渋谷C.C.Lemon holeで4日にわたって(2days、中休み、2daysだけど)開催されるお祭ライブの初日。
半年ぶりのキリトソロ。
なんかもっと間が空いてたような気がしていたけど、そういや半年だったか~。
シングル二枚、アルバム一枚出たんだもんなあ。
今回はホールだからギリギリでいいやと思って、「太陽の国」を更新してから出掛けたら、着いたのは開演10分前くらい。
にも関わらず、客が全体の二割くらいしか入ってなくて、周辺にごった返してて笑った。
流石歴戦の勇者たちだ、堂々としたもんです。笑。
まあグッズだけ買いに来た人もたくさんいたからかもしれないが。
切人一家グッズほしかったんだけど、残念ながら「放送事故上等」タオルが売り切れてしまってた。
「恫喝」Tシャツも捨てがたいけど……。
どっちも使えねェ。爆。
だけど欲しいなあ。
明日早く出掛けて並んでみようかと思ってしまった。
パンフもお兄ちゃんがまたしても女子みたいでたまんないし……買っちゃいそうだわ。Angeloのために金残さないといけないのに……。ロトはやめよう。泣。
今回は席が2階の12列で、両脇のウイングの先頭から列を勘定している都合、通常の2階席は11列から始まる。
つまり2列目で、すぐ左横はもう関係者席っていう位置。そこそこの良席だった。
「THE SUN」の銀色のテープに手が届く位置だったからね。
とにかく客が入りきるのに時間かかって、本編は10分押しくらいで始まった。
やっぱり新アルバムを軸にした構成で、一曲目は「逆光」から。
ステージが暗転してる間、どう見てもお兄ちゃんがスカートをはいてるようにしか見えなくて、照明当たってみたら、ボンテージパンツにエプロンみたいのがくっついたのをはいてたんですね。正式名称知らないけど。
まあ、結局スカートと似たようなもんだよね。それで腰振ったり、変なステップ踏んだりして、超可愛いったらないぜ。笑。
ギター持ったお兄ちゃんも久々だけど、やっぱり持ってないほうが生き生きして見えるのはどうしようもないね。
「COLD」「TORQUE」がシングルバージョンになってた。
原曲とどっちがいいかは好き好きだと思うけど、新曲が軒並ノリ辛い曲ばかりなので(汗)、ノリのいいアレンジが選ばれるのは無理のない話。
そういや、MCで区切って本編はだいたい4つのブロックだったんだけど、最後のブロックでさんざん煽って、
「ネクスト! PAST!!」
でイントロ流れ出した瞬間、一瞬周囲が「ん?」ってリアクションした。
私は最近「PAST」聞いてなかったから、「こんな曲だったかな~」と数秒考えてしまったけど、唄い出したらわかった。
「TORQUE」じゃん!!
こないだのライブでも「ネクスト・PAST!」って聞こえたけど「PLOT」だったことがあったんだよね。
そん時は微妙に似た題名だから聞き間違えたかと思ったんだけど、今回は普通に間違えたと思う。
「TORQUE」の次が「PAST」だったしね。
お兄ちゃんは「PAST」がよっぽど好きらしい。
MCも相変わらず素敵にぐだぐだだったけど、今回一番インパクトあったのは「(MCがぐだぐだで会場が変に静かになったので)こんな時、普通のビジュアル系のバンドなら、掛け合いをしたり、振りをしたり、咲いたりしてあっためるだろうけど、俺はもう若くないからやらない。
でもここに集まってるのは、俺が長年教育してきたキチ●イばかりだから、どんなに寒くても一瞬にして熱くなることが出来る筈だ」
なんとなくソロではあんまり「キチ●イ」発言しないイメージがあったから、おっ、って本当にテンション上がったよ。
あとはLEVINさんに意味なく同意求めたり、サポメンで唯一マイク渡して喋らせたりして、フィーチャーしてた。
唄ってる時も後ろから頭撫でたりしてて、ほっこりした。
そしてキリトソロ恒例「何故か執拗にグッズを宣伝」もあり。「何回言うねん!」ってくらい。笑。
今回は特に切人一家グッズを推してて、アンコールはみんなグッズ身に付けてステージに上がったんだけど、
「みなさんも俺の家族になりませんか……?
