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プロフィール
HN:
麻咲
年齢:
41
性別:
女性
誕生日:
1983/05/03
職業:
フリーター
趣味:
ライブ、乙女ゲーム、カラオケ
自己紹介:
好きなバンド
janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド
Sound Schedule
PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他
好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ)
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット)
フルハウスキス(羽倉麻生)
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文)
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助)
花宵ロマネスク(紫陽)
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸)
僕と私の恋愛事情(シグルド)
ラスト・エスコート2(天祢一星)
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル)
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク)
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他
バイト先→某損保系コールセンター
janne Da Arc
Angelo
犬神サーカス団
シド
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PIERROT
angela
GRANRODEO
Acid Black Cherry 他
好きな乙女ゲームとひいきキャラ
アンジェリークシリーズ(チャーリー)
遙かなる時空の中でシリーズ(無印・橘友雅、2.藤原幸鷹、3.平知盛、4・サザキ)
金色のコルダシリーズ(1&2・王崎信武、3・榊大地、氷渡貴史)
ネオアンジェリーク(ジェット)
フルハウスキス(羽倉麻生)
ときめきメモリアルGSシリーズ(1・葉月珪、2・若王子貴文)
幕末恋華シリーズ(大石鍬次郎、陸奥陽之助)
花宵ロマネスク(紫陽)
Vitaminシリーズ(X→七瀬瞬、真田正輝、永田智也 Z→方丈慧、不破千聖、加賀美蘭丸)
僕と私の恋愛事情(シグルド)
ラスト・エスコート2(天祢一星)
アラビアンズ・ロスト(ロベルト=クロムウェル)
魔法使いとご主人様(セラス=ドラグーン)
危険なマイ★アイドル(日下部浩次)
ラブマジ(双薔冬也)
星空のコミックガーデン(轟木圭吾)
リトルアンカー(フェンネル=ヨーク)
暗闇の果てで君を待つ(風野太郎)
ラブΦサミット(ジャン=マリー)
妄想彼氏学園(神崎鷹也) 他
バイト先→某損保系コールセンター
アクセス解析


こんばんは、ライブ帰りで首が動かない麻咲です。
予定より大分遅れて申し訳ありませんが、なんとかSSが完成しました。
アンケートでリクエストを募っていたのですが(ありがとうございました)、冬也、ヤン、先生が人気でした。
今回はヤン先輩にしてみましたが、反響があれば他キャラもやりたいですね。
ちなみに次のキリ番SSのネタはもう決めてあったりします(ジャンルはVitaminZで、以前予告したカプです)。
今回のSS、かなり私の趣味を反映した内容になっています。
公式のSSが毎回コミカルなので、あえてちょっとシリアスにしてみましたがどうでしょう(ネタ被りを防ぐためにも)。
どんだけ趣味を反映しているかといえば、ヤンとみつきの他にもう1人出て来るキャラの人選がもう……なんか、すいませんって感じです。汗。
