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プロフィール
HN:
麻咲
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1983/05/03
職業:
フリーター
趣味:
ライブ、乙女ゲーム、カラオケ
自己紹介:
好きなバンド
janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他
好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ)
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット)
フルハウスキス(羽倉麻生)
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文)
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助)
花宵ロマネスク(紫陽)
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸)
僕と私の恋愛事情(シグルド)
ラスト・エスコート2(天祢一星)
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル)
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク)
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他
バイト先→某損保系コールセンター
janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他
好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ)
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット)
フルハウスキス(羽倉麻生)
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文)
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助)
花宵ロマネスク(紫陽)
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸)
僕と私の恋愛事情(シグルド)
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魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
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リトルアンカー(フェンネル=ヨーク)
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他
バイト先→某損保系コールセンター
アクセス解析


こちらはキリ番記念のSSとなっております。
あまり多くは語りませんが、先にupされているほうのSS(相互記念SS)を先に読んだほうがいいと思います。
本編ネタバレは特にありません。
あと、この物語は多分フィクションです。登場する団体、組織名、艦長、整備士、医務室のおにいさんは架空のものです(絶望先生風に)。
以上を踏まえた上でつづきに進んで下さいませ。
あまり多くは語りませんが、先にupされているほうのSS(相互記念SS)を先に読んだほうがいいと思います。
本編ネタバレは特にありません。
あと、この物語は多分フィクションです。登場する団体、組織名、艦長、整備士、医務室のおにいさんは架空のものです(絶望先生風に)。
以上を踏まえた上でつづきに進んで下さいませ。
《Difficult Question [SIDE:V]》
「これはこれは」
ヤバい……と思った時にはもう遅かった。
完全に、遅かった。
「こんなところでサボりですか? いけませんねえ、緊急時に」
「……げ」
ヴィオレは固まった。
リヒャルトはなんでもないようないつもと同じ微笑を浮かべて、レンズごしにヴィオレを見つめる。
「べ、別にサボりじゃねーから!ただの息抜きだろ」
「では、ボリスさんや副艦長に報告しても問題ないと?」
「ぐっ……ちょ、ちょっと待てって! そりゃあマズいに決まってんだろ……! 頼むからやめてくれ!!」
慌てて携帯の電源を落としてポケットに突っ込み、タバコをもみ消しながら懇願する他ない。
一方リヒャルトの答えは意外なものだった。
「それでは、私とゲームをしませんか?」
「ゲーム……?」
マッドドクターの提案するゲームなど、ろくなものではないだろうと思いつつ、むげに拒絶もできない。
「……ゲームに勝ったら、黙認してくれるってことか?」
少し身を乗り出すようにして問い質す。
「ええ、構いませんよ」
「……一体どんなゲームをしようってんだ?」
「実は先程、エリュシオン艦内で『メカレイシェン』の姉妹作を起動させて来ました」
「……『メカレイシェン』の姉妹作??」
「ええ。ある人物と瓜二つの医療用アンドロイドです。これを今から5時間以内に発見出来たら貴方の勝ち。簡単でしょう?」
「5っ、5時間!? これから整備デッキに戻って仕事しなきゃなんないのに、そんな短時間じゃ……」
「できないならば、私の不戦勝ということですか」
今現在、圧倒的優位に立っているリヒャルトは、不敵にほくそ笑むばかりだ。
「……ちっ」
ヴィオレは舌打ちをしながらも、
「……わかった。やる。やるしかねーんだろ」
最早それ以外の選択肢は存在しなかった。
「……見てろよ!絶対見つけてやる……」
ほとんど無謀かもしれない賭けに出た。
とりあえず仕事を終わらせるしかない。
完全には終わらなくても、一段落付けられれば休憩くらいは与えられる筈だ。
チャンスはそこしかない。
それにしてもあの変態。
今回にしても、前に対決で勝って没収してもらった写真にしても。
なんでタイミングよく出て来るんだ。
カメラか盗聴器でも仕掛けてるのか。
神出鬼没すぎる。
お前は悪魔か。
心の中でひたすらリヒャルトへの呪詛を呟きながらも、ヴィオレはかつてない集中力で作業をこなし、ほとんど火事場の馬鹿力と言っていいような120%の力を発揮していた。
それでも仕事に一段落つけることに成功した時には、残り時間はあと一時間になっていた。
一時間。
艦内をくまなく見て回るには短すぎる。
ある程度当たりつけなければと思ったヴィオレは、とりあえず人の集まりそうな食堂に向かった。
しかし、時間帯が微妙だったためか、残念ながら食堂は静まり返ってしまっていた。
すぐに別の場所に移動しようと思ったが、静かな食堂で、ひとり黙々と食事を取っている藍澄を見つけて、ついつい立ち止まってしまった。
なんだか藍澄の雰囲気が、どことなくいつもと違うような気がしてならない。
沈んでいるというか、はりつめているというか。
何か悩んでいるのだろうか?