俺は寂しがり屋なので家族は一人でも多いほうが嬉しいです」
え……い、いいんですか、義妹になっても……?(帰れ)
しかしアンコールで「THE SUN」やら「TEAR」やら爽やかな曲をやってるのに、くるっと背中を向けると明朝体縦書きで「恫喝」って書いてあるのがシュール過ぎて……いやはや。
まあそんな感じの一日目。二日目はどうなることやら……。
以下セトリ。ネタバレかもしれないからお気を付けて。
1 逆光
2 DECIDE
3 毒薬
4 Suicide view
5 GARDEN
6 INTER CUTTER
MC
7 Ray
8 陽炎
9 PERIOD
10 拍動
MC
11 COLD
12 砂丘
13 Cherry trees
14 誰もいない丘
MC
15 TORQUE
16 PAST
17 カンナビス
18 PLOT
En1 Awaking bud
MC
En2 THE SUN
En3 TEAR
半年ぶりのキリトソロ。
なんかもっと間が空いてたような気がしていたけど、そういや半年だったか~。
シングル二枚、アルバム一枚出たんだもんなあ。
今回はホールだからギリギリでいいやと思って、「太陽の国」を更新してから出掛けたら、着いたのは開演10分前くらい。
にも関わらず、客が全体の二割くらいしか入ってなくて、周辺にごった返してて笑った。
流石歴戦の勇者たちだ、堂々としたもんです。笑。
まあグッズだけ買いに来た人もたくさんいたからかもしれないが。
切人一家グッズほしかったんだけど、残念ながら「放送事故上等」タオルが売り切れてしまってた。
「恫喝」Tシャツも捨てがたいけど……。
どっちも使えねェ。爆。
だけど欲しいなあ。
明日早く出掛けて並んでみようかと思ってしまった。
パンフもお兄ちゃんがまたしても女子みたいでたまんないし……買っちゃいそうだわ。Angeloのために金残さないといけないのに……。ロトはやめよう。泣。
今回は席が2階の12列で、両脇のウイングの先頭から列を勘定している都合、通常の2階席は11列から始まる。
つまり2列目で、すぐ左横はもう関係者席っていう位置。そこそこの良席だった。
「THE SUN」の銀色のテープに手が届く位置だったからね。
とにかく客が入りきるのに時間かかって、本編は10分押しくらいで始まった。
やっぱり新アルバムを軸にした構成で、一曲目は「逆光」から。
ステージが暗転してる間、どう見てもお兄ちゃんがスカートをはいてるようにしか見えなくて、照明当たってみたら、ボンテージパンツにエプロンみたいのがくっついたのをはいてたんですね。正式名称知らないけど。
まあ、結局スカートと似たようなもんだよね。それで腰振ったり、変なステップ踏んだりして、超可愛いったらないぜ。笑。
ギター持ったお兄ちゃんも久々だけど、やっぱり持ってないほうが生き生きして見えるのはどうしようもないね。
「COLD」「TORQUE」がシングルバージョンになってた。
原曲とどっちがいいかは好き好きだと思うけど、新曲が軒並ノリ辛い曲ばかりなので(汗)、ノリのいいアレンジが選ばれるのは無理のない話。
そういや、MCで区切って本編はだいたい4つのブロックだったんだけど、最後のブロックでさんざん煽って、
「ネクスト! PAST!!」
でイントロ流れ出した瞬間、一瞬周囲が「ん?」ってリアクションした。
私は最近「PAST」聞いてなかったから、「こんな曲だったかな~」と数秒考えてしまったけど、唄い出したらわかった。
「TORQUE」じゃん!!
こないだのライブでも「ネクスト・PAST!」って聞こえたけど「PLOT」だったことがあったんだよね。
そん時は微妙に似た題名だから聞き間違えたかと思ったんだけど、今回は普通に間違えたと思う。
「TORQUE」の次が「PAST」だったしね。
お兄ちゃんは「PAST」がよっぽど好きらしい。
MCも相変わらず素敵にぐだぐだだったけど、今回一番インパクトあったのは「(MCがぐだぐだで会場が変に静かになったので)こんな時、普通のビジュアル系のバンドなら、掛け合いをしたり、振りをしたり、咲いたりしてあっためるだろうけど、俺はもう若くないからやらない。
でもここに集まってるのは、俺が長年教育してきたキチ●イばかりだから、どんなに寒くても一瞬にして熱くなることが出来る筈だ」
なんとなくソロではあんまり「キチ●イ」発言しないイメージがあったから、おっ、って本当にテンション上がったよ。
あとはLEVINさんに意味なく同意求めたり、サポメンで唯一マイク渡して喋らせたりして、フィーチャーしてた。
唄ってる時も後ろから頭撫でたりしてて、ほっこりした。
そしてキリトソロ恒例「何故か執拗にグッズを宣伝」もあり。「何回言うねん!」ってくらい。笑。
今回は特に切人一家グッズを推してて、アンコールはみんなグッズ身に付けてステージに上がったんだけど、
「みなさんも俺の家族になりませんか……?
俺は寂しがり屋なので家族は一人でも多いほうが嬉しいです」
え……い、いいんですか、義妹になっても……?(帰れ)
しかしアンコールで「THE SUN」やら「TEAR」やら爽やかな曲をやってるのに、くるっと背中を向けると明朝体縦書きで「恫喝」って書いてあるのがシュール過ぎて……いやはや。
まあそんな感じの一日目。二日目はどうなることやら……。
以下セトリ。ネタバレかもしれないからお気を付けて。
1 逆光
2 DECIDE
3 毒薬
4 Suicide view
5 GARDEN
6 INTER CUTTER
MC
7 Ray
8 陽炎
9 PERIOD
10 拍動
MC
11 COLD
12 砂丘
13 Cherry trees
14 誰もいない丘
MC
15 TORQUE
16 PAST
17 カンナビス
18 PLOT
En1 Awaking bud
MC
En2 THE SUN
En3 TEAR
2007/08/25 (Sat)
一次創作関連
その日の練習は、蝉を除く四人で行われていた。
蝉が「また」出て行ったと聞いて、有砂以外の三人は呆れていた。
日向子はまたスノウ・ドームへ様子を見に行ってみようかと言ったが、有砂は却下した。
恐らくバンド内で最も蝉という人を理解しているであろう有砂がそう判断したのならば、仕方ない。
しかしこうして四人での練習風景を眺めていると、たまらなく寂しい。
寂しさをまぎらわすように、四人の音の隙間に、日向子は記憶の中の蝉の音色を呼び起こし、埋めていく。
純粋に蝉の奏でるキーボードの幻だけを追っていると、何かとても、穏やかな気分になる。
懐かしいとすら感じるのだ。
「月影逢瀬」を弾いてくれた、あの時を思い出すのだろうか?
