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乙女ゲーマー麻咲(あさき)の、2.5次元を彷徨うブログ
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  プロフィール
HN:
麻咲
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1983/05/03
職業:
フリーター
趣味:
ライブ、乙女ゲーム、カラオケ
自己紹介:
好きなバンド

janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド 
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他

好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ) 
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット) 
フルハウスキス(羽倉麻生) 
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文) 
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助) 
花宵ロマネスク(紫陽) 
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸) 
僕と私の恋愛事情(シグルド) 
ラスト・エスコート2(天祢一星) 
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル) 
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク) 
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他

バイト先→某損保系コールセンター 

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2009/09/16 (Wed)
 ちょっと久々の更新になってしまいましたが、この3日間は、ひたすらSSを書いていました。

 どうしても2つの作品を同時にupしたかったので、時間がかかってしまいましたが、なんとか完成です。

 こちらは、相互リンクさせて頂いているSSサイトの管理人様・美夜様に捧げるSSです。

 相互リンクするにあたって記念に何か1本書きましょうか、という美夜様からのありがたいご提案があって、その返礼として書いた作品です。

 いくつかお題を頂いた中でのヴィオレ×藍澄だったのですが、自分で選んでおきながら、かなり難物でした。

 リトアンの場合、絆が深まる頃には展開がシリアスになっているので、結構遊びどころが難しかったのです。

 とりあえず本編でルート確定する手前くらいをイメージしてみました。

 よってイマイチ甘さが足りないかもしれません。ホントすいません。

 美夜様はじめ、OKな方は下のリンクからつづきへどうぞ。

 本編ネタバレはそんなにないと思います。

《Difficult Question [SIDE:A]》







「藍澄さんて」

 煎り立てのお茶を啜りながら、クロエは何気ない口調で問いかける。

「ヴィオレさんのどこが好きなんですか?」

「……は??」

 藍澄は固まった。

 クロエはなんでもないようないつもと同じ微笑を浮かべて、大きな瞳で藍澄を見つめている。

「ねえ、クロエ。その質問、ちょっとおかしくないかな」

「?? 何がです?」

「えっと、普通は、『ヴィオレさんのことが好きなんですか?』っていう質問が先に来ない、かな?」

 言いながら何とはなしに気恥ずかしくなり、藍澄はじわじわと視線を右下に逃がす。
 一方クロエの答えははっきりしたものだった。

「それは聞かなくても知ってますよ」

「どどっ、どうして!?」

 すぐに否定することもなく、たんに狼狽えてしまったことそれ自体が「肯定」になってしまうことにも気づかず、

「どうしてそう思うの!?」

 少し身を乗り出すようにして問い質す。

「だって、藍澄さん、時間さえあれば整備デッキに直行してますよね」

「それは、艦長としてSGの整備状況とか気になるからだしっ、ちゃんと見てないとヴィオレさんはサボり癖があるからっ……」

「そのわりには、ヴィオレさんのわがままをいつもいつも承認して甘やかしてますよね」

「だ、だって……根を詰めすぎるのもよくないし。別にヴィオレさんだけをひいきしてるわけじゃ」

「この間の執事対決だって、ヴィオレさんを1位に選んであげてましたし」

「そっ、それだって深い意味は……っ」

 なかった筈だった。あの時はまだ、そんなつもりは……多分。

 ムキになって否定しようとすればするほどに、「ソレ」は存在感を主張し、藍澄の中で激しく膨張する。

「……私にはそういうふうにしか見えないんですけど、違うんですか?」

 あまりにも藍澄が動揺するので気の毒になったのか、クロエは少しトーンダウンした。

「……」

 少しの沈黙のあと、藍澄は口を開き、

「……違う……よ」

 ほとんど無意味かもしれない嘘をついた。








 最初は本当に、ただ目を光らせなければ、と思っていただけだった。

 すぐに仕事をサボるし、禁止エリアで喫煙するし、市街地に出ればナンパばかりしている。
 いつ問題を起こすかわからない、危なっかしい人。

 だから見ていた。

 いつもいつも、見ていた。

 見ていたから、気がついた。

 いざという時には、普段のふざけた態度からは想像もつかない真剣な顔をすることや、明るい笑顔の裏側に何か、深い影を隠していること。

 ……彼のことをもっと知りたい、いつからかそう思うようになっていた。

 それが彼のことを「好き」ということになるのか、それはよくわからない。

 しかし、第3者が気がついてしまうくらいには意識していたのは事実だったようだ。

「……よくないよ、ね」

 口をついた独り言。

 だが言葉と行動は裏腹だった。

 整備デッキの入り口付近の壁に背をもたれて、とっくに目を通したSGの損壊状況報告を顔の前で広げ、隠れ蓑にしながら、藍澄は仕事中のヴィオレを目で追っていた。

 昨夜の奇襲によってエリュシオン本艦とSGが被った損傷はけして小さくはなく、整備チームは徹夜で動いている。
 流石のヴィオレも、逃げ出す余裕もないらしく、ボリスの指示を受けながら、ぶっ通しで作業を続けているようだ。