辛いことでもあるのだろうか?
それとも……。
「よっ、藍澄ちゃん」
気がついたら声をかけていた。
今がどういう時なのかはよくわかっていたが、とてもスルーなどできなかった。
「っ」
藍澄はほとんど過剰なほどに驚いていた。
フォークを握りしめた手が止まる。
「なんだよ、コワイ顔して。サボりじゃないぜ? ちゃんとした休憩」
欠伸を噛み殺しながらそう言って、ヴィオレは許可を得ることなく藍澄の向かいに座った。
「お、お疲れ様です」
それでも藍澄は目線を合わせずに、当たり障りのない返事をし、食事を続ける。
藍澄が食しているアニタ特製のローストチキンは空きっ腹には目の毒だ。
それなのに藍澄は、ローストチキンの味が、全くわかっていないんじゃないかというほど、機械的に口に運んでいた。
さながらゴムを噛んで飲み込んでいるかのように、渋い顔をしている。
妙に思いながらも、つとめて明るく言葉を紡ぐ。
「お疲れなんてもんじゃないっての。まったく……毎回毎回派手にぶち壊してくれるよなー。
ようやっと一段落ってトコロでさ、仕上げの作業の前に小休止で、胃になんか入れて、仮眠とっとかないと、流石にキツイぜ」
藍澄は「そうですか、大変ですね」とやはり機械的に応答し、ムキになったかのように目の前の料理だけを視界に収め、チキンをナイフで刻み、フォークに刺して、口に運ぶ。
「……藍澄ちゃん?」
チキンを切る。
「……なんかさー、ちょっと、機嫌悪い?」
フォークに刺す。
「……オレ、なんかした?」
口に入れる。
「……マジで、心当たりがない」
噛み砕く。
「……とは言わないが……」
飲み込む。
「……ヤバい……どれのことかマジでわかんねー」
完食。
「ごちそう様です」
藍澄はすぐに椅子から立ち上がり、視線は下に落としたままで、急いで立ち去ろうとする。
「いや、ちょっと」
とっさに手首を掴んでしまった。
振りほどかれた。
本格的に様子がおかしい……そう思った時に、ある可能性が頭を過った。
消え入りそうな声で「ごめんなさい」と呟く顔を、思わず凝視する。
「……なあ、もしかして」
「……すいません、急いでるんです。後にして下さい」
「急いで、どこに行くんだよ?」
「えっと……」
どこか困惑したような顔をしながら、藍澄は呟くように答える。
「医務室に」
医務室!!
ヴィオレの中で完全に点と点が繋がった。
様子がおかしくて当然だ。
今は避けられても当然だ。
今目の前にいる彼女こそ、メカレイシェンの姉妹作……即ち『メカ藍澄』に違いない。
「へえ……なるほどね」
思わず笑みが浮かんでしまう。
「……そんなんで、オレを騙せると思ってんのかよ」
『メカ藍澄』はビクリと肩を震わせ、
「……ごめんなさい」
もう一度、謝罪の言葉を口にした。
偽物とはいえ、しかも人間ではないとはいえ、藍澄の顔をした少女に沈んだ顔をされるのはなんとなく堪える。
まるでいじめているようだ。
そもそも悪いのは変態ドクターで、彼女ではない。
「……ごめんなさい、って。んなひたすら謝られても困るっつーか」
それにしてもちょっと似すぎだろう……と、『メカ藍澄』をじっと観察する。
リヒャルトは職務権限で詳細なクルーの身体データを持っている。
軍服に隠れている部分まで精巧に作ったのだろうか……そんなことを考えると、いよいよリヒャルトに腹が立って来る。
あんな変態のところにいたら何をされるかわからない。
これは医務室へ帰さず、自分が預かるべきなのではないか?