それとも……。
《第8章 迷宮の果てで、もう一度 -release-》【2】
「……すごいね。熟睡だね」
練習中も時折うとうとしている様子だった日向子は、紅朱が休憩を宣言した途端、ほっとしたか本格的に眠りに落ちてしまった。
椅子の背もたれに小さい身体を預けて、少し上体を左側に折り曲げるようにして眠る姿は、どう考えても楽な姿勢には見えなかった。
それで熟睡出来るのが不思議なほどだ。
「お姉さんは寝顔も可愛いね。睫毛長いなあ……」
「おい万楼っ、そんなに近くで……!」
「玄鳥、しーっ。お姉さんが起きちゃうよ」
「……っ、女性の寝顔を覗くなんて失礼じゃないか……」
どうやら日向子の寝顔を直視出来ないようで、玄鳥は赤い顔で目を泳がせながら抗議する。
万楼は可愛い顔でニヤニヤ意地悪く笑う。
「見ないともったいないよ。ねえ、リーダー?」
「知るか、俺に振るなよ」
紅朱は迷惑そうに眉をしかめながらも、器用な姿勢で眠る令嬢を見やった。
まるで無防備な寝顔をかばうように、サラサラとした絹糸のような髪が流れて、白い頬を少し隠している。
うっすらと開いたチェリーのような唇からは規則正しく淡い寝息がもれているらしく、胸元が微かに上下している。
無理な姿勢のためによれたブラウスの合わせ目からその奥の素肌が見えそうで……見えない。
「っ」
それじゃまるで見たがってるみたいだろ、そんなわけあるか、と紅朱は心の中で自分に突っ込みを入れ、日向子から目をそらした。
「ったく……暑いんだよ、この部屋は……」
ぶつぶつ言いながら出て行く紅朱を目で追った後、年少組は顔を見合わせた。
「この部屋暑い?」
「いや……肌寒いくらいじゃないか?」
練習中は暑いので、スタジオの暖房を低めに設定されている。
汗が冷えると少し寒く感じるほどに。
「ねえ玄鳥、このままだとお姉さん風邪引いちゃうんじゃない?」
「あ、そうだよな……上着とか掛けてあげたほうがいいか」
玄鳥と万楼は同時に動き、備え付けのハンガーにかけてあったそれぞれの上着をそれぞれに取り、それぞれに日向子に掛けようとして、止まった。
「ボクのコートのほうがファーがふわふわであったかいよ」
「……俺のコートのほうが丈が長くて身体がはみださなくていいと思うけど」
「玄鳥、大人げないよ」
「お前こそ大人になれよ」
呑気に眠りこける日向子を挟んで、チリチリと静かな火花を散らす男二人……のすぐ目の前で、カーキ色の布が翻った。
「え」
二人は同時に声を上げて目を丸くする。
いつの間にか(恐らくは不毛な睨み合いをしている間であろうが)日向子のすぐ傍らに立っていた有砂が、常通りのだるそうな顔をしながら、妙にテキパキとカーキ色のコートで日向子を包んで、挙げ句にあんぐりと口を開けたまま固まる二人を尻目に、ひょいっと日向子の小さい身体を抱き上げてしまった。
「有砂さん!?」
「有砂??」
「……前ん時より軽なってる……」
日向子はこれでも全く目を覚ます気配もなく、自分がみの虫のように包まれて、お姫様だっこされているとは夢にも思わないだろう。
有砂はこともなげに、
「ここにおくと練習の邪魔になりそうやから、今のうちに撤収する」
淡々と言い放った。
「撤収……?」
ハモる年少組に、
「……気ぃ利かせてドアくらい開けろや。塞がっとるやろう、両手が」
と目を半眼する。
するとタイミングよくドアが開き、ロビーの自販機で買ったのだろう500ミリリットルのコーラを片手に紅朱が戻ってきた。
「……は?」
いきなり奇妙な光景を目にした紅朱の動きが止まっている間に、有砂は日向子を抱えたまま、その横をすり抜けてスタジオを出て行ってしまった。
「……なんだ? あいつどうしたんだ?」
紅朱は残された二人に説明を求める。
二人は手にしたコートが引きちぎれるのではないかというほどギュッと力を込めてドアの向こうを睨んだ。
「許せない……」
「有砂……っ!」
その剣幕に二度驚きながら、紅朱はすれ違いざまに一瞬だけ至近距離で見た日向子の寝顔を何故か思い出していた。
「……美人、だったんだな……日向子って……」
一方非難と困惑の眼差しを振り切った有砂は、そのまま駐車場へ向かった。
実は寝たふりなのではないかというくらい全く目覚める気配のない日向子を落とさないように支えながら、苦労して愛車の後部座席に下ろす。
「なんや……誘拐犯の気分やな」
日向子は少し寒さを覚えたのか、わずかにみじろいで、自分を包む布を更に強く巻き付ける。
顔の下半分までが隠されてしまった。
「……アホ、窒息するやろ」
有砂は嘆息して、日向子の口元の部分の布を少し引っ張ってやる。
再び姿を見せた、控え目な色のグロスで艶めく唇が、微かに動き、声にならない言葉を紡いだ。
ゆ・き・の
そう読み取れた。
有砂はおもむろに、軽く曲げた右手中指の関節部分で、こつん、と日向子の額を軽くどついた。
「……また、オレで悪かったな……」
「……雪乃!」
駆け寄って、後ろ姿に呼び掛けた瞬間、びくっとその背中が震えたような気がした。
「……お嬢様……何故、ここに」
振り返った少年は、確かに雪乃であったが、雰囲気が全くいつもと違って見えた。
眼鏡をかけていないからかもしれない。
いつも妙に大人びた雰囲気の雪乃が、今はなんだか年相応の普通の高校生に見える。
濃紺のブレザーを着た雪乃の姿は朝・夕と目にしているから珍しくなどない筈なのに、新鮮に思えた。
もっとも雪乃は大急ぎで通学鞄から眼鏡ケースを取り出して、すぐにいつもの通りに戻ってしまったのだが。
「わざわざこのような場所にいらっしゃるとは……どうなさったのですか?」