……でも実はあの人、結構好きなんです。笑。
時期的には19話の後くらいなので、それ以前のネタバレを含みます。
OKならつづきへどうぞ。
予定より大分遅れて申し訳ありませんが、なんとかSSが完成しました。
アンケートでリクエストを募っていたのですが(ありがとうございました)、冬也、ヤン、先生が人気でした。
今回はヤン先輩にしてみましたが、反響があれば他キャラもやりたいですね。
ちなみに次のキリ番SSのネタはもう決めてあったりします(ジャンルはVitaminZで、以前予告したカプです)。
今回のSS、かなり私の趣味を反映した内容になっています。
公式のSSが毎回コミカルなので、あえてちょっとシリアスにしてみましたがどうでしょう(ネタ被りを防ぐためにも)。
どんだけ趣味を反映しているかといえば、ヤンとみつきの他にもう1人出て来るキャラの人選がもう……なんか、すいませんって感じです。汗。
……でも実はあの人、結構好きなんです。笑。
時期的には19話の後くらいなので、それ以前のネタバレを含みます。
OKならつづきへどうぞ。
《仮面の逆襲》
先輩のことが、好き……なのかもしれない。
今までにもそう思ったことは何度かあった。
冬の女王様に「好きな人」と言われて心に浮かんだのはヤン先輩だったし、先輩が結婚しちゃうかもしれないって思った時は、なんだか苦しくなった。
それでもはっきりと自分の気持ちを認められなかったのは、きっと、怖かったからだと思う。
魔法を解いた、その後のことが。
他のみんなは来年も一緒だけど、先輩はもうすぐ卒業してしまう。
もしも魔法が解けた時、私のことを何とも思ってなかったら。卒業後、私のことなんかすぐに忘れてしまうかもしれない。
側にいられれば、ヤン先輩を自力で振り向かせるチャンスはある。だけど……会えなくなっちゃうかもしれないんだ。
あの日、洞窟で2人きりになった時。
どうしようもないくらい大きくなってた自分の気持ちを自覚してしまったから。
今はそれが……何よりも怖い。
パタン。
手帳を閉じて、しっかり鍵をかける。
今度の手帳は、持ち主以外が手にすると10秒後に魔法が発動するセキュリティがついてる。
会長も懲りてるとは思うけど、念には念を入れておくに限る……って、ヤン先輩がプレゼントしてくれたんだよね。
先輩はいつも、心配性のお兄ちゃんみたいに私を気遣ってくれる……。
ヤン先輩……。
私は手帳を鞄にしっかり仕舞う。
そろそろ帰らなくちゃ……。
心の中のもやもやを吐き出したくて、手帳に書き綴っている間に、日が落ちかけてしまってた。
休日、部屋にずっといるのもなんだか気が滅入るからって、近くのカフェまで足を伸ばしたけど、やっぱり考えることは部屋にいる時となんにも変わらない。
あんまり気分転換にはならなかったな……。
カフェから出て、薄闇の中を歩き出した私は、昨日より少し満ちた月を見上げて溜め息をついた。
タイムリミット……近付いてるんだ。
胸の魔方陣を服の上からなぞる。
この魔方陣が消えた時、先輩はどんな眼差しで私を見るのかな……?
そんな考え事に夢中だった私は、いつの間にか周りに人の気がなくなっていたことも、すぐ後ろに近づく不穏な空気にも気づかなかった。
「天原みつき」
不意に名前を呼ばれて、ゆっくり振り返ろうとした瞬間。
「っ……」
いきなり後ろから腕で身体を戒められ、もう一方の手で口を塞がれた。
「……うっ……!!」
「騒ぐな……首の骨をへし折られたくなかったらな」
その、悪意に染まった低い声には覚えがあった。
身動きがとれないから振り返って確かめることはできないけど、きっとこの人……ヴェパールで出会った仮面の人……ペルソナだ。
だけど闇の商人の一派は、あの後全員捕まったんじゃなかったの……!?
「……思い出して頂けたようだな……あの時は随分と世話になった」
後ろから浴びせられる憎悪にぎらついた言葉に、私の身体はカタカタと小刻みに震えていた。
「くくく、怯えているのか? なに、大人しくさえしていれば殺しはしない」