そんなことを思った時。
本物よりもしおらしい雰囲気の『メカ藍澄』は、何故か顔を赤くしながらおずおずと口を開いた。
「……あの、ヴィオレさん……お部屋で少しだけお話、いいですか」
「すいません……折角の休憩時間なのに」
「いや、それは別にイイけど」
廊下を連れ立って歩いている間も、私室に連れ込んでからも、なんだかとてつもなく悪いことをしているような気がして、気が気ではなかった。
後ろめたいことではないのに。妙な感じだ。
ベッドに隣合って座っていた『メカ藍澄』は、しばしの沈黙の後、ゆっくり口を開いた。
「……もしも」
「もしも?」
ヴィオレの顔を真剣に見つめて、『メカ藍澄』は問いかける。
「……私が、エリュシオンのクルーの誰かに、その……恋をしてしまったとしたら……ヴィオレさんはどう思いますか?」
思わず「え」と声が漏れた。
アンドロイドとはいえ、人工知能を搭載している以上、ありえなくはないが……。
「……マジで?」
「……もしも、ですってば」
顔を赤く染める姿は、どう見たって『恋する乙女』そのものだ。
カワイイ……うっかりそう思ってしまった自分を誤魔化すように、あえて明るい口調で答える。
「……何言ってんだか。お年頃の女の子だってのに、恋のひとつやふたつ出来ないってほうが問題だろ。
むしろ、どんどんするべきだと思うぜ?」
「だけど私は、そういうことが許される立場じゃ……」
「……だから、そういう考え方がバカバカしいって言ってんだろ?
……恋、してみりゃいいさ。例えば」
ちょっと悪ノリしたくなって、作り物とは思えない、柔らかそうなほっぺたに手をかける。
まるで、血が通っているように温かい。
「オレは、どう?」
「っ!」
初々しい反応が、不意に本物と重なって……すっと、ヴィオレの中で何かが冷めた。
「……なんて、な」
手を引いて、身体を離す。
「わりィ、ちょっと仮眠取りたいから、そろそろいいかな?」
「あ、はい。すいません……お疲れのところ……お話、聞いてくれてありがとうございました」
主のところに帰らせるのはかなり不安だが、やはりここにずっと置いておくわけにはいかない。
あの顔で。
あの声で。
あんなに近くにいられたら。
こっちがどうにかなってしまいそうだ。
だけど、イミテーションなんかに惑わされてちゃしょうがない。
……本物でなくては、意味がないのだから。
「あのさー」
部屋を出て行く彼女にひとつだけ伝言を委ねる。
「変態ドクターに会ったら伝言頼むわ。
……ちゃんと約束守れ、って」
「?? はい、わかりました……」
不思議そうな顔をしながら、『メカ藍澄』は、ドアの向こうに姿を消した。
「お疲れ様です」
煤とオイルで黒く汚れた顔で、工具を握ったまま振り返ったヴィオレに、彼女はいつものように微笑みながら声を掛けてきた。
「補給品のリストなんですけど、ヴィオレさんもチェックしてくれますか?」
「……」
思わずその顔を凝視してしまった。
「ヴィオレさん……? どうかしましたか?」
「……藍澄ちゃん、だ」
間違いない。本物だ。
イミテーションが唯一再現できていなかったもの。
近頃お気に入りの、この笑顔。
もしあの子がこんなふうに笑っていたら、正直危なかったかもしれない……と、ヴィオレは思った。
「はい?」
「なんでもない……ほら、リスト、貸してみ?」
さあお仕事だ、と藍澄の手から書類を受け取る。
リストに視線を落としたその時、
「そういえば」
不意に藍澄が口を開いた。
「クロイツァーさんから伝言預かってます」
「ん? なんて?」
「『約束』通り、副艦長に報告しておきました、って」
パサリ、と乾いた音を立てて、青ざめたヴィオレの手からリストが滑り落ちた……。
「ヴィオレさん!?どうしたんですか、ヴィオレさん!!?」