「うふふ、理由の一つは雪乃の通う学校が近くで見たかったから、ですわ」
日向子の通う女学院の中等部校舎からも、この高校の校舎はよく見える。
学院の女生徒たちは、みんな厳しく育てられた令嬢ばかりで、男性に対する免疫がないため、1キロメートルも離れていないこの場所を、憧れと怖さの入り混じった眼差しで眺めているのだ。
もっともそれはお互い様で、丘の上にそびえる禁域……名門女学院の制服を着た少女が校門の前にたたずんでいるなどここの男子生徒たちにとってもあまりにレアな出来事だったのだが。
日向子は自分が注目されていることに気付いていない様子で、ほんわかした笑顔を浮かべながら、ピンク色の可愛らしい紙袋を雪乃に差し出す。
「理由のもうひとつはこれですわ。家庭科実習でラズベリーのケーキを作りましたの。自分でもなかなかよく出来ていると……だから雪乃にも食べて頂きたくて」
「……私の帰宅が、待ちきれなかったので校門で待ち伏せなさっていたというわけですか」
「ええ。雪乃はいつも部活動で遅くなりますでしょう? 同じ『待つ』ならお屋敷よりこちらで、と」
「……お嬢様のお気持ちはよくわかりました。が、とにかくここから移動しましょう」
雪乃は気持ち早口で告げて、日向子の先に立って歩き出そうとした。
「校門の前でナンパ……それもセシル女学院の生徒とは……なかなかおさかんなことやな、釘宮」
日向子の知る限り、いつでもどこでも冷静沈着な雪乃の顔が、こんなにもはっきりと驚愕に彩られたことがかつてあっただろうか。
「……さっきから何を妙な話し方しとんねん、不気味すぎるで」
「……これはっ、その……」
「……雪乃? お友達ですの……?」
「……か、彼は、同じ部の……」
「まあ、そうでしたの」
日向子は、雪乃と同じ制服を少し着崩した、鞄を肩口に引っ掛けるようにして斜に構えて立つ背の高いの少年を見上げて微笑する。
「オーケストラ部のお友達ですのね?」
少年は、際立った美形ではないが、端正に整った顔を歪ませる。
「……オーケストラ部……?」
「よろしければ、ラズベリーケーキをおひとついかがですか?」
「お嬢様、彼は甘い物は召し上がりません。試食は私が責任を持って致しますので、早く参りましょう」
「……えっ、あ」
「失礼を」
日向子の手からケーキと鞄を半分奪うように受け取って、歩き始める。
日向子も仕方なく、
「雪乃とこれからも仲良くなさってね……ごきげんよう」
と、何かまるで幽霊でも目撃したような顔をして雪乃を凝視する少年に、お辞儀をしてそれに続いた。
「……もう、雪乃ったら……どうなさったの? わたくし、雪乃のお友達ともっとお話したかったですのに」
「先生がお帰りになる前に早くお屋敷に戻りませんと、小原さんがお気の毒です。お迎えに上がっていながら、お嬢様に逃げられたなどと知れたらひどいお叱りを受けるでしょうから」
「……そう、ですわね……わたくし、軽率でしたわ」
日向子は素直に頷き、雪乃はこっそりと胸を撫で下ろしていた。
「……そういえば、雪乃と帰るのは初めてですわね?」
「……はい」
「これからは毎日二人で帰りませんこと?」
「いけません。お嬢様を毎日歩いて帰らせるわけには参りません」
ぴしゃりと遮断されてがっかりしながらも、日向子は少し考えて、言った。
「では、いつか雪乃が車に乗れるようになったら、わたくしを毎日迎えに来て頂けて……?」
「まあ……どういたしましょう」
目を覚ました日向子は、まずそこが自分の部屋のベッドだったことに驚き、次に見覚えのあるコートにぐるぐるくるまっていたことに驚き、ベッドサイドに置かれたメモ書きに更に驚いた。
「……『カギは勝手に使わせてもらった。スペアのほうは預かってるから今度コートと交換する……涎ついとったら殺す』」
やはりこのコートの主も、日向子を部屋まで送り届けたのも……有砂のようだ。
日向子は状況を頭の中で整理しつつ、大切な預かりものをハンガーにかけて、ベッド脇に吊す。
カーキ色のコートからはほんの少し、有砂が使っている香水の香りがする。
だからだろうか?
雪乃の夢なのに、有砂によく似た少年が出てきたのは。
雪乃の友達を見たのはあの時が最初で最後……顔も声も覚えていないのに。
「あら」
硬い感触を見つけ、「もしや」とポケットの中を探った。
予想通り……それは有砂の携帯電話だ。
しかも日向子が手に取るのを待ち構えていたように振動し始める。
「着信ですわ……どういたしましょう?」
ディスプレイは非通知。
日向子は悩んだが、携帯がないのに気付いた有砂本人からの着信の可能性を考えて出ることにした。
通話ボタンを押した途端、日向子が何か言うより早く、上擦った声が響いた。
《佳人くん!?》
日向子も知っている、女性の声。
こんなにも取り乱した声は初めてだったが。
《佳人くん……っ、菊人がっ》
続く言葉に、日向子は目眩を覚えた。
《誘拐、されたかもしれないの……!!》
《つづく》
蝉が「また」出て行ったと聞いて、有砂以外の三人は呆れていた。
日向子はまたスノウ・ドームへ様子を見に行ってみようかと言ったが、有砂は却下した。
恐らくバンド内で最も蝉という人を理解しているであろう有砂がそう判断したのならば、仕方ない。
しかしこうして四人での練習風景を眺めていると、たまらなく寂しい。
寂しさをまぎらわすように、四人の音の隙間に、日向子は記憶の中の蝉の音色を呼び起こし、埋めていく。
純粋に蝉の奏でるキーボードの幻だけを追っていると、何かとても、穏やかな気分になる。
懐かしいとすら感じるのだ。
「月影逢瀬」を弾いてくれた、あの時を思い出すのだろうか?