 ヴィオレは、遠目にも明らかなほど疲弊した様子で、思わず「もう休んで下さい」と声を掛けたくなる。
 勿論、ヴィオレ1人を休ませるわけにはいかないし、整備班全員を休ませることはもっとできない。

 いつ起きるかわからない戦いに備え、対処できるようにしておかなくてはクルー全員が危険に晒されてしまうのだから。

 もしも。

 もしも、クロエが言うようにヴィオレに対して特別な感情が芽生えつつあるのだとしても、今はその気持ちをこれ以上育ててはいけないような気がする。

 『艦内恋愛禁止』という不文律を持ち出すまでもなく、誰よりも理性的で平等でなくてはいけない艦長が、誰かひとりに強く思い入れるのは間違っているのではないか。

 少なくとも、自分は恋人を作るためにエリュシオンに乗ったわけではないのだから。

 他のクルーたちにまで気づかれる前にこの想いには蓋をしなければ。

 見なければいいのだ。

 見てしまうから気になるのだ。

 藍澄は、こちらに気づいているのかいないのか、黙々と仕事に勤しむヴィオレをもう一度だけ見て、それからゆっくりと歩み出し、整備デッキを後にした。















「よっ、藍澄ちゃん」

「っ」

 いきなり視界に現れた笑顔に、フォークを握りしめた手が止まる。

「なんだよ、コワイ顔して。サボりじゃないぜ? ちゃんとした休憩」

 欠伸を噛み殺しながらそう言って、ヴィオレは許可を得ることなく藍澄の向かいに座った。

「お、お疲れ様です」

 目線を合わせずに、当たり障りのない返事をし、食事を続ける。

 いっそ逃げ出したかったが、アニタの作った食事を残すことはもちろん許されない。

 さっきまでおいしかったローストチキンの味が、全くわからなくなる。
 ゴムを噛んで飲み込んでいるようだ。

「お疲れなんてもんじゃないっての。まったく……毎回毎回派手にぶち壊してくれるよなー。
ようやっと一段落ってトコロでさ、仕上げの作業の前に小休止で、胃になんか入れて、仮眠とっとかないと、流石にキツイぜ」

 藍澄は「そうですか、大変ですね」と機械的に応答し、ムキになったかのように目の前の料理だけを視界に収め、チキンをナイフで刻み、フォークに刺して、口に運ぶ。

「……藍澄ちゃん?」

 チキンを切る。

「……なんかさー、ちょっと、機嫌悪い?」

 フォークに刺す。

「……オレ、なんかした?」

 口に入れる。

「……マジで、心当たりがない」

 噛み砕く。

「……とは言わないが……」

 飲み込む。

「……ヤバい……どれのことかマジでわかんねー」

 完食。

「ごちそう様です」

 椅子から立ち上がり、視線は下に落としたままで、急いで立ち去ろうとした。

「いや、ちょっと」

 手首を掴まれた。

 とっさに振りほどいてしまった。

 いけない、いくらなんでもこれはやり過ぎだ……そう思って「ごめんなさい」と短く謝罪を口にしながら、ついに彼の顔を見てしまった。

 怒っているかと思ったのに、むしろその目は何故か不安そうに、こちらを凝視していた。

「……なあ、もしかして」

「……すいません、急いでるんです。後にして下さい」

「急いで、どこに行くんだよ?」

「えっと……」

 実際は何があるわけでもない。
 それでも何か答えないわけにはいかず、

「医務室に」

 ぱっと思い付いた場所を口にした。
 医務室ならば場所が場所だけに、「何をしに行くのか」と問われても、「プライベートなことだから」とでも言えば深く追及されないかもしれない……そんな考えもあった。