そんな彼らのやりとりを、整備デッキの入り口付近から生温かく見守っている2つの人影があった。
「フフフ、なかなか面白いゲームになりましたね……報告ありがとうございます」
「フフフ、こちらこそ楽しませてもらっていますよ。次は誰を観察するとしましょうかね」
「そうですねえ……レイシェンもいいですが、ヨシュアも捨てがたい」
「それなら、もう一体くらい『私』を作ってもいいかもしれないですねえ」
「ちょうどそれを考えていました。流石は『私』、気が合いますねえ」
同じ姿。同じ声音に、同じ趣味。
2人の『医務室のおにいさん』はレンズごしに視線を合わせて、愉快そうに笑った。
【END?】
「これはこれは」
ヤバい……と思った時にはもう遅かった。
完全に、遅かった。
「こんなところでサボりですか? いけませんねえ、緊急時に」
「……げ」
ヴィオレは固まった。
リヒャルトはなんでもないようないつもと同じ微笑を浮かべて、レンズごしにヴィオレを見つめる。
「べ、別にサボりじゃねーから!ただの息抜きだろ」
「では、ボリスさんや副艦長に報告しても問題ないと?」
「ぐっ……ちょ、ちょっと待てって! そりゃあマズいに決まってんだろ……! 頼むからやめてくれ!!」
慌てて携帯の電源を落としてポケットに突っ込み、タバコをもみ消しながら懇願する他ない。
一方リヒャルトの答えは意外なものだった。
「それでは、私とゲームをしませんか?」
「ゲーム……?」
マッドドクターの提案するゲームなど、ろくなものではないだろうと思いつつ、むげに拒絶もできない。
「……ゲームに勝ったら、黙認してくれるってことか?」
少し身を乗り出すようにして問い質す。
「ええ、構いませんよ」
「……一体どんなゲームをしようってんだ?」
「実は先程、エリュシオン艦内で『メカレイシェン』の姉妹作を起動させて来ました」
「……『メカレイシェン』の姉妹作??」
「ええ。ある人物と瓜二つの医療用アンドロイドです。これを今から5時間以内に発見出来たら貴方の勝ち。簡単でしょう?」
「5っ、5時間!? これから整備デッキに戻って仕事しなきゃなんないのに、そんな短時間じゃ……」
「できないならば、私の不戦勝ということですか」
今現在、圧倒的優位に立っているリヒャルトは、不敵にほくそ笑むばかりだ。
「……ちっ」
ヴィオレは舌打ちをしながらも、
「……わかった。やる。やるしかねーんだろ」
最早それ以外の選択肢は存在しなかった。
「……見てろよ!絶対見つけてやる……」
ほとんど無謀かもしれない賭けに出た。
とりあえず仕事を終わらせるしかない。
完全には終わらなくても、一段落付けられれば休憩くらいは与えられる筈だ。
チャンスはそこしかない。
それにしてもあの変態。
今回にしても、前に対決で勝って没収してもらった写真にしても。
なんでタイミングよく出て来るんだ。
カメラか盗聴器でも仕掛けてるのか。
神出鬼没すぎる。
お前は悪魔か。
心の中でひたすらリヒャルトへの呪詛を呟きながらも、ヴィオレはかつてない集中力で作業をこなし、ほとんど火事場の馬鹿力と言っていいような120%の力を発揮していた。
それでも仕事に一段落つけることに成功した時には、残り時間はあと一時間になっていた。
一時間。
艦内をくまなく見て回るには短すぎる。
ある程度当たりつけなければと思ったヴィオレは、とりあえず人の集まりそうな食堂に向かった。
しかし、時間帯が微妙だったためか、残念ながら食堂は静まり返ってしまっていた。
すぐに別の場所に移動しようと思ったが、静かな食堂で、ひとり黙々と食事を取っている藍澄を見つけて、ついつい立ち止まってしまった。
なんだか藍澄の雰囲気が、どことなくいつもと違うような気がしてならない。
沈んでいるというか、はりつめているというか。
何か悩んでいるのだろうか?
辛いことでもあるのだろうか?