それとも……。
《第8章 迷宮の果てで、もう一度 -release-》【2】
「……すごいね。熟睡だね」
練習中も時折うとうとしている様子だった日向子は、紅朱が休憩を宣言した途端、ほっとしたか本格的に眠りに落ちてしまった。
椅子の背もたれに小さい身体を預けて、少し上体を左側に折り曲げるようにして眠る姿は、どう考えても楽な姿勢には見えなかった。
それで熟睡出来るのが不思議なほどだ。
「お姉さんは寝顔も可愛いね。睫毛長いなあ……」
「おい万楼っ、そんなに近くで……!」
「玄鳥、しーっ。お姉さんが起きちゃうよ」
「……っ、女性の寝顔を覗くなんて失礼じゃないか……」
どうやら日向子の寝顔を直視出来ないようで、玄鳥は赤い顔で目を泳がせながら抗議する。
万楼は可愛い顔でニヤニヤ意地悪く笑う。
「見ないともったいないよ。ねえ、リーダー?」
「知るか、俺に振るなよ」
紅朱は迷惑そうに眉をしかめながらも、器用な姿勢で眠る令嬢を見やった。
まるで無防備な寝顔をかばうように、サラサラとした絹糸のような髪が流れて、白い頬を少し隠している。
うっすらと開いたチェリーのような唇からは規則正しく淡い寝息がもれているらしく、胸元が微かに上下している。
無理な姿勢のためによれたブラウスの合わせ目からその奥の素肌が見えそうで……見えない。
「っ」
それじゃまるで見たがってるみたいだろ、そんなわけあるか、と紅朱は心の中で自分に突っ込みを入れ、日向子から目をそらした。
「ったく……暑いんだよ、この部屋は……」
ぶつぶつ言いながら出て行く紅朱を目で追った後、年少組は顔を見合わせた。
「この部屋暑い?」
「いや……肌寒いくらいじゃないか?」
練習中は暑いので、スタジオの暖房を低めに設定されている。
汗が冷えると少し寒く感じるほどに。
「ねえ玄鳥、このままだとお姉さん風邪引いちゃうんじゃない?」
「あ、そうだよな……上着とか掛けてあげたほうがいいか」
玄鳥と万楼は同時に動き、備え付けのハンガーにかけてあったそれぞれの上着をそれぞれに取り、それぞれに日向子に掛けようとして、止まった。
「ボクのコートのほうがファーがふわふわであったかいよ」
「……俺のコートのほうが丈が長くて身体がはみださなくていいと思うけど」
「玄鳥、大人げないよ」
「お前こそ大人になれよ」
呑気に眠りこける日向子を挟んで、チリチリと静かな火花を散らす男二人……のすぐ目の前で、カーキ色の布が翻った。
「え」
二人は同時に声を上げて目を丸くする。
いつの間にか(恐らくは不毛な睨み合いをしている間であろうが)日向子のすぐ傍らに立っていた有砂が、常通りのだるそうな顔をしながら、妙にテキパキとカーキ色のコートで日向子を包んで、挙げ句にあんぐりと口を開けたまま固まる二人を尻目に、ひょいっと日向子の小さい身体を抱き上げてしまった。
「有砂さん!?」
「有砂??」
「……前ん時より軽なってる……」
日向子はこれでも全く目を覚ます気配もなく、自分がみの虫のように包まれて、お姫様だっこされているとは夢にも思わないだろう。
有砂はこともなげに、
「ここにおくと練習の邪魔になりそうやから、今のうちに撤収する」
淡々と言い放った。
「撤収……?」
ハモる年少組に、
「……気ぃ利かせてドアくらい開けろや。塞がっとるやろう、両手が」
と目を半眼する。
するとタイミングよくドアが開き、ロビーの自販機で買ったのだろう500ミリリットルのコーラを片手に紅朱が戻ってきた。
「……は?」
いきなり奇妙な光景を目にした紅朱の動きが止まっている間に、有砂は日向子を抱えたまま、その横をすり抜けてスタジオを出て行ってしまった。
「……なんだ? あいつどうしたんだ?」
紅朱は残された二人に説明を求める。
二人は手にしたコートが引きちぎれるのではないかというほどギュッと力を込めてドアの向こうを睨んだ。
「許せない……」
「有砂……っ!」
その剣幕に二度驚きながら、紅朱はすれ違いざまに一瞬だけ至近距離で見た日向子の寝顔を何故か思い出していた。
「……美人、だったんだな……日向子って……」
一方非難と困惑の眼差しを振り切った有砂は、そのまま駐車場へ向かった。
実は寝たふりなのではないかというくらい全く目覚める気配のない日向子を落とさないように支えながら、苦労して愛車の後部座席に下ろす。
「なんや……誘拐犯の気分やな」
日向子は少し寒さを覚えたのか、わずかにみじろいで、自分を包む布を更に強く巻き付ける。
顔の下半分までが隠されてしまった。
「……アホ、窒息するやろ」
有砂は嘆息して、日向子の口元の部分の布を少し引っ張ってやる。
再び姿を見せた、控え目な色のグロスで艶めく唇が、微かに動き、声にならない言葉を紡いだ。
ゆ・き・の
そう読み取れた。
有砂はおもむろに、軽く曲げた右手中指の関節部分で、こつん、と日向子の額を軽くどついた。
「……また、オレで悪かったな……」
「……雪乃!」
駆け寄って、後ろ姿に呼び掛けた瞬間、びくっとその背中が震えたような気がした。
「……お嬢様……何故、ここに」
振り返った少年は、確かに雪乃であったが、雰囲気が全くいつもと違って見えた。
眼鏡をかけていないからかもしれない。
いつも妙に大人びた雰囲気の雪乃が、今はなんだか年相応の普通の高校生に見える。
濃紺のブレザーを着た雪乃の姿は朝・夕と目にしているから珍しくなどない筈なのに、新鮮に思えた。