「へえ……なるほどね」

 何故かヴィオレは、意味深な笑みを浮かべる。

「……そんなんで、オレを騙せると思ってんのかよ」

 声音に冷たいものを感じて、藍澄はビクリと肩を震わせた。

 不自然な態度。
 適当な言い訳。

 看破されたとしても無理はなかった。

「……ごめんなさい」

 もう一度、藍澄は謝罪の言葉を口にした。

「……ごめんなさい、って。んなひたすら謝られても困るっつーか」

 ヴィオレはどこか複雑な表情を浮かべながら、何故か藍澄をじっと見つめている。

 視線に絡め取られるようで、なんだか身体が熱くなってくる。

 きっと顔も赤くなってしまっている。
 こんな場面を誰かに見られてしまったら、どうしたって言い繕える自信がない。

 それならばいっそのこと……。

「……あの、ヴィオレさん……お部屋で少しだけお話、いいですか」










「すいません……折角の休憩時間なのに」

「いや、それは別にイイけど」

 半ば逃げ込むようにして、ヴィオレの私室になだれ込んで。
 並んでベッドに腰かけて。
 なんだか気まずい空気がそこに漂っていて。
 言葉を紡ごうにも、鉛のように唇が重くて。

 けれど、疲れているヴィオレをいつまでも捕まえておくわけにもいかない。

 一生懸命言葉を選んで、必死に口を開く。

「……もしも」

「もしも?」

 ヴィオレの顔を真剣に見つめて、藍澄は問いかけた。

「……私が、エリュシオンのクルーの誰かに、その……恋をしてしまったとしたら……ヴィオレさんはどう思いますか?」

 ヴィオレは「え」と一瞬目を丸くした。

「……マジで?」

「……もしも、ですってば」

 きっとまた顔が赤くなっている。

 けれどいくら恥ずかしくても、後には引けない。

 ヴィオレは、不意にフッと笑みを浮かべた。

「……何言ってんだか。お年頃の女の子だってのに、恋のひとつやふたつ出来ないってほうが問題だろ。
むしろ、どんどんするべきだと思うぜ?」

「だけど私は、そういうことが許される立場じゃ……」

「……だから、そういう考え方がバカバカしいって言ってんだろ?
……恋、してみりゃいいさ。例えば」

 明るく笑い飛ばすようにそう言ったかと思うと、ヴィオレはいきなり、俯いていた藍澄の頬に、その手を押し当てた。

「オレは、どう?」

「っ!」

 至近距離で見つめる菫色の双つの瞳に、狼狽える藍澄の顔がはっきりと映し出されている。

「……なんて、な」

 ヴィオレはニヤリと悪戯な笑みを浮かべて、あっさりと手を引いた。

「わりィ、ちょっと仮眠取りたいから、そろそろいいかな?」

 あっけらかんと言われて、そこでようやく、はっと我に返る。

「あ、はい。すいません……お疲れのところ」

 急いでベッドから立ち上がる。

「……お話、聞いてくれてありがとうございました」

 まだ頭の中がボンヤリしていたが、地に足がつかないような心持ちのまま、フラフラとヴィオレの部屋を出ようとした。

「あのさー」

 思いがけず部屋の主がそれを引き留めた。

「変態ドクターに会ったら伝言頼むわ。
……ちゃんと約束守れ、って」

「?? はい、わかりました……」

 『約束』とはなんのことだろう??

 ……気になったけれど、今はそれを考えられるほど、脳の容量が余っていなかった。













 結局のところ、何が解決したわけでもなかった。

 エリュシオンの艦長、という藍澄の立場は、けして揺るがない。

 まだまだ厳しい戦局が続くであろう、今この時に、こんな個人的なことに感情を揺らしているなんて、未熟な証拠なのかもしれない。

 それでも、自分の中で育ちつつあるこの想いは、簡単には取り除けないだろう。

 そして藍澄の足は、今日も真っ直ぐ整備デッキに向かう。


「お疲れ様です」

 煤とオイルで黒く汚れた顔で、工具を握ったまま振り返ったヴィオレに、なんでもなかったように微笑みながら声を掛ける。

「補給品のリストなんですけど、ヴィオレさんもチェックしてくれますか?」

「……」

 ヴィオレは何故かすぐに答えを返さずに、じっと藍澄を見つめている。

「ヴィオレさん……? どうかしましたか?」

 藍澄の問に、ヴィオレはまるで安堵したような溜め息をひとつついて、口を開いた。

「……藍澄ちゃん、だ」

「はい?」

 菫色の目を細めて、ヴィオレは楽しそうに笑う。

「なんでもない……ほら、リスト、貸してみ?」


 解決するどころか、わからないことは増えていくばかりで。

 それでも、この笑顔から、目をそらすことはきっと出来ない。

 これからもずっと……。











【END?】

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