それとも……。
「よっ、藍澄ちゃん」
気がついたら声をかけていた。
今がどういう時なのかはよくわかっていたが、とてもスルーなどできなかった。
「っ」
藍澄はほとんど過剰なほどに驚いていた。
フォークを握りしめた手が止まる。
「なんだよ、コワイ顔して。サボりじゃないぜ? ちゃんとした休憩」
欠伸を噛み殺しながらそう言って、ヴィオレは許可を得ることなく藍澄の向かいに座った。
「お、お疲れ様です」
それでも藍澄は目線を合わせずに、当たり障りのない返事をし、食事を続ける。
藍澄が食しているアニタ特製のローストチキンは空きっ腹には目の毒だ。
それなのに藍澄は、ローストチキンの味が、全くわかっていないんじゃないかというほど、機械的に口に運んでいた。
さながらゴムを噛んで飲み込んでいるかのように、渋い顔をしている。
妙に思いながらも、つとめて明るく言葉を紡ぐ。
「お疲れなんてもんじゃないっての。まったく……毎回毎回派手にぶち壊してくれるよなー。
ようやっと一段落ってトコロでさ、仕上げの作業の前に小休止で、胃になんか入れて、仮眠とっとかないと、流石にキツイぜ」
藍澄は「そうですか、大変ですね」とやはり機械的に応答し、ムキになったかのように目の前の料理だけを視界に収め、チキンをナイフで刻み、フォークに刺して、口に運ぶ。
「……藍澄ちゃん?」
チキンを切る。
「……なんかさー、ちょっと、機嫌悪い?」
フォークに刺す。
「……オレ、なんかした?」
口に入れる。
「……マジで、心当たりがない」
噛み砕く。
「……とは言わないが……」
飲み込む。
「……ヤバい……どれのことかマジでわかんねー」
完食。
「ごちそう様です」
藍澄はすぐに椅子から立ち上がり、視線は下に落としたままで、急いで立ち去ろうとする。
「いや、ちょっと」
とっさに手首を掴んでしまった。
振りほどかれた。
本格的に様子がおかしい……そう思った時に、ある可能性が頭を過った。
消え入りそうな声で「ごめんなさい」と呟く顔を、思わず凝視する。
「……なあ、もしかして」
「……すいません、急いでるんです。後にして下さい」
「急いで、どこに行くんだよ?」
「えっと……」
どこか困惑したような顔をしながら、藍澄は呟くように答える。
「医務室に」
医務室!!
ヴィオレの中で完全に点と点が繋がった。
様子がおかしくて当然だ。
今は避けられても当然だ。
今目の前にいる彼女こそ、メカレイシェンの姉妹作……即ち『メカ藍澄』に違いない。
「へえ……なるほどね」
思わず笑みが浮かんでしまう。
「……そんなんで、オレを騙せると思ってんのかよ」
『メカ藍澄』はビクリと肩を震わせ、
「……ごめんなさい」
もう一度、謝罪の言葉を口にした。
偽物とはいえ、しかも人間ではないとはいえ、藍澄の顔をした少女に沈んだ顔をされるのはなんとなく堪える。
まるでいじめているようだ。
そもそも悪いのは変態ドクターで、彼女ではない。
「……ごめんなさい、って。んなひたすら謝られても困るっつーか」
それにしてもちょっと似すぎだろう……と、『メカ藍澄』をじっと観察する。
リヒャルトは職務権限で詳細なクルーの身体データを持っている。
軍服に隠れている部分まで精巧に作ったのだろうか……そんなことを考えると、いよいよリヒャルトに腹が立って来る。
あんな変態のところにいたら何をされるかわからない。
これは医務室へ帰さず、自分が預かるべきなのではないか?