もっとも雪乃は大急ぎで通学鞄から眼鏡ケースを取り出して、すぐにいつもの通りに戻ってしまったのだが。
「わざわざこのような場所にいらっしゃるとは……どうなさったのですか?」
「うふふ、理由の一つは雪乃の通う学校が近くで見たかったから、ですわ」
日向子の通う女学院の中等部校舎からも、この高校の校舎はよく見える。
学院の女生徒たちは、みんな厳しく育てられた令嬢ばかりで、男性に対する免疫がないため、1キロメートルも離れていないこの場所を、憧れと怖さの入り混じった眼差しで眺めているのだ。
もっともそれはお互い様で、丘の上にそびえる禁域……名門女学院の制服を着た少女が校門の前にたたずんでいるなどここの男子生徒たちにとってもあまりにレアな出来事だったのだが。
日向子は自分が注目されていることに気付いていない様子で、ほんわかした笑顔を浮かべながら、ピンク色の可愛らしい紙袋を雪乃に差し出す。
「理由のもうひとつはこれですわ。家庭科実習でラズベリーのケーキを作りましたの。自分でもなかなかよく出来ていると……だから雪乃にも食べて頂きたくて」
「……私の帰宅が、待ちきれなかったので校門で待ち伏せなさっていたというわけですか」
「ええ。雪乃はいつも部活動で遅くなりますでしょう? 同じ『待つ』ならお屋敷よりこちらで、と」
「……お嬢様のお気持ちはよくわかりました。が、とにかくここから移動しましょう」
雪乃は気持ち早口で告げて、日向子の先に立って歩き出そうとした。
「校門の前でナンパ……それもセシル女学院の生徒とは……なかなかおさかんなことやな、釘宮」
日向子の知る限り、いつでもどこでも冷静沈着な雪乃の顔が、こんなにもはっきりと驚愕に彩られたことがかつてあっただろうか。
「……さっきから何を妙な話し方しとんねん、不気味すぎるで」
「……これはっ、その……」
「……雪乃? お友達ですの……?」
「……か、彼は、同じ部の……」
「まあ、そうでしたの」
日向子は、雪乃と同じ制服を少し着崩した、鞄を肩口に引っ掛けるようにして斜に構えて立つ背の高いの少年を見上げて微笑する。
「オーケストラ部のお友達ですのね?」
少年は、際立った美形ではないが、端正に整った顔を歪ませる。
「……オーケストラ部……?」
「よろしければ、ラズベリーケーキをおひとついかがですか?」
「お嬢様、彼は甘い物は召し上がりません。試食は私が責任を持って致しますので、早く参りましょう」
「……えっ、あ」
「失礼を」
日向子の手からケーキと鞄を半分奪うように受け取って、歩き始める。
日向子も仕方なく、
「雪乃とこれからも仲良くなさってね……ごきげんよう」
と、何かまるで幽霊でも目撃したような顔をして雪乃を凝視する少年に、お辞儀をしてそれに続いた。
「……もう、雪乃ったら……どうなさったの? わたくし、雪乃のお友達ともっとお話したかったですのに」
「先生がお帰りになる前に早くお屋敷に戻りませんと、小原さんがお気の毒です。お迎えに上がっていながら、お嬢様に逃げられたなどと知れたらひどいお叱りを受けるでしょうから」
「……そう、ですわね……わたくし、軽率でしたわ」
日向子は素直に頷き、雪乃はこっそりと胸を撫で下ろしていた。
「……そういえば、雪乃と帰るのは初めてですわね?」
「……はい」
「これからは毎日二人で帰りませんこと?」
「いけません。お嬢様を毎日歩いて帰らせるわけには参りません」
ぴしゃりと遮断されてがっかりしながらも、日向子は少し考えて、言った。
「では、いつか雪乃が車に乗れるようになったら、わたくしを毎日迎えに来て頂けて……?」
「まあ……どういたしましょう」
目を覚ました日向子は、まずそこが自分の部屋のベッドだったことに驚き、次に見覚えのあるコートにぐるぐるくるまっていたことに驚き、ベッドサイドに置かれたメモ書きに更に驚いた。
「……『カギは勝手に使わせてもらった。スペアのほうは預かってるから今度コートと交換する……涎ついとったら殺す』」
やはりこのコートの主も、日向子を部屋まで送り届けたのも……有砂のようだ。
日向子は状況を頭の中で整理しつつ、大切な預かりものをハンガーにかけて、ベッド脇に吊す。
カーキ色のコートからはほんの少し、有砂が使っている香水の香りがする。
だからだろうか?
雪乃の夢なのに、有砂によく似た少年が出てきたのは。
雪乃の友達を見たのはあの時が最初で最後……顔も声も覚えていないのに。
「あら」
硬い感触を見つけ、「もしや」とポケットの中を探った。
予想通り……それは有砂の携帯電話だ。
しかも日向子が手に取るのを待ち構えていたように振動し始める。
「着信ですわ……どういたしましょう?」
ディスプレイは非通知。
日向子は悩んだが、携帯がないのに気付いた有砂本人からの着信の可能性を考えて出ることにした。
通話ボタンを押した途端、日向子が何か言うより早く、上擦った声が響いた。
《佳人くん!?》
日向子も知っている、女性の声。
こんなにも取り乱した声は初めてだったが。
《佳人くん……っ、菊人がっ》
続く言葉に、日向子は目眩を覚えた。
《誘拐、されたかもしれないの……!!》
《つづく》
2007/08/23 (Thu)
バトン
拾った。
最近、自分で自分の萌えキャラの統一感の無さをしみじみ実感していて、ちょっとした自己分析になるかと思って。
【どっちが萌えバトン】
注意
・『』は言われたらドキドキする方を選ぶ
・回された人は自分が萌えを感じる2択を1つ足していく
●ブレザーvs学ラン
学ラン。海軍タイプ推奨で、丈は長めを好む。これはダグオンの広瀬海からだと思う。
●爽やか系vs秀才系
秀才系。頭がいいかどうかというより、努力型としての秀才系がいい。
●黒縁眼鏡vs銀縁眼鏡
黒縁眼鏡。銀縁はちょっと性格の悪いキャラが多い気がするのは何故なんだ。
●照れ顔vs膨れ顔
照れ顔。もう、遙か無?%E:221%#フ少将様の照れ顔立ち絵が最強。あのお方が照れるなんて……。
●秀才眼鏡キャラvs鬼畜眼鏡キャラ
秀才眼鏡キャラ。鬼畜なキャラに萌えないから。でも鬼畜眼鏡にいじめられている人を見ているのは好き。笑。
●『愛してる』vs『ずっと君の側に』
『愛してる』。後者は死亡か別離フラグにしか思えない……。笑。
ずっと、って言葉は軽々しく使う奴はいかん。無責任な約束は、してはいけない。
●?%E:221%#ッvs攻め
攻め。攻めを攻めるのが一番楽しいんじゃないか。
●年下vs年上
年上。下だと萌えの意味合いが変わってくる。
●硬派vs甘えん坊硬派
甘えん坊硬派。言葉の意味はわからないが、なんか響きが素敵だ。笑。
●長髪vs短髪
長髪。「長」と「髪」の間に「めの」と入れてくれれば。「なんか伸びてきたな~、そろそろ切ろうかなあ」みたいな長さが一番好き。
●ツンデレvsヘタレ
ツンデレ。どんなに見た目や設定が微妙なキャラでもツンデレなら二割増し。
●ショタvsオヤジ
オヤジ。どんなオヤジかにもよるけど……。
●眼帯vs包帯
包帯。眼帯は目にしかつけれないけど、包帯はどこにでも巻けるし。目に巻けば眼帯にもなるじゃん。
●バスケットvsサッカー
バスケット。スポーツマンで萌えたキャラなんてスラダンのキャラしか思いつかない。
●『メチャメチャにしてやるよ』vs『どうして欲しい?』
『どうして欲しい?』。だってこれは美容師さんの台詞でしょ? メチャメチャは困るよ。笑。
●猫耳vs兎耳
兎耳。耳なら兎、尻尾なら猫。オプションは長いのが好きだ。
●不思議系vs天然系
天然系。んー……この2つは本人が自覚してるかどうかの違いと独自解釈してる。指摘されてもマイペースで動じないのが不思議系。指摘すると反発するのが天然。
どっちも好きなんだけどねェ。
●足組み(座ってる時)vs腕組み(立ってる時)
腕組み(立ってる時)。女性なら足だけどねェ。男の足にあんまり興味ないなあ。
●タレ目vsつり目
つり目。しいて言えばね。別にどっちも有り。
●銀髪vs黒髪
黒髪。個人的には白金か金が好きなのでこれはどっちでもいい。
●ボケvs突っ込み
突っ込み。ボケはイラッとするから。
●主人公vs悪役
悪役。悪役なのに最終的に仲間になったり、逆に味方だと思ってたのに実は……みたいなのが好き。
●浮気性vs一途
一途。遊んでても、本命が出来たら一途であってほしい。
●M攻めvsS攻め
S攻め。ヘタレも嫌いではないが……。
●殺伐vsのほほん
のほほん。殺伐とした人はいつ死ぬかわかんないからあんまり萌えられない。
●金髪vs茶髪
金髪。王子様萌。幼少の頃、某聖闘士のあまりの美しさによろめいてしまって以来、非常に弱い。
●小悪魔系vs姫系
小悪魔系。毒があるほうがいいから。
●優しい嘘vs残酷な真実
優しい嘘。これが大事。いい男の必須科目。
●メイド服vsセーラー服
メイド服。どっちも別に何とも……。
●うなじvs鎖骨
鎖骨。はいはい、少将様、少将様。
●手先vs足先(裸足)
手先。手袋をはめた手が好き。素材は絹でも綿でも革でも羊毛でもなんでもいい。
●和服vsドレス
ドレス。フォーマルなファッション大好き。だが和服もかなり好きだ。
●妖怪vs幽霊
妖怪。人外異種族萌。
●刀vs銃
銃。飛び道具大好き。重火器ならなんでも萌えるけど黒光りする拳銃が一番萌える。
●幼馴染vs同級生
幼馴染。子供の頃のエピソード出されると弱いから。
●口ヒゲvs顎ヒゲ
顎ヒゲ。一応。でも、ヒゲには何の萌えも感じない。
●黒オーラvs白オーラ
白オーラ。汚したくなる白と、汚したくない白がある。深い。
●アニメ派vsマンガ派
アニメ派。ものによるけど……アニメ見てからマンガにハマることが多いし。
●美少年vs美青年
美青年。やっぱり大人のほうが好きかな~。
●ツンデレ眼鏡vs笑顔が眩しい好青年
笑顔が眩しい好青年。悩むけど、ツンデレキャラ狙いのつもりが、他のキャラの笑顔ひとつでノックダウンされたことが過去に何度かあるので。
ツンデレと眼鏡は私の中では必ずしも結びつかない。
●野球少年vsサッカー少年
野球少年。サッカー少年のほうがヘディングとかするから、頭が悪そう(どんな偏見だ)。
●ドジっ娘vs眼鏡っ娘
眼鏡っ娘。ドジっ娘はイラッとするから。
●恋vs愛
愛。恋は愛のカテゴリのひとつじゃないのかね。
●お色気流し目vsおねだり上目使い
おねだり上目使い。うわー、そんな目で見るなー。卑怯だぞ。泣。
●ツンデレ不良vs鬼畜眼鏡
ツンデレ不良。そりゃいじめられるよりは俄然いじめたいからね。爆。
●兄vs弟(追加項目)
弟。でもね、兄あっての弟なので、兄が萌えないと弟も萌えないのよね。
●回す人
こんなバトンを回せる人がいるとすれば……なゆきさん、まよっちさん、仮名子さん。
皆さんお忙しいことでしょうが、よろしければいかがですか??
最近、自分で自分の萌えキャラの統一感の無さをしみじみ実感していて、ちょっとした自己分析になるかと思って。
【どっちが萌えバトン】
注意
・『』は言われたらドキドキする方を選ぶ
・回された人は自分が萌えを感じる2択を1つ足していく
●ブレザーvs学ラン
学ラン。海軍タイプ推奨で、丈は長めを好む。これはダグオンの広瀬海からだと思う。
●爽やか系vs秀才系
秀才系。頭がいいかどうかというより、努力型としての秀才系がいい。
●黒縁眼鏡vs銀縁眼鏡
黒縁眼鏡。銀縁はちょっと性格の悪いキャラが多い気がするのは何故なんだ。
●照れ顔vs膨れ顔
照れ顔。もう、遙か無?%E:221%#フ少将様の照れ顔立ち絵が最強。あのお方が照れるなんて……。
●秀才眼鏡キャラvs鬼畜眼鏡キャラ
秀才眼鏡キャラ。鬼畜なキャラに萌えないから。でも鬼畜眼鏡にいじめられている人を見ているのは好き。笑。
●『愛してる』vs『ずっと君の側に』
『愛してる』。後者は死亡か別離フラグにしか思えない……。笑。
ずっと、って言葉は軽々しく使う奴はいかん。無責任な約束は、してはいけない。
●?%E:221%#ッvs攻め
攻め。攻めを攻めるのが一番楽しいんじゃないか。
●年下vs年上
年上。下だと萌えの意味合いが変わってくる。
●硬派vs甘えん坊硬派
甘えん坊硬派。言葉の意味はわからないが、なんか響きが素敵だ。笑。
●長髪vs短髪
長髪。「長」と「髪」の間に「めの」と入れてくれれば。「なんか伸びてきたな~、そろそろ切ろうかなあ」みたいな長さが一番好き。
●ツンデレvsヘタレ
ツンデレ。どんなに見た目や設定が微妙なキャラでもツンデレなら二割増し。
●ショタvsオヤジ
オヤジ。どんなオヤジかにもよるけど……。
●眼帯vs包帯
包帯。眼帯は目にしかつけれないけど、包帯はどこにでも巻けるし。目に巻けば眼帯にもなるじゃん。
●バスケットvsサッカー
バスケット。スポーツマンで萌えたキャラなんてスラダンのキャラしか思いつかない。
●『メチャメチャにしてやるよ』vs『どうして欲しい?』
『どうして欲しい?』。だってこれは美容師さんの台詞でしょ? メチャメチャは困るよ。笑。
●猫耳vs兎耳
兎耳。耳なら兎、尻尾なら猫。オプションは長いのが好きだ。
●不思議系vs天然系
天然系。んー……この2つは本人が自覚してるかどうかの違いと独自解釈してる。指摘されてもマイペースで動じないのが不思議系。指摘すると反発するのが天然。
どっちも好きなんだけどねェ。
●足組み(座ってる時)vs腕組み(立ってる時)
腕組み(立ってる時)。女性なら足だけどねェ。男の足にあんまり興味ないなあ。
●タレ目vsつり目
つり目。しいて言えばね。別にどっちも有り。
●銀髪vs黒髪
黒髪。個人的には白金か金が好きなのでこれはどっちでもいい。
●ボケvs突っ込み
突っ込み。ボケはイラッとするから。
●主人公vs悪役
悪役。悪役なのに最終的に仲間になったり、逆に味方だと思ってたのに実は……みたいなのが好き。
●浮気性vs一途
一途。遊んでても、本命が出来たら一途であってほしい。
●M攻めvsS攻め
S攻め。ヘタレも嫌いではないが……。
●殺伐vsのほほん
のほほん。殺伐とした人はいつ死ぬかわかんないからあんまり萌えられない。
●金髪vs茶髪
金髪。王子様萌。幼少の頃、某聖闘士のあまりの美しさによろめいてしまって以来、非常に弱い。
●小悪魔系vs姫系
小悪魔系。毒があるほうがいいから。
●優しい嘘vs残酷な真実
優しい嘘。これが大事。いい男の必須科目。
●メイド服vsセーラー服
メイド服。どっちも別に何とも……。
●うなじvs鎖骨
鎖骨。はいはい、少将様、少将様。
●手先vs足先(裸足)
手先。手袋をはめた手が好き。素材は絹でも綿でも革でも羊毛でもなんでもいい。
●和服vsドレス
ドレス。フォーマルなファッション大好き。だが和服もかなり好きだ。
●妖怪vs幽霊
妖怪。人外異種族萌。
●刀vs銃
銃。飛び道具大好き。重火器ならなんでも萌えるけど黒光りする拳銃が一番萌える。
●幼馴染vs同級生
幼馴染。子供の頃のエピソード出されると弱いから。
●口ヒゲvs顎ヒゲ
顎ヒゲ。一応。でも、ヒゲには何の萌えも感じない。
●黒オーラvs白オーラ
白オーラ。汚したくなる白と、汚したくない白がある。深い。
●アニメ派vsマンガ派
アニメ派。ものによるけど……アニメ見てからマンガにハマることが多いし。
●美少年vs美青年
美青年。やっぱり大人のほうが好きかな~。
●ツンデレ眼鏡vs笑顔が眩しい好青年
笑顔が眩しい好青年。悩むけど、ツンデレキャラ狙いのつもりが、他のキャラの笑顔ひとつでノックダウンされたことが過去に何度かあるので。
ツンデレと眼鏡は私の中では必ずしも結びつかない。
●野球少年vsサッカー少年
野球少年。サッカー少年のほうがヘディングとかするから、頭が悪そう(どんな偏見だ)。
●ドジっ娘vs眼鏡っ娘
眼鏡っ娘。ドジっ娘はイラッとするから。
●恋vs愛
愛。恋は愛のカテゴリのひとつじゃないのかね。
●お色気流し目vsおねだり上目使い
おねだり上目使い。うわー、そんな目で見るなー。卑怯だぞ。泣。
●ツンデレ不良vs鬼畜眼鏡
ツンデレ不良。そりゃいじめられるよりは俄然いじめたいからね。爆。
●兄vs弟(追加項目)
弟。でもね、兄あっての弟なので、兄が萌えないと弟も萌えないのよね。
●回す人
こんなバトンを回せる人がいるとすれば……なゆきさん、まよっちさん、仮名子さん。
皆さんお忙しいことでしょうが、よろしければいかがですか??