ペルソナは暗い愉悦を覗かせながら、私を押さえる腕に少し力を込める。
口を押さえていた手が少し下がり、首筋に触れる。
ヤン先輩……助けて……。
「おはよう、みつき」
生徒会室の前で、ヤン先輩とバッタリ出くわした。
「今日も可愛いね」
いつもと同じ眩しい笑顔を、私は絶望的な気持ちで見つめていた。
「……みつき?」
黙っている私をの顔を、先輩が少し不思議そうに見つめる。
一瞬だけぐっ、と息苦しさを感じる。
「おはようございます、先輩」
私は苦しさを隠して出来るだけ自然に微笑んでみせた。すぐに苦しさはなくなる。
「……あれ、そのチョーカー、初めて見るけど大人っぽいデザインだね」
ドキッと胸が高鳴る。
「あ、はい……昨日ちょっと」
とっさに曖昧な答え方をしてしまった私に、ヤン先輩はいきなり顔を近づけて来て、私のすぐ目の前で目を半眼させた。
「……まさか、昨日他の男に貰ったとか言わないよな?」
「っ、ち……違いますよ!! ……自分で買ったんです!」
「はは、それならいいんだけどさ」
長い指が私の髪を少し撫で、離れる。
「……なんかいつもみつきがしてるアクセサリーとは感じが違うから、気になっただけだよ」
流石に目敏いな、と心の中で思った。
ヤン先輩は、知らず知らずに真実に肉薄していたから。
生徒会室。
いつものみんなとの談笑。
楽しい筈の時間なのに、私の意識は会話とは別のところにあった。
首に触れると、革製のシンプルなチョーカーがそこにある。
それはヤン先輩が言ったように、昨日、他の男に貰ったもの……ううん、強制的につけられたものだった。
ペルソナは言葉通り、私を殺しはしなかった。
その替わりに付けられたのがこのチョーカー。
私の意思では外すことができない。
私がペルソナの意に反して、誰かに秘密を話したら、途端にきつく締まって私の息の根を止める、凶悪な魔法アイテム。
死にたくなければ、言う通りにしろ……とペルソナは言ってたけど……言う通りになんてしたくない。
どうにかして魔法のチョーカーを欺いて、ペルソナがしようとしていることを誰かに伝えなくちゃ……。
でもどうやって……?
チョーカーをつけている限り私は、ずっとペルソナに監視されているようなものなのに。
……そうだ。
……あれを使えば……なんとかなるかもしれない……。
昨夜指定された、じっとりと湿気の溜まった路地裏で、ペルソナは私を待っていた。
「『お遣い』はちゃんと出来たのか? 天原みつき」
見下したような笑みに不快感が走る。
「……あなたが欲しがっている物の在処なら、わかったよ」
私は気圧されないように彼を睨みながら、鞄を開ける。
「これに……これに書いてもらったの」
差し出したのは、私が日記として使っている手帳。
「ほう……」
ペルソナの冷たい瞳が、私と手帳を映す。
お願い。
お願い、受け取って。
受け取ってくれさえすれば、中身を確認する頃にはセキュリティの魔法が発動してくれる……!
意図を悟られないように必死に感情を押し隠す……だけど。
「そんなくだらぬ手にかかると思ったか? 小娘」
ペルソナは一笑に帰すと、パシンと、手帳を持つ私の手を弾いた。バサリ、と手帳は私の足元に落ちる。
「……つっ……」
赤くなって鬱血しそうな手首を押さえながら、私も地べたにへたりこむしかなかった。
見抜かれてしまった……。
「満足にお遣いも出来ない役立たずが……このままここで殺してやってもいいが……人質にすればまだ利用価値はあるか」
「な……!」
「リスクは高くなるが、直接交渉も悪くない……ついて来てもらおうか」
いよいよ状況は絶望的だった。
ペルソナが伸ばした手が、私の腕を掴もうとした……その瞬間。
「……汚い手でその子に触んなよ、オッサン」
不意に、淀んだ路地裏に響き渡ったその声。
瞬間、テニスボールくらいの大きさの火球が凄まじい速さで飛び込んで、ペルソナの肩をかすめた。
「どこを狙っている?」
余裕げに言い放つペルソナ。けれど、
「どこだと思う?」
応えた声は更に強気だった。
魔法で硬度と反発力を与えられている火球は、突き当たりの石壁で反射し、ピンボールのようにあちこちで弾かれて、最終的に、私のすぐ側に落ちていた手帳を直撃した。
「えっ?」
火球の直撃を受けた手帳は燃え上がるかと思いきや、突然フワッと青く光り出したかと思うと、ゴーッと音を立て、まるで噴水のように凄まじい量の水を吹き出した。
「なっ」
「きゃああっ」
そういえば手帳には防火機能もあったんだっけ……前のが燃えちゃったから……念のため、って。
怯んだペルソナが後ずさった瞬間、しこたま水を浴びた私の身体を誰かが後ろからひょいっと抱き上げた。
「大丈夫か?みつき」
自分も濡れてしまうことに構わず、しっかり私を抱き締めてくれた人。
「ヤン先輩……!」
「君の様子がおかしかったから、少しつけさせてもらったよ……その趣味の悪いチョーカーは、贈り主に叩き返してやる」
ヤン先輩は片手でいとも簡単に私の首からチョーカーを引き千切って、放り投げる。
「どうして……? どうやっても外れなかったのに」
「革製品ってのは、濡れると弱くなるもんなんだよ……そうだろ、仮面野郎」
「ちっ……」
私と同じように水を被ったペルソナは、濡れた髪を忌々しげに掻き上げた。
ヤン先輩の周囲には、まだ炎の魔法の力が集まっている。
すぐにでも攻撃に転じられそうだ。
「よくも俺の大事な子にさんざん痛い事してくれたな……覚悟は出来てるか?」
ペルソナもまた、それに応じて、鞭を取り出す。
「……貴様自ら出て来てくれるとは話が早い……ジーファファミリー次期首領・ヤン・ジーファ」
私は思わずヤン先輩の制服にしがみついてしまう。
「ヤン先輩、その人は先輩のおうちのことを知ってて、それで……」
「もう一度闇商人として再起するために、うちが所有してる希少な宝を強奪する計画を立てた……そんなところだろ」
ヤン先輩は、私をなだめるように少し撫でて、優しく、自分から離れるように視線で促した。
私がそれに従って後ろに下がると、ヤン先輩の周囲にある魔力が更に高まっていくようだった。
「こそこそえげつない真似せずに最初から俺に会いにくれば、宝石の一掴みくらい差し入れてやったのに」
先輩の手に、再び炎が集まる。
「……あんたのいる留置所に、な」
「……小僧が……!!」
振るわれた鞭をギリギリでかわし、先輩の炎が放たれた。
「くっ……」
魔法の直撃を受けながらも、更にペルソナが鞭を使おうとした瞬間、
「動くな!!」
凛とした鋭い声とともに無数の足音が響き、ペルソナの目が驚愕に見開かれた。
「武器を捨てろ!!」
振り向くと、銃を構えた黒服の集団が、ズラリと並んでいる。
ヤン先輩のおうちの人たちだ……!
ペルソナがちょっとでも動けば、たちまち無数の銃弾が降り注ぐに違いない。
「ゲームオーバーみたいだぜ?」
ヤン先輩の言葉に、ペルソナは鞭を投げ捨て、静かに両手を上げた……。
「寒くない?」
「あ、はい……先輩こそ、寒くないですか?」
「大丈夫だよ、男だからね」
大分乾いたけど、まだ湿っぽい制服。その上から、ヤン先輩の上着をかけられてる。
先輩の愛用しているコロンの匂いがして、なんだか落ち着かない気分。
並んで歩いてるだけでも意識しちゃうのに……。
「助けてくれてありがとうございました」
とりあえずお礼を言わないと。
ペルソナは取り押さえられて、あのまま警察に付き出されるらしい。
今度こそもう安心だ。
「本当はアイツとサシで勝負していいところを見せたかったんだけど……君が巻き込まれてる以上、万に一つの危険も犯せないからさ」
先輩は苦笑する。
「そんな……先輩は十分かっこよかったです!」
不意に先輩の足が止まり、釣られて私も止まった。
「サンキュ」
ウインクした後、先輩の手が、そっと私の首に触れる。
「痕、残ってる」
「え?」
「隠れるように新しいチョーカー、選んであげる……おいで」
首に触れていた手が、今度は私の手を掴んで、また歩き出す。
先輩の香り、先輩の温もり、先輩の優しさ……今こうして、私を包んでくれているもの。
いつか、消えてなくなってしまうかもしれないもの。
だけど……。
魔法が解けても、卒業しても……あなたを好きでいても、いいですか……?
【END】
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先輩のことが、好き……なのかもしれない。
今までにもそう思ったことは何度かあった。
冬の女王様に「好きな人」と言われて心に浮かんだのはヤン先輩だったし、先輩が結婚しちゃうかもしれないって思った時は、なんだか苦しくなった。
それでもはっきりと自分の気持ちを認められなかったのは、きっと、怖かったからだと思う。
魔法を解いた、その後のことが。
他のみんなは来年も一緒だけど、先輩はもうすぐ卒業してしまう。
もしも魔法が解けた時、私のことを何とも思ってなかったら。卒業後、私のことなんかすぐに忘れてしまうかもしれない。
側にいられれば、ヤン先輩を自力で振り向かせるチャンスはある。だけど……会えなくなっちゃうかもしれないんだ。
あの日、洞窟で2人きりになった時。
どうしようもないくらい大きくなってた自分の気持ちを自覚してしまったから。
今はそれが……何よりも怖い。
パタン。
手帳を閉じて、しっかり鍵をかける。
今度の手帳は、持ち主以外が手にすると10秒後に魔法が発動するセキュリティがついてる。
会長も懲りてるとは思うけど、念には念を入れておくに限る……って、ヤン先輩がプレゼントしてくれたんだよね。
先輩はいつも、心配性のお兄ちゃんみたいに私を気遣ってくれる……。
ヤン先輩……。
私は手帳を鞄にしっかり仕舞う。
そろそろ帰らなくちゃ……。
心の中のもやもやを吐き出したくて、手帳に書き綴っている間に、日が落ちかけてしまってた。
休日、部屋にずっといるのもなんだか気が滅入るからって、近くのカフェまで足を伸ばしたけど、やっぱり考えることは部屋にいる時となんにも変わらない。
あんまり気分転換にはならなかったな……。
カフェから出て、薄闇の中を歩き出した私は、昨日より少し満ちた月を見上げて溜め息をついた。
タイムリミット……近付いてるんだ。
胸の魔方陣を服の上からなぞる。
この魔方陣が消えた時、先輩はどんな眼差しで私を見るのかな……?
そんな考え事に夢中だった私は、いつの間にか周りに人の気がなくなっていたことも、すぐ後ろに近づく不穏な空気にも気づかなかった。
「天原みつき」
不意に名前を呼ばれて、ゆっくり振り返ろうとした瞬間。
「っ……」
いきなり後ろから腕で身体を戒められ、もう一方の手で口を塞がれた。
「……うっ……!!」
「騒ぐな……首の骨をへし折られたくなかったらな」
その、悪意に染まった低い声には覚えがあった。
身動きがとれないから振り返って確かめることはできないけど、きっとこの人……ヴェパールで出会った仮面の人……ペルソナだ。
だけど闇の商人の一派は、あの後全員捕まったんじゃなかったの……!?
「……思い出して頂けたようだな……あの時は随分と世話になった」
後ろから浴びせられる憎悪にぎらついた言葉に、私の身体はカタカタと小刻みに震えていた。
「くくく、怯えているのか? なに、大人しくさえしていれば殺しはしない」
ペルソナは暗い愉悦を覗かせながら、私を押さえる腕に少し力を込める。
口を押さえていた手が少し下がり、首筋に触れる。
ヤン先輩……助けて……。
「おはよう、みつき」
生徒会室の前で、ヤン先輩とバッタリ出くわした。
「今日も可愛いね」
いつもと同じ眩しい笑顔を、私は絶望的な気持ちで見つめていた。
「……みつき?」
黙っている私をの顔を、先輩が少し不思議そうに見つめる。
一瞬だけぐっ、と息苦しさを感じる。
「おはようございます、先輩」
私は苦しさを隠して出来るだけ自然に微笑んでみせた。すぐに苦しさはなくなる。
「……あれ、そのチョーカー、初めて見るけど大人っぽいデザインだね」
ドキッと胸が高鳴る。
「あ、はい……昨日ちょっと」
とっさに曖昧な答え方をしてしまった私に、ヤン先輩はいきなり顔を近づけて来て、私のすぐ目の前で目を半眼させた。
「……まさか、昨日他の男に貰ったとか言わないよな?」
「っ、ち……違いますよ!! ……自分で買ったんです!」
「はは、それならいいんだけどさ」
長い指が私の髪を少し撫で、離れる。
「……なんかいつもみつきがしてるアクセサリーとは感じが違うから、気になっただけだよ」
流石に目敏いな、と心の中で思った。
ヤン先輩は、知らず知らずに真実に肉薄していたから。
生徒会室。
いつものみんなとの談笑。
楽しい筈の時間なのに、私の意識は会話とは別のところにあった。
首に触れると、革製のシンプルなチョーカーがそこにある。
それはヤン先輩が言ったように、昨日、他の男に貰ったもの……ううん、強制的につけられたものだった。
ペルソナは言葉通り、私を殺しはしなかった。
その替わりに付けられたのがこのチョーカー。
私の意思では外すことができない。
私がペルソナの意に反して、誰かに秘密を話したら、途端にきつく締まって私の息の根を止める、凶悪な魔法アイテム。
死にたくなければ、言う通りにしろ……とペルソナは言ってたけど……言う通りになんてしたくない。
どうにかして魔法のチョーカーを欺いて、ペルソナがしようとしていることを誰かに伝えなくちゃ……。
でもどうやって……?
チョーカーをつけている限り私は、ずっとペルソナに監視されているようなものなのに。
……そうだ。
……あれを使えば……なんとかなるかもしれない……。
昨夜指定された、じっとりと湿気の溜まった路地裏で、ペルソナは私を待っていた。
「『お遣い』はちゃんと出来たのか? 天原みつき」
見下したような笑みに不快感が走る。
「……あなたが欲しがっている物の在処なら、わかったよ」
私は気圧されないように彼を睨みながら、鞄を開ける。
「これに……これに書いてもらったの」
差し出したのは、私が日記として使っている手帳。
「ほう……」
ペルソナの冷たい瞳が、私と手帳を映す。
お願い。
お願い、受け取って。
受け取ってくれさえすれば、中身を確認する頃にはセキュリティの魔法が発動してくれる……!
意図を悟られないように必死に感情を押し隠す……だけど。
「そんなくだらぬ手にかかると思ったか? 小娘」
ペルソナは一笑に帰すと、パシンと、手帳を持つ私の手を弾いた。バサリ、と手帳は私の足元に落ちる。
「……つっ……」
赤くなって鬱血しそうな手首を押さえながら、私も地べたにへたりこむしかなかった。
見抜かれてしまった……。
「満足にお遣いも出来ない役立たずが……このままここで殺してやってもいいが……人質にすればまだ利用価値はあるか」
「な……!」
「リスクは高くなるが、直接交渉も悪くない……ついて来てもらおうか」
いよいよ状況は絶望的だった。
ペルソナが伸ばした手が、私の腕を掴もうとした……その瞬間。
「……汚い手でその子に触んなよ、オッサン」
不意に、淀んだ路地裏に響き渡ったその声。
瞬間、テニスボールくらいの大きさの火球が凄まじい速さで飛び込んで、ペルソナの肩をかすめた。
「どこを狙っている?」
余裕げに言い放つペルソナ。けれど、
「どこだと思う?」
応えた声は更に強気だった。
魔法で硬度と反発力を与えられている火球は、突き当たりの石壁で反射し、ピンボールのようにあちこちで弾かれて、最終的に、私のすぐ側に落ちていた手帳を直撃した。
「えっ?」
火球の直撃を受けた手帳は燃え上がるかと思いきや、突然フワッと青く光り出したかと思うと、ゴーッと音を立て、まるで噴水のように凄まじい量の水を吹き出した。
「なっ」
「きゃああっ」
そういえば手帳には防火機能もあったんだっけ……前のが燃えちゃったから……念のため、って。
怯んだペルソナが後ずさった瞬間、しこたま水を浴びた私の身体を誰かが後ろからひょいっと抱き上げた。
「大丈夫か?みつき」
自分も濡れてしまうことに構わず、しっかり私を抱き締めてくれた人。
「ヤン先輩……!」
「君の様子がおかしかったから、少しつけさせてもらったよ……その趣味の悪いチョーカーは、贈り主に叩き返してやる」
ヤン先輩は片手でいとも簡単に私の首からチョーカーを引き千切って、放り投げる。
「どうして……? どうやっても外れなかったのに」
「革製品ってのは、濡れると弱くなるもんなんだよ……そうだろ、仮面野郎」
「ちっ……」
私と同じように水を被ったペルソナは、濡れた髪を忌々しげに掻き上げた。
ヤン先輩の周囲には、まだ炎の魔法の力が集まっている。
すぐにでも攻撃に転じられそうだ。
「よくも俺の大事な子にさんざん痛い事してくれたな……覚悟は出来てるか?」
ペルソナもまた、それに応じて、鞭を取り出す。
「……貴様自ら出て来てくれるとは話が早い……ジーファファミリー次期首領・ヤン・ジーファ」
私は思わずヤン先輩の制服にしがみついてしまう。
「ヤン先輩、その人は先輩のおうちのことを知ってて、それで……」
「もう一度闇商人として再起するために、うちが所有してる希少な宝を強奪する計画を立てた……そんなところだろ」
ヤン先輩は、私をなだめるように少し撫でて、優しく、自分から離れるように視線で促した。
私がそれに従って後ろに下がると、ヤン先輩の周囲にある魔力が更に高まっていくようだった。
「こそこそえげつない真似せずに最初から俺に会いにくれば、宝石の一掴みくらい差し入れてやったのに」
先輩の手に、再び炎が集まる。
「……あんたのいる留置所に、な」
「……小僧が……!!」
振るわれた鞭をギリギリでかわし、先輩の炎が放たれた。
「くっ……」
魔法の直撃を受けながらも、更にペルソナが鞭を使おうとした瞬間、
「動くな!!」
凛とした鋭い声とともに無数の足音が響き、ペルソナの目が驚愕に見開かれた。
「武器を捨てろ!!」
振り向くと、銃を構えた黒服の集団が、ズラリと並んでいる。
ヤン先輩のおうちの人たちだ……!
ペルソナがちょっとでも動けば、たちまち無数の銃弾が降り注ぐに違いない。
「ゲームオーバーみたいだぜ?」
ヤン先輩の言葉に、ペルソナは鞭を投げ捨て、静かに両手を上げた……。
「寒くない?」
「あ、はい……先輩こそ、寒くないですか?」
「大丈夫だよ、男だからね」
大分乾いたけど、まだ湿っぽい制服。その上から、ヤン先輩の上着をかけられてる。
先輩の愛用しているコロンの匂いがして、なんだか落ち着かない気分。
並んで歩いてるだけでも意識しちゃうのに……。
「助けてくれてありがとうございました」
とりあえずお礼を言わないと。
ペルソナは取り押さえられて、あのまま警察に付き出されるらしい。
今度こそもう安心だ。
「本当はアイツとサシで勝負していいところを見せたかったんだけど……君が巻き込まれてる以上、万に一つの危険も犯せないからさ」
先輩は苦笑する。
「そんな……先輩は十分かっこよかったです!」
不意に先輩の足が止まり、釣られて私も止まった。
「サンキュ」
ウインクした後、先輩の手が、そっと私の首に触れる。
「痕、残ってる」
「え?」
「隠れるように新しいチョーカー、選んであげる……おいで」
首に触れていた手が、今度は私の手を掴んで、また歩き出す。
先輩の香り、先輩の温もり、先輩の優しさ……今こうして、私を包んでくれているもの。
いつか、消えてなくなってしまうかもしれないもの。
だけど……。
魔法が解けても、卒業しても……あなたを好きでいても、いいですか……?
【END】
この記事にコメントする
★にゃん様★
こんばんは、少しだけお久しぶりですね。感想ありがとうございます!
今回はにゃん様のリクエストとは違ったカプになってしまいましたが、是非今度は冬也のSSにも挑戦したいです。
これからもよろしくお願い致しますね。
今回はにゃん様のリクエストとは違ったカプになってしまいましたが、是非今度は冬也のSSにも挑戦したいです。
これからもよろしくお願い致しますね。