そんなことを思った時。
本物よりもしおらしい雰囲気の『メカ藍澄』は、何故か顔を赤くしながらおずおずと口を開いた。
「……あの、ヴィオレさん……お部屋で少しだけお話、いいですか」
「すいません……折角の休憩時間なのに」
「いや、それは別にイイけど」
廊下を連れ立って歩いている間も、私室に連れ込んでからも、なんだかとてつもなく悪いことをしているような気がして、気が気ではなかった。
後ろめたいことではないのに。妙な感じだ。
ベッドに隣合って座っていた『メカ藍澄』は、しばしの沈黙の後、ゆっくり口を開いた。
「……もしも」
「もしも?」
ヴィオレの顔を真剣に見つめて、『メカ藍澄』は問いかける。
「……私が、エリュシオンのクルーの誰かに、その……恋をしてしまったとしたら……ヴィオレさんはどう思いますか?」
思わず「え」と声が漏れた。
アンドロイドとはいえ、人工知能を搭載している以上、ありえなくはないが……。
「……マジで?」
「……もしも、ですってば」
顔を赤く染める姿は、どう見たって『恋する乙女』そのものだ。
カワイイ……うっかりそう思ってしまった自分を誤魔化すように、あえて明るい口調で答える。
「……何言ってんだか。お年頃の女の子だってのに、恋のひとつやふたつ出来ないってほうが問題だろ。
むしろ、どんどんするべきだと思うぜ?」
「だけど私は、そういうことが許される立場じゃ……」
「……だから、そういう考え方がバカバカしいって言ってんだろ?
……恋、してみりゃいいさ。例えば」
ちょっと悪ノリしたくなって、作り物とは思えない、柔らかそうなほっぺたに手をかける。
まるで、血が通っているように温かい。
「オレは、どう?」
「っ!」
初々しい反応が、不意に本物と重なって……すっと、ヴィオレの中で何かが冷めた。
「……なんて、な」
手を引いて、身体を離す。
「わりィ、ちょっと仮眠取りたいから、そろそろいいかな?」
「あ、はい。すいません……お疲れのところ……お話、聞いてくれてありがとうございました」
主のところに帰らせるのはかなり不安だが、やはりここにずっと置いておくわけにはいかない。
あの顔で。
あの声で。
あんなに近くにいられたら。
こっちがどうにかなってしまいそうだ。
だけど、イミテーションなんかに惑わされてちゃしょうがない。
……本物でなくては、意味がないのだから。
「あのさー」
部屋を出て行く彼女にひとつだけ伝言を委ねる。
「変態ドクターに会ったら伝言頼むわ。
……ちゃんと約束守れ、って」
「?? はい、わかりました……」
不思議そうな顔をしながら、『メカ藍澄』は、ドアの向こうに姿を消した。
「お疲れ様です」
煤とオイルで黒く汚れた顔で、工具を握ったまま振り返ったヴィオレに、彼女はいつものように微笑みながら声を掛けてきた。
「補給品のリストなんですけど、ヴィオレさんもチェックしてくれますか?」
「……」
思わずその顔を凝視してしまった。
「ヴィオレさん……? どうかしましたか?」
「……藍澄ちゃん、だ」
間違いない。本物だ。
イミテーションが唯一再現できていなかったもの。
近頃お気に入りの、この笑顔。
もしあの子がこんなふうに笑っていたら、正直危なかったかもしれない……と、ヴィオレは思った。
「はい?」
「なんでもない……ほら、リスト、貸してみ?」
さあお仕事だ、と藍澄の手から書類を受け取る。
リストに視線を落としたその時、
「そういえば」
不意に藍澄が口を開いた。
「クロイツァーさんから伝言預かってます」
「ん? なんて?」
「『約束』通り、副艦長に報告しておきました、って」
パサリ、と乾いた音を立てて、青ざめたヴィオレの手からリストが滑り落ちた……。
「ヴィオレさん!?どうしたんですか、ヴィオレさん!!?」
そんな彼らのやりとりを、整備デッキの入り口付近から生温かく見守っている2つの人影があった。
「フフフ、なかなか面白いゲームになりましたね……報告ありがとうございます」
「フフフ、こちらこそ楽しませてもらっていますよ。次は誰を観察するとしましょうかね」
「そうですねえ……レイシェンもいいですが、ヨシュアも捨てがたい」
「それなら、もう一体くらい『私』を作ってもいいかもしれないですねえ」
「ちょうどそれを考えていました。流石は『私』、気が合いますねえ」
同じ姿。同じ声音に、同じ趣味。
2人の『医務室のおにいさん』はレンズごしに視線を合わせて、愉快そうに笑った。
【END?